第8話 消えたシンポジウム会場
大騒ぎとパニックの地球人をよそにして笑顔で帰って行ったに違いない。
「スタンリー教授の言う通り、いじめたり悪さをする奴らは必ず天罰を受ける。やった報いは自分の所に必ず返ってくる。でもその逆もあるから、我々は謙虚で良い行いをこれからもしようね。」
ケンはみんなを労って解散した。
ケンは彰子が待っているのでひと足早く家路についた。全てが終了した事を家で待っている彰子に連絡をした。
ケンが抜けても皆んなはまだそこで喋っていた。すっかり日も落ち夜になり色々話したい事もあり、スタンリー教授と我々は仲良くなれたのでみんなで飲みに行く話をしていた。
飲み場所を探している時の事だった。
その時いきなりシンポジウムの大きな会場が突然消えた。周りの歩いている人や、街の景色も消えた。人の話し声や車の音、街のネオンの全てが無くなり、我々以外はいきなり暗がりの静かな野原となった。
夜だったので全ての明かりが無くなったので星明りだけの世界だった。その後、カタン、カタンと戦時中、戦国時代、近未来、遠未来と次々と景色が変わっていった。その時空から声が聞こえた。
「ねえ、景色はどこが好きですか?」
女性の声だった。しかしどこかで聞いた声だった。遠未来はやたら明るかったので、遠未来と答えた。これは未来の映像なのか?
街の人が空を歩いていた。バイクもミニ飛行機に人が跨っていた。車も球体になってタイヤが無く今の原型が無かった。
明るいビルとビルの高い階に歩く歩道がみたいな所を、光に包まれた長いカプセルの中を高速で人がスーパーマンみたいな仰向けで飛んでいる様な格好でサラリーマンが通り抜けていた。
下の道路みたいな場所は電動ソリみたいのが走っていた。坂道だけをただ寝て走るのでなく、絨毯の様な平地を自動運転で勝手に曲がるし停止もする。そこの上で皆読書したりデジタルTVを見ていたり。透明なバリヤも付いていて雨除けのある乗り物が動いていた。
街に電柱も、信号もアスファルトすら無かった。すると先程話しかけてきた人が姿を見せた。何と、やたら美しくて最初天女が現れたかと思った。
それは今度ケンと結婚する彰子が黄色い光の中から数メートル上で静止していた。彰子は言った。ケンの力はまだ不十分。これから私が育てます。
これはプロジェクションマッピングではありません。今見せている景色は全て本物で、あなた方をタイムトラベルの旅行に招待しています。見た事ないでしょ?
この未来が今壊れかけています。この先更に膨らむ日本は大きな借金とミサイル開発で現状を止められません。今止めないとあなた方の未来は消えます。
あなた方の力が必要なんです。本当はもっと早くお会いしたかったのですが、今日まさか宇宙警察ゲイリーパークがアンドロメダ一帯を脅かす悪人ナナを捕まえる為にまさか地球に来るなんて思わなかったのでこんな時間になってごめんなさい。
私はアンドロメダ星雲Kスターにある女王彰子です。私は、元々は地球の隠れ異星人です。
最近ではカレックが私と結婚する為の嫉妬で地球を滅ぼしてしまいました。ごめんなさい。
それを見てアンドロメダの惑星を束ねるト王が今日私を女王にスカウト任命しました。
私達はデルデーナナの様な悪者ではありません。今ト王はケンに会っている筈です。ケンがト王の言う事を聞いてくれれば良いのですが、言う事を聞かなければお別れしないといけなくなります。
私を強くこれまで支持してくれたケンをパートナーにしたいです。あなた方にもこれからもいてほしい。あとカレックも。今度は喧嘩しない様に私の命令以外は動かない様にします。プルナの国王には了承済みです。すると、リュウが口を開いた。
「彰子さん、カレックはさっきゲイリーパークに捕まりました。あなたは取り返せるのですか? あなたの敵は誰ですか?」
彰子が答えた。それは今ト王がケンに話していると思います。
皆はあの心の綺麗な美人彰子が何を企んでいるのか信じる事が出来ず、ケンの結婚相手を疑いたくは無かったが疑惑しか無かった。ケンと話しているならケンに全て委ねる事とした。
そして一方、ケンはー。
ケンが家に着くと待っていたのは彰子で無く、今日爆発させられた透明人間の家族だとテレパシーで言ってきた。姿を液体金属の様な成り立ちで現わした。
仲良くしようという雰囲気では無く怒っていた。その瞬間指を鳴らして、これまであった全ての街と人間が消されてしまった。地平線だけ。その男がケンに聞いてきた。
「何故あの時、透明物体を破壊した? あれは我が子だ。遊んでいただけだ。お前はわからなかったか? 皆とじゃれて遊び喜んでいただけ。志保はわかったのに。もう志保とお前の仲間は我々の仲間に認定したよ。」
ケンが答えた。
「それは大人の人間を持ち上げるパワーがあったので子供とは思わなかった。しかも影にする能力も普通じゃない。まあ、あなたに会ってパワーが別格だからその子供も別格なのは理解出来たけど。その時いたのは透明だったから子供が遊んでいるとは想像すら出来なかった。そのちょっと前にナナが違う異星人を影にしていたのを見ていたから、悪い奴の仕業だと決めつけてしまった。申し訳ない。あなたの子を元通りにする。」
ケンが言うと、その男は、少し冷静になって言った。
「こうやってね、今のは真空エネルギーを弱く使って少し低いエネルギー状態にして見える人間を消したんだ。わずかに強めるとこの様に地平線だけにも出来る。」
と言ってきた。ケンはまた別世界に移動させたのかと思ったが。
「ケン、お前の力は存じている。皆から慕われて随分、評判はいいよね。爆発の我が子を元通りに出来る能力もある。だから我が子の復元はお前がやれ。でもお前にしてほしい事はもう少しお前の能力を磨いて成長して貰いたい。」
「なので、今回はデルデーナナが我が子を移動させてしまった次元に行って拾ってきてほしい。これはお前が次元移動を出来るようになって貰う為の明日までの宿題だ。出来たら俺の仲間に加えてやる。ここを勿論元通りの世界にもまた戻してやる。今俺がお前をとある世界へ閉じ込めているからお前の能力は制限されるがね。」
そう男はケンに伝えた。ケンが聞いた。
「彰子はどうした?」
男は答えた。
「今はまだ無事だよ。俺の言った通り仕事をすればね。」
「それと、彰子も私と同じ異星人だ。彰子は宇宙で美しい女だ。俺の子供を産ませる。この2つが交渉条件だ。」
ケンが口を開こうとすると、また指を鳴らしてこの世の見える景色を全て消し去った。今度は地平線や地球すら無い。真っ暗な世界に私とそいつだけだった。
こいつは何者だ? 強さはこれまでのとはまるで比にならなかった。あいさつ代わりにこちらも宇宙スキームでそいつを念力で持ち上げ金縛りにしてもまるで通用しなかった。桁違いだ。ここはどこだ? 世界が無くなり、宇宙でもない真っ暗な世界にまるで大きな風船の中にいる様だ。立っていられない世界だった。
「宇宙が無くなるとどうなるかな? こんな世界だと思わないか? さあ、どうする? 返事を聞こうか。」
シンポジウムの異星人たち 完




