第7章 地球に訪れた地球「ゲイリーパーク」後編
「おい、何なんだよ、この曲はっ! もう完全に日本語じゃんか、プルナ関係ないやろ! こんな悍ましい変態曲に爽やかもクソもあるか! いや、クソはあるが。クソだっ! 舐めとんのか。」
また曲が変わった。ポチッとな。
「今日も元気ナイスデイ、あなたと元気にテイスティ 今日も元気にウンコーぷう。ブリッ。ドカンドカン…。あれ、ウンコブリッ、ウンコブリッ、ウンコブリッ、ウンコブリッ…。」
なんかいきなりレコードの針が飛んだような同じ個所を繰り返し何度も何度も何度も何度も何度も歌っていた。完全に壊れた。
「ブリッとな、ブリッとな、ブリッとな、ブリッとな、ブリッとな、ブリッとな、…ブリッとな。」
段々皆がまたイライラしてきたら、いきなり歌が叫んだのだ。
「ぎゃああーっ! ういっヒッヒー。ドカンッ、なんちゃって。えー、次はブリッ。新山口いー。騙されてやんの、プフ。」
「そこかい、リピートはわざとか? 壊れてねーしよお! 何だブリッて。この曲腹立つわー。」
みんながイライラしていたらナナが説明して来た。
「えーと、実は今聞いていて飽きたから曲を変えたんだ。これは交響曲の第二番と第三番らしいよ。交響曲は全て愛をテーマに書き上げたんだって。恥ずかしさや騙し騙され、傷つきながら成長する姿を曲にしたんだって。交響曲は全部で第九番まであるみたい。プルナでは年末皆んなでプルナ国歌第九番を歌うんだって。カレックはベートーベンを尊敬していたから真似たのかもね。」
だと。するとタケが切れた。
「おい、そんなプルナの宣伝いらん。トイレハナクソエイリアンの紙ください星人だっけ? 交響曲二番三番てっ何! アホ曲を何個も流すなよ。それより今すぐ停止しろ。ベートーベン好きなら曲の数でなく、素敵な曲を真似てくれ。ウンコネタで9曲も作るな。ウンコ愛はいらん。そう言っとけ。で、今ここで曲を変更する必要あんのか? 何で曲が変わっても新山口でそこだけは継続なんだよ。 外せ、バカ。おちょくっとんのかワレ。」
すると皆んなが何故か怒った姿にナナは嬉しそうだった。
ただ、カレックは止まってくれたのでそれは良かったのだが最初はウンコのお経みたいな曲は、今度は爽やかな交響曲ウンコ第二番、意味不明の三番に変えられて、東京行きの歌は只今新山口まで停車して歌は継続中だった。
動かないカレックは宇宙警察にようやく捕まり、ゲイリーパークの精鋭部隊の宇宙警察がカレックを再び6次元の檻へ送還した。
この忌々しい曲はナナが流している。カレックも、アホ曲を何曲も作ってんじゃねーよ。しかも最後のは完全に日本語だ。何がプルナの交響曲だよ、皆んな耳に付いてしまい今晩夢で見そうだった。ウンコポクポクチーン。
そんな中爽やかにはなったが曲は現在広島辺りまで到着し、流れたままの状態で勝ち誇った様にぬくぬくとナナが異次元から姿を現した。
人間の数倍耳が良い変形自在の宇宙警察達が今度はナナを捕まえようとやってきた。ナナはそんな宇宙警察を逆手にアロー音波砲一撃で、一瞬で消してやっつけた。
アロー砲は簡単に言うと音のミサイルだ。ナナの得意技は音波。人間には感じない音の周波数も、宇宙の精鋭部隊には拾えて致命的な攻撃となるのだった。感覚を破壊し増幅増大させ一瞬で攻撃してナナが宇宙警察を6次元以上の抜け出せない檻へテレポーテーションさせた。
これらの異星人をリュウが分析していた。
「こいつら知能が高いとされる奴らの攻撃の共通点は次元を巧みに操れる。高濃度の電磁波や放射線と暮らせる。変身変形も自由自在だ。位相の操作まで出来る。ケンは3次元で4次元技が使える。技がどれも高度で、逆に人間には感じない領域にある。」
「変態ウンコマンを捕まえる為にケンとスタンリー教授、ゲイリーパーク警察部隊で果たしてウンコマンを捕まえられるのだろうか?」
「警察部隊はもう20体以上殺された。残りここには数体しかいない。我々人間に何が出来るか考えよう。」
