第4章 日本語における宇宙人のクレーム
ケンが言った。
「そろそろ出てきたらどうだい? 今まで狙うチャンスはいっぱいあったのに、もうタイミング的には遅くてお前が圧倒的不利だぞ。」
そう言うと会場が騒めいた。右の席の一番奥に座っていた男がゆっくり立ち上がった。青白い顔で超音波なのかチュルチュル音を伝えてきた。音がどんどん大きくなり、この中にいる会場中の人が音のする方へ振り返った。ケンの付き添いの翔とタケがすぐさま護衛に裏から出て来た。志保が表にいたリュウにも直ぐ来るように連絡した。
この翔とタケ、リュウは以前ケンの会社の医療の仕事の時にバイトとして手伝う仲間でした。リュウ以外はみんなまだ大学生でしたがいつも力比べをしていた。翔は空手有段者でタケは元ヤンキーヘッド、リュウは騙され反社となったが、弱いものを助ける男だった。ジークンドーと柔術の格闘技経験者だった。
もう一人麻未もいた。麻未は強い男が好きで3人で異種格闘技の試合をさせて麻未はタケと結婚した。タケが勝ったという訳では無いのだが。勝ったのはリュウだった。大学時代の彼らすべてがケンに助けられた。
リュウは銃らしき物を持った表の怪しい3人を簡単にやっつけ、中に入って後ろの席にいる青白く音を出す男を捕まえた。捕まえた途端、青白い男はムカデの様な姿に変身した。お客さんは気持ち悪くて驚き悲鳴を上げた。
直ぐ様お客を守る様に翔とタケがお客を避難させ護衛した。ケンもお客に被害が無いよう、透明バリヤをそれぞれに覆った。リュウは顔色変える事も無くそいつを押さえつけ、驚きもせず足がいっぱいついている1本づつをへし折った。
皆はムカデ毒が心配だったが怪物は動けなくなった。これが宇宙人なのかはわからないが気持ち悪い怪物。叫ぶ会場のお客を翔とタケは右側非常口から全員逃がした。
このチームの仲間達はリュウに怖いものは無いのかと皆んなびっくりしていた。更に違う1体が接近。実態は無く、影だけがケンの方に近づいてきた。翔とタケがガードに入った。2人が影に攻撃しても無駄だった。影にダメージは受けない。
向こうからの攻撃も無かった。何がしたいのか? 来た意味が分からずにいると突然ワープして来たもう1体は奥扉の前で宙に浮いていた。これはカレックが宙に浮いていたのと同じ技だ。ワープも出来る。能力は他の2体よりも上だ。
「これがケンを狙う恐怖のリーダーだろうか?」
なんか黒光りの衣装で顔もブサイクで気味悪くいかにも悪者雰囲気満載だった。
この状況を座席の裏から隠れて見ていた宇宙人否定派物理学者アレックスはスマホで撮影してどんなトリックかを暴いてやろうと思った。そうしていると宙に浮いている1体がわかる言葉で話してきた。
「我らを助けてほしい。」
とても青白い顔だったので、志保が口を開いた。
「どうしたのですか? とても顔が悪いですよ。」
するとタケが、言った。
「違うよ志保、とても顔色が悪いですよ、だろ?」
「あれ? 間違えた。あはは、ウケるー。」
この時既に皆から相当不評なのがわかった。ムカデじゃ嫌だわ。その顔も。でもケンはそいつが顔以外の悪い所は無かったので、それを聞いた途端にケンは警戒を止めた。我々の話を長く聞いているだけで殺気をまるで感じなかったからだ。リュウとスタンリー教授もケンの味方に付いた。
影だけの1体は狙われた宇宙人から影にされてしまったそうだ。ムカデの姿は我々の本当の姿だ。これを見せたら仲良くなれないと思ったので人間の格好をしましたが、変身は全然上手くなくてすぐ剝れてしまう。体力も無いし、強くないです。
さっきは私の仲間が睡眠不足で気分悪くなってしまいムカデに戻ってしまいました。不気味で大騒ぎとなってあなたの仲間からボコボコにされた。表の3人は私の護衛で雇ったアルバイトです。お金も無いので、ごく普通のただの大学生です。
私たちは顔が醜く残酷ですが頑張って生きています。仕方無い事です。何とかお話だけでもと思っていたので人間に化けるしかありませんでした。脅かすつもりはありませんでしたが、まともに出て行っいても話を聞いてもらえると思わなくてそれでこのようになってしまいました。それでも今話を聞いて下さってありがとうございました。
それを聞いたケンはリュウに折られたムカデ星人の足を宇宙スキームで治してあげた。そしてケンは謝った。
「こちらこそすまない事をした。正直見栄えがキモ悪過ぎて、悪者と決めつけてしまいました。そんな綺麗な心を持つ化け物の宇宙人がいるなんて考えもしなかったよ。」
この時リュウも謝った。結局ケンとスタンリー教授、リュウは味方についた。一方、タケと翔、志保は悪者で認定して意見は分かれた。
