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【日本最強の裏方4人組、無能と捨てられた先で『地球ショッピング』を解禁する~善行を積むほど現代兵器も肥料も買い放題。  作者: 月神世一


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第三章 キャルル帰還・雷神の月兎編

温泉旅行から帰ったら、村が近代要塞になっていた件

「ふぁ~……やっぱり、一番高いコースの温泉は最高だったなぁ」

秋の気配が漂う街道を、一人の少女が機嫌よく歩いていた。

動きやすいラフな衣服に、手編みの人参柄の刺繍が入ったハンカチ。

頭には、ピンと伸びた純白の兎耳。

彼女の名前はキャルル。月兎族の20歳にして、辺境『ポポロ村』の村長である。

「ルナキンの朝定食を食べてたら、まさか福引きで『超高級温泉一ヶ月ご招待券』が当たるなんてね。みんなも『村長はいつも働きすぎだから絶対行ってきて!』って送り出してくれたし……本当に良い村だなぁ」

ポッケから取り出した苺味の飴玉を舐めながら、キャルルはホクホク顔で歩みを進める。

ルナミスとアバロンの国境地帯にあるポポロ村は、貧しいが温かい場所だ。

近衛騎士隊長候補という息苦しい立場を捨てて亡命してきた彼女にとって、あそこは守るべき大切な『家』だった。

「みんな、お土産の温泉饅頭、喜んでくれるといいなっ」

キャルルは街道を抜け、ポポロ村を一望できる丘の上に立った。

そして、眼下に広がる光景を見て、ピタリと動きを止めた。

「…………え?」

キャルルは、ポトッと口から飴玉を落とした。

目を擦る。兎耳をパタパタと動かして、もう一度見る。

そこにあるはずの、ボロボロだが温かみのある木造の小屋と、痩せた畑。

それが、跡形もなく消え去っていた。

代わりに建っていたのは、太陽の光を反射する強固な『高強度プレハブ住宅』の群れ。

整然と並んだ『太陽光発電パネル』と、不気味な稼働音を立てる『全自動農業プラント』。

そして、村全体をドーム状に覆う、青白い光を放つ『防衛フィールド』。

どう見ても、未知の超技術で作られた『強固な軍事要塞』だった。

「な、なにこれぇっ!? 私の村が、ないっ!?」

キャルルの頭の中で、最悪のシナリオが爆発的な速度で組み上がった。

「私がいない間に……ルナミス帝国が侵略してきたの!? いや、この不気味な魔導要塞はアバロンの新型兵器!?」

いずれにせよ、村人たちがただで済んでいるはずがない。

優しい村長や、いつも笑いかけてくれたお婆ちゃんたちが、冷たい牢屋で震えている光景が脳裏に浮かぶ。

「みんな……っ! 今、私が助けるからねっ!!」

キャルルは大切に抱えていた温泉饅頭の箱を地面にそっと置き、特注の強化靴を履いた両足を前後に開いた。

クラウチングスタートの姿勢。

月兎族の真の力が、彼女の細い足の筋肉に爆発的なエネルギーを蓄積していく。

「許さない……私の村を奪った悪い奴ら……絶対に許さないんだからぁぁっ!!」

ドゴォォォォォォォンッ!!!

キャルルが踏み込んだ瞬間、丘の上の地面がクレーターのように爆ぜた。

100メートルを5秒台で駆け抜ける月兎族の脚力。

彼女の体は文字通り『弾丸』となり、大気を切り裂いて要塞の防衛フィールドへと一直線に突撃する。

流星脚メテオ・ストライクッッ!!」

空中での一回転。

遠心力と脚力を極限まで乗せた、運動エネルギー『33,750ジュール』の必殺の飛び蹴りが、ポポロ村の防衛フィールドに真正面から激突した。

   ◆ ◆ ◆

「……ん?」

ポポロ村の中央テントで、コーヒーを飲んでいた信長が眉をひそめた。

『ピィィィィィィィッ!! 警告! 防衛フィールドに物理的衝撃!』

突如として、蘭のタブレットからけたたましいアラートが鳴り響いた。

「な、なんじゃ!? 帝国の残党か!?」

「いや、ち、違う……!」

ケーキを食べていた蘭が、信じられないものを見るように目を見開いた。

「なにこれ、どういうこと!? フィールドへの着弾速度、マッハ1を超えてる!」

「マッハ1!? 巡航ミサイルでも飛んできたんか!?」

「違う! 質量と熱源反応からして……これ、『たった一人の生体ユニット』だよ!!」

「はぁ!?」

信長がコーヒーを吹き出す。

義正が算盤を落とし、輝夜が目を丸くする。

「う、うおおおおおおおおっ!! 開けぇぇぇぇっ!!」

フィールドの外側で、長い兎耳を生やした少女が、涙目で叫びながら半透明の壁に連続回し蹴り(乱れ鐘打ち)を叩き込んでいる。

一撃ごとに、地球の最新技術で作られた防衛シールドが、悲鳴のようなエラー音を上げて波打っていた。

「ど、どうなってるの!? あの可愛いウサギさん、単身でミサイルみたいな威力出してるんだけど!?」

「輝夜、下がっとれ! 帝国の秘密兵器かもしれん!」

信長が対物ライフルを放り捨て、CQC用の特殊警棒を構えてテントを飛び出す。

温泉帰りのポンコツ村長と、日本最強の狂犬。

最悪のタイミングでの、勘違いだらけのファーストコンタクトが始まろうとしていた。

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