今も流れる音楽は相変わらずお経から爽やかウンコ。
「あのウンコマン、奴は強いが、なぜか敏感。カレックに首絞められた時や志保がくすぐった時は苦しそうで涙目だったよな。技は俊敏でどんくさく消えるけど意外と肌って弱いんじゃないの?」
「人間の格闘技は通用しないかな? 奴らの攻撃は、高い文明には効くが、我々の様な原始的な攻撃には、まだつけ入る隙があるかも。さっきタマゴをぶつけられて嫌がっていた。あるタイミングで神経が過敏に高ぶるんじゃないかと思った。」
みんなで相談した結果、ナナへ咄嗟にリュウが回し蹴りをくらわした。翔がアッパーをくらわし、タケがさっきの消火器でぶん殴った。その時ケンとスタンリー教授がそれを見て動けない様に金縛りで押さえつけたのでナナは体を寝かせた状態で体が動かせない。するとデルデーナナは怒って我々に言った。
「てめえら、人間のくせにこの私を不意打ちでこんな目に合わせて、頭に来た。覚悟しろよ。お前ら人間を一瞬で消して、特にお前達だけは特別に異次元で手足と皮膚と目を剥がして耳を削いで苦しみながら餓死させてやるからな。」
すると志保が呟いた。
「アイツ、いつも口だけは凄いよね。そしていつもあのアホツラは宇宙一。」
そう言って志保は動けないナナに再びおっさんの様に脇をこちょこちょくすぐった。
「ホラホラ、こうか? ホレ、こうか?」
ナナはげらげら笑いだした。
「ぎゃっはっは。ちょっと、それは反則でよす。お願い、止めちください。」
言葉にならず、必死で涙目で訴えた。最後に持っていたホットスパイス液をナナの目にバシャバシャぶっかけて志保が言った。
「ーはい、ウンコデルちゃん。目薬のお時間でちゅよ。ウンコしてお休み。くそ野郎。」
そう言って寝ている体に志保の必殺技 「股間にちーん」 と 「ハイヒールでかかと落とし」 を左目辺りにお見舞いすると、ナナは体を震わせて痙攣し出した。体から湯気が出だし、ショートして動けなくなった。今がチャンスとばかりスタンリー教授は6次元の檻にナナをテレポーテーションさせ閉じ込めたのだった。
いつの間にかあのクソ曲も終わりを告げ、漸くこの会場がやっと静かになった。その瞬間みんなから笑みが零れた。ケンが言った。
「あの国歌はナナが操作していたな。ナナが消えたから曲も止まった。良かったね、東京まで行かなくて(笑)。」
「ひょっとして私達勝っちゃった? えっ? 宇宙最高の宇宙警官て弱くない? ヤバい。弱すぎ(笑)。何してくれたっけ? カレックとウンコタレゾーに負けたよね(笑)。ウンコマンはあいつ結局最後まで口だけだったよね。」
本当は強かったんだけど、誰も言わなかった。するとスタンリー教授が言った。
「ベイべ、ウンコ漏らしの弱点は目だったみたいだ。他の全ての体はなかなか強くアップデート出来たけど、要所要所で皮膚が過敏になったり、目だけは全くバージョンアップは無理だった様だ。」
「思いの外、人間らしい部分を残し過ぎた様で、志保のホットスパイス攻撃にウンコ漏らしはどうする事も出来ず負けた様じゃの。くすぐりやかかと落としなんてこんな原始的な攻撃まではまさか計算に無かったのかもな。そんな敏感な部分がある事に、最初に気づいたリュウって相当凄いよ。」
「だけど、その宇宙の凶悪犯を倒した志保。やっぱあなたが一番凄いよ。」
そう言ってスタンリー教授が志保を労うと志保はおしとやかにお礼を返した。
「あはは、いえいえ、てめえのそのツラの方がすげえよ。」
そう志保が労うと周りが慌てて気まずい雰囲気になり、スタンリー教授は無言になった。
ケンは思った。
「志保に認められるツラはどんなツラだ一体?」
すると、志保がケンの頭を掴んでケンの両ほっぺをつねりながら志保の顔の目の前に持って来た。
「こんなツラだよー。」
って言って口を尖らせて目を閉じてキスしようとすると、ケンが慌てて逃げた。
