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【日本最強の裏方4人組、無能と捨てられた先で『地球ショッピング』を解禁する~善行を積むほど現代兵器も肥料も買い放題。  作者: 月神世一


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EP 2

最強の月兎 vs 練馬の狂犬

防衛フィールドの一部を解除し、信長が外へ飛び出す。

そこには、純白の兎耳を振り乱しながら、見えない壁に猛然と蹴りを叩き込む一人の少女がいた。

「おい、そこの狂犬ウサギ! ウチの壁を蹴るのをやめんか!」

信長が特殊警棒を構えて怒鳴る。

少女――キャルルはピタリと動きを止め、漆黒のタクティカルベストを着た信長をギロリと睨みつけた。

「黒ずくめの怪しい男……! やっぱり、あなたが私の村を乗っ取った悪党ね! みんなをどこにやったの!?」

「はぁ!? 乗っ取るもなにも、俺たちが作ったんじゃボケ!」

「嘘よ! 月影流――『鐘打ち』ッ!!」

会話が成立する前に、キャルルの姿がブレた。

「なっ!?」

信長の動体視力が、かろうじてその動きを捉える。

100メートルを5秒台で走る驚異的な脚力からの、特注の強化靴による回し蹴り。

『ガギィィィィンッ!!!』

信長は咄嗟に特殊警棒をクロスさせて防御したが、その暴力的な運動エネルギーに耐えきれず、泥の上を数メートルも後ずさりさせられた。

腕が痺れ、警棒を持つ手がジンジンと痛む。

(なんじゃこのバカげた威力は!? 親父の蹴りより重たいぞ!?)

信長の背筋に冷たい汗が伝う。

見た目は可憐なウサギの獣人だが、その中身は完全に「戦車」だ。

「防いだ!? なら、これならどう!?」

キャルルは両手に持ったダブルトンファーをクルリと回し、さらに踏み込んでくる。

トンファーで信長の警棒を上から押さえ込み、そのまま闘気を纏わせた強烈な膝蹴りを顎へと放つ。

必殺のコンビネーション、『月影流・顎砕き』。

「チィッ!」

信長はCQC(近接格闘術)の歩法でギリギリのところで首を逸らし、膝蹴りを躱す。

空を切ったキャルルの膝が、衝撃波で信長の背後の地面をクレーターのように抉り取った。

「おどれ、話を聞かんか! 俺たちは村人たちを――」

「問答無用! 鎧ごと粉砕してあげる! 『破衝撃』ッ!!」

完全に頭に血が上っているキャルルが、トンファーに莫大な闘気を集中させる。

信長も、これ以上は手加減できないと判断し、腰のスタングレネードに手を伸ばした。

最強の月兎と、練馬の狂犬。

互いの必殺の一撃が交差しようとした、その瞬間。

「二人とも、そこまでよ」

凛とした、しかしどこか温かみのある声が響いた。

同時に、キャルルの長い兎耳がピクンと大きく跳ねる。

「……ん?」

キャルルの動きが、ピタリと止まった。

彼女の鋭敏な嗅覚が、殺気よりも早く「ある匂い」を捉えたのだ。

防衛フィールドの内側から、輝夜がゆっくりと歩いてくる。

その手には、地球のショッピングスキルで取り寄せた、ガラスの器が握られていた。

純白の生クリーム。

真っ赤に熟した大きな苺。

そして、底の方でキラキラと輝く甘いフルーツソース。

「あ、あ、甘い……匂い……?」

キャルルが、トンファーを下ろしてフラフラと輝夜の方へ引き寄せられていく。

先ほどまでの鬼神のような殺気が、嘘のように霧散していた。

「あなたが、村の皆さんが言っていた村長さんね。温泉旅行、お疲れ様」

輝夜は女神のように微笑み、苺パフェをキャルルの目の前に差し出した。

「村のみんなは無事よ。今は新しいお家でゆっくり休んでいるわ。色々あって村の姿は変わっちゃったけど……まずは、冷たくて甘いパフェでも食べて、お話を聞いてくれない?」

「ぱ、ぱふぇ……」

キャルルの瞳が、苺パフェに釘付けになる。

ルナミス帝国のファミレスで苺パフェを愛食していた彼女にとって、それは抗いがたい魅惑の兵器だった。

しかも、地球の最高級生クリームとブランド苺をふんだんに使った至高の一品。

「た、食べるっ!! 食べましゅ!!」

キャルルは武器を放り出し、輝夜の前に正座して目を輝かせた。

尻尾が千切れんばかりにパタパタと振られている。

「……おどれ、さっきまでの殺意はどこ行ったんじゃ」

信長が、構えていた警棒を下ろしながら呆れ果てた声を出した。

「ちょろい。あまりにもチョロすぎるよ、あの村長」

「まあ、交渉の基本は相手の胃袋を掴むことだからな。輝夜の正しい判断だ」

テントから出てきた蘭が笑い、義正が赤マルを咥えながら肩をすくめる。

マッハ1の飛び蹴りで幕を開けたポポロ村の防衛戦は。

たった一つの『苺パフェ』によって、あまりにも平和的かつ劇的に終結したのだった。

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