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第10話 移動

訓練、レベル上げ、それらを平行に行う事二か月。

レベルは六十にまで上がった。


初日でがっつり上がっていたのにペースが遅くないか?


レベルってのは、上がれば上がる程上がりにくくなっている物だ。

後、毎日ダンジョンに行ってた訳でもない。

訓練日と交互にって感じなので、実質は半分の期間だと思ってくれ。


「ふむ……もうこの辺りだと経験値効率が宜しくないな」


ダンジョンから出てそう呟く。

今通っているダンジョンの敵のレベルは七十程。

効率を上げるのならもっと上のレベルの敵と戦う必要があり、そして今の俺にはそれだけの力があった。

低めに見積もっても、レベル百ぐらいまでなら十分通用するはずだ。


なのでそろそろ場所を移そうと思うのだが――


「うーん……」


問題は、近隣にレベル百以上の魔物が出るダンジョンがない事だ。

最も近い場所でも、今住んでる場所から二週間はかかる距離となっていた。

そうなると頻繁に実家に帰って来る事は難しくなる。


鉱山労働時も片道半日かかっていたので、纏まった休日が取れる三か月に一度しか帰ってなかったが、流石に片道が一週間ともなるとな。


往復だけで二週間。

その間、満足な訓練も、ダンジョンでのレベル上げも出来ないのだ。

頻繁に顔を出すのは余りにもロスが大きい。

なので帰郷は、頑張って年一ペース程度になるだろう。


「そうなると……確実に母さん達は心配するだろうな。なにせ鉱山労働と違って、命がけのハンター業な訳だし」


普通の仕事ならいざ知らず、死のリスクが少なからず付き纏うハンター。

息子がそれになって、しかも年に一度しか帰ってこないとなると、そりゃ心配するなという方が無理な話だ。


「……まあでも、避けては通れない道だしな」


最強への道。

そして母の治療のためのレベル二百。

その両方を達成するためには、高レベルダンジョンでのレベル上げは必須だ。

なので心配かけるのは心苦しくはあるが、行くしかないだろう。


まあ、帰郷頻度を上げればいいだけな気もするが……


「ただそれだと、ちょっとモヤっとするんだよな」


非効率的な動きはあまり好きじゃない。

なので二から三か月に一回、二週間も無駄に垂れ流すのは……


「あ、そうだ」


その時閃く。

走ればいい、と。


「今の俺だと、頑張れば半分ぐらいですむはず」


魔車でいいどうするから、往復の二週間を無為に過ごす事になるのだ。


だが、走れば片道約三日程でつく。

しかも移動と同時に走り込みまでできるときた。

まさに一挙両得である。


※魔車は魔獣、もしくは騎獣と呼ばれる魔物に荷台を引かせる乗り物。


「レベルが上がればもっと短縮できるだろうし」


我ながらナイスアイデアである。


「そうと決まれば早速引っ越しだ」


善は急げと言うからな。

家に帰って両親に少し遠くへ行くと説明し、拠点を移すとしよう。



拙作をお読みいただきありがとうございます。


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