「うわっ! アホか、お前はどさくさ紛れに何考えているんだ! 変態っ止めろ。アホ。ぎゃーはっっは。」
今度は脇をくすぐり出した。
その時またゲイリーパークの警官達が何人もここにテレポーテーションして現れた。2人の騒いでいる横を何体もケンと志保の顔を伺いながらそっと通り過ぎた。
「ねえケンたら、何で逃げるのよー、ケンに全部あげるわ。受け取って。ほら、カモーン。」
「いらないからお前は俺の半径3メートル以内に入るの禁止だから。」
「本当? ありがとう。はい、来たわ。でーぷキスよ。」
「何で来る、お前3センチじゃないぞ、間違えとろーが。」
「あは。3ミリと間違えちゃった。遠目のキス。」
「アホッ、3ミリは近すぎだろ、目の前だ。勘弁しろよ。離れやがれ。」
と二人の会話は延々と続くのだった。タケ、翔とスタンリー教授は思った。
「あの二人、結婚しちゃえばいいのに。」
とても仲がいい。あの彰子さんは絶世の美女で別格だ。違いない。でもケンのベストパートナーは志保じゃない? 最高のカップルだ。そう思うのだった。
今いる宇宙最高警察は微笑ましい2人をよそに大人しく作業をしていた。
「この宇宙最高警察達よりも志保は圧倒的に宇宙最強なんじゃない?」
皆んなが恐れた。そんなの関係なしに志保がケンと何とかキスしようと口を尖がらして逃げ回るケンを追いかけまわしていた。
「志保ー、今すぐ止めるんだ。ぎゃーはっはっ。苦しい、止めて。」
くすぐりながらケンを追い詰めた。
「行くわよーっ! 祝! 初めてのレロレロブッチュッチュウよ!」
この2人をただただ周りは暖かく、口を開けたまま唖然と凍り付いていた。志保怖いと。
そんな中、宇宙最高の警察部隊ゲイリーパークはやられた隊員の回収を黙ってただ黙々と行っていた。リュウは思った。
「あなた方は弱いですね。頼りにならないので私達が倒しましたよ。」
と言って自慢したかったけど、言わずに我慢した。スタンリー教授がナナを閉じ込めた6次元の檻のアドレスを書いて彼ら宇宙警察に引き渡した。普通日本の警察なら実況見分などをするけども、彼らはここで起きた事態をフラッシュバックして数秒で納得して誰からも相手にされないままこの場所を退散した。
スタンリー教授は良いメンバーと出会えて本当に良かったと思った。ようやく志保から逃げられてケンはスタンリー教授と話し出した。志保は動き過ぎてぜえぜえ疲れていた。
誰もナナの事をナナの名前で憶えていない。最後はウンコマンになった。うちらのメンバーはその人の善悪を一瞬で見抜ける能力の持ち主の様だ。志保は会ってすぐ悪口は言わない。例えブサイクでも。
余程何か悪い風を出していたのを察知したのかも知れない。それか本当にツラが許せなかったのかも知れないけど。結局相手を極限まで苦しませてから殺すと言っていた奴がブーメランの様に自分に返って来てやられた。
ウンコといじめられ、物をぶつけられて最後はくすぐられてかかと落とし。これ以上ない苦しみの上に更に6次元檻へ生きたまま苦しみ悶える地獄に送られた。改めてケンは思った。志保は宇宙で一番強い女だと全員が認めた。スタンリー教授が言った。
「ベイべみんな聞いてくれ。ここからは苦言です。今回のあなた達のウンコマンへのいじめですが、決して許されるものではない。が弱い者をいじめたのでは無く、宇宙で最高機関の宇宙警官ですら敵わない相手を強い者いじめした行為だったので今回は特別に許したる。私は地球で弱い者をいじめている奴らが大嫌いで退治している。例えあなた達でも、もしも自分より弱い相手を助けずいじめたら、わしゃあ、許さんぜよ。」
スタンリー教授は怒った。けど、続けてこうも言った。
「本当に私の憎き敵を倒してくれてありがとう。あなた方に感謝する。」
この時かくして地球に来たゲイリーパークと呼ばれる地球と同じサイズのもう1つの地球型UFOが地球を去っていった。お礼のつもりか、散らかった宇宙ゴミを全てかたして帰って行った。




