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第6話 あ、潰れた

ダンジョンゲートを潜る。

中は薄暗い洞窟タイプだ。


明りに関しては特に必要ない。

ダンジョン内は意図的な暗闇ゾーンなどもあるが、そういう場所以外は基本的に視界が通る程度の光があるからだ。

その光源がどこから来てるのかは正直分からないが、とにかく、そういう風に出来ている。


「最寄りの脱出ゲートは西か」


俺は腕に嵌めているマジックアイテムを起動し、脱出ゲートの位置を確認する。


ゲートへの方向を示すマジックアイテムは、ハンターの必需品だ。

これさえあれば、出口が分からずひたすらず迷い続けるって事がなくなる。


まあ例外もあるが。


「洞窟型だと真っすぐ進めないから、必ずしも西にある物が最短とは限らないからな」


その例外が、一部の洞窟タイプだ


中には道が曲がりくねっていたりするダンジョンもあるので、そういう場所では気を付けないといけない。

真っすぐ進んでいるのに、結果、逆にゲートからどんどん離れていくなんて事もある。


まあそれでも、そこまで入り組んだ形ってのはほとんどないので、余程の馬鹿でもない限り、洞窟の形を推測して動けば出れなくなるという事はないだろうが。


「オークが2体」


暫くダンジョンを進むと、体長二メートル程ある、巨体の二足歩行の魔物であるオークと遭遇する。

顔は完全に人間が飼い慣らしている家畜のブタそのもので、その手にはこん棒の様な物が握られていた。


「「ぶぎぃぃぃぃぃ!!」」


オーク二体が雄叫びを上げ突っ込んでくる。

俺は右手で持ったロッドを軽く突き出す形で構え、奴らを迎え撃つ。

因みに、ヒールブーストはまだ使わない。


素の状態でどの程度戦えるかを、まずは確認したい。

まあちょっとした腕試しだ。

十六年ぶりのダンジョンだから、楽しんでいこう。


「ぶぎぃ!」


オークが突進の勢いを乗せたこん棒の一撃を頭上から振り下ろしてくる。

俺はそれを半身で躱し、ロッドの尖っている部分で豚の目を突いた。


「びぎゃああああ!」


ロッドの尖りが食い込み、オークの目から血が噴き出す。

これで、ブーストなしでも柔らかい部分なら問題なくダメージが通る事が分かった。

次はもっと固い部分を試してみよう。


ああ、剣じゃなくてロッドを使うのは……単に買う金がなかったからだ。

鉱山の収入は全部家への仕送りにしたからな。

なので、前世を思い出す前に小遣いを溜めて買ったロッドを使っている訳だ。


……ま、オーク如きロッドで十分という自信があったからこそだが。


因みに、スピードはオークの方が俺より圧倒的に早い。

スピードの速い魔物ではないが、それでもレベル一のヒーラーと比べれば当然だ。

攻撃を容易く躱せるのは、転生前に積んだ無数の戦闘経験の賜物である。


「ぶるぁ!」


目を押さえて呻くオークを、もう一体のオークが邪魔だと言わんばかりに腕を振るってどかし、今度はそいつがこん棒で殴りかかってきた。


オークは知能が低い。

そのため挟み撃ちなんかはしてこないので、戦いやすい事この上なしだ。


「ぶぎぃ?」

「流石に、素の腕力じゃ皮膚は通らんか」


こん棒を躱し、首筋に尖りを叩きつけたが傷一つつかない。

首でこれなのだから、他の部分にも通らないだろう。

まあ一応股間なら行けそうな気もするが、そこだけ殴って倒すのは流石に無理がある。

目玉の方も、一体につき二つしかないし。


なので――


「ヒール!」


―—俺はヒールブーストを発動させる。


「さて、これなら……って、やっちまった!」


やらかしてしまい、声を上げる。

なにをやらかしたのか?

それは――力を込め過ぎて、ロッドの持ち手の部分を握り潰してしまったからだ。


金のない中でやりくりした安物だから、仕方なしと言えば仕方なしか。

ま、しょうがないので素手でやるとしよう。


「「ぶがあああああ!」」


今度は二匹同時にオークが攻撃して来た。

が、直線的な攻撃の上にブーストで身体能力が爆増している今の俺に、そんな攻撃があたる筈もない。


「ふっ!」


攻撃を躱し、左右二体にそれぞれボディブローをくれてやる。


「ぶぎゃああああ……」

「ぎゅうううう……」


俺の拳を受けた二体のオークが吹き飛ぶ。

手応えはまずまずだったが、一撃必殺とまでは行かない様だ。

なのでオークは二匹とも起き上がって来てしまう。


「ぶりぃぃぃ」

「ぶるるるる」


とは言え、二体ともフラフラだ。

迎え撃つまでもない。

此方から突っ込み、そしてダメ押しの攻撃で処理する。


「レベルが七つ上がったな」


レベル差が三十もあるだけあって、二匹狩っただけで一気にレベルがあがる。

やはりレベル上げは格上狩りに限るな。


「この感じなら、もうワンランク上でも行けそうだな。ここは出口につくまでに遭遇する魔物だけを狩って……」


狩るは格上であればあるほど効率が上がる。

なのでレベル上げを優先するなら、可能な限り格上を狩るのが良い。


とは言え、だ。


「素手で行くのは流石に問題か。取り敢えず、最低限の武器が買える程度にはここで稼いでおくか」


武器無しで行くのは宜しくない。

素手と武器有りとでは、流石に火力が大きく違ってくるからな。

そして火力が違えば効率も違ってくる。


ああもちろん、握ったら柄の部分が潰れる様なロッドは論外だぞ。

なので、ある程度真面な武器を手に入れるため、ここで最低限の稼ぎは入れていこう。


「アイテムドロップがあると稼ぎが捗るから、出てくれるとありがたいんだがな」


ダンジョンの魔物はそれ以外の魔物と違い、倒すと消滅し、魔法石やアイテムへと代わる。

そして大抵の場合、魔法石よりアイテムの方が高値で売れるのだ。


「ま、とにかく狩りだ狩り」


俺は真面な新武器獲得のため、ダンジョンを進む。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


『面白い。悪くない。続きが期待できそう』と思われましたら、是非ともブックマークと評価の方をよろしくお願いします。


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