彼らの定義は醜い男に綺麗無し。騙され裏切られたこともあり、簡単に信じる事が出来なくなっていた。更に影にされた物体もケンのスキームで過去に巻き戻して影にされる前のムカデの姿に戻してあげた。ケンが言った。
「私は宇宙人の地球潜入話はプルナの国王からも聞いていたので調査していました。ひょっとすると助けてほしいというあなた方の敵も私の探している奴らと同じかも知れないね。詳しく聞かせてくれないか?」
「初めに私は名前をナナと言います。今は変身して人間に化けていますが、元がムカデなので、カッコよく化けられません。化けても虫の様な醜い顔です。それでもムカデよりはマシです。」
するとケンが答えた。
「あなたはブサイクだけど変身は人間ぽく出来ているよ。言葉も喋れるし、とても強そうだし。でも他の一緒にいるこの2体は知能が低いペットレベルだね。あなたと同じ種族なの?」
「この2人は私の星の一般住人です。私は戦士として作られたので。国王からプルナ人やカレックの事も聞いています。プルナ人は私達の星の守り神です。私は地球ではプレアデスと呼ばれる昴の傍にある惑星から来ました。ここまで460光年です。私たちの言葉ではプレアデスをウンコデルデーと呼んでいます。私達デルデー星人は弱いです。なので宇宙のターゲットにされています。私がこの中でワープや宙に浮けるのは星を守る戦闘員だからです。あなたに会って話をしたら直ぐ星へ帰らないといけません。」
「あれ? さっきの病弱なメンバーはチュルチュル超音波みたいに音出してなかったっけ? あなた方の会話は超音波じゃないのか? 何だそのウンコデルデーって? 真顔で言うなよ。完全に日本語じゃんか!」
「なんかその冗談、以前カレックもプルナ星で国歌を作ったとか言って、曲調がお経で歌詩はウンコ。で叫んでシャウトする忌々しく悍ましい下品な歌を熱唱していたのを聞いた事あるけど。これは日本の曲をヒントに作ったからこのプルナ国歌は曲名を君が代2でもいいかな? 等と聞いてきた。ほぼウンコしか言ってなかったけど。愛の讃歌だとさ。」
「実は私達も今日お話しにあったⅩ星から昴に逃げた元々はあなた方と同じ先祖の宇宙人なんです。なので言葉も近い発音の言語で話します。さっきは会話で無く、助けてほしい時にはさっきの超音波を発します。多分プルナ人も使えると思いますけど。私達とプルナ人は言葉的に大きな変化はありませんが、地球の日本語は正しくありません、下品です。どうして言葉を日本語なんかに変えてしまったのか、これはクレームでございます。他の英語等の言葉は問題ありませんけど。」
「日本語の アホ はスペイン語では ニンニク です。私たちの星では オマエ の意味。同じ言葉でも意味が大きく変わるのです。」
「ウンコは我々のⅩ星先祖の代から愛する人に使う言葉でした。最上級の誉め言葉です。あなたの彼女や大切な方、あなたの恩師や恩人を偉大なるこの一言で誉めるのです。ウンコ。これから仲良くなりたい時には発してください。一撃必殺なんです。」
「神的な霊験あらたかな言葉。あなたの立場で言うなら、愛する彰子は完壁なウンコです。言ったら喜んであなたを抱きしめるかも。結婚したい時にはデルデーと叫びましょう。デルデーは 俺と幸せになろう や いつまでも一緒 の意味。つまりウンコデルデーはあなたの場合で使うなら 世界一の女や美人にはまとめてウンコと言ってください。彰子も。ウンコデルデー つまりウンコ、私と結婚してください。というプロポーズの言葉になります。」
「彰子、ウンコデルデー と言ったら泣いて喜ぶ言葉になります。ところが何と、日本てトイレ前の話す掛け声になっているじゃあありませんか。ちょっとトイレ行ってくる。うんこでるでー。ぐふふ。みたいに変えやがって。誠に遺憾です。謝ってください。我々先祖で繋がっている星の一族たちは大変怒っています。言葉は言霊です。そんな態度だから日本の地位は沈没真近の駄目な借金大国に成り下がるんですよ。」
「別にウンコが原因で日本は沈没している訳じゃない。彰子をウンコにするなよ。それ完全に悪口だぞ。 怒らないと思うけど、言えるか? 普通に呆れるわ。幸せになんかなれるかよ、怒らせて終わる。完全にマイナス。お前らの星とプルナのアホ言葉を治せ。」
カレックが大阪を気に入ったのは、ウンコをババと名前を変えて呼んでいる事も大きい。ケンがナナに聞いた。
「ナナ、そちらの国では出すものをウンコでは無く何と呼んでいるの? 何だったら良いのかな? 日本国民にお前が教えてやれよ。」
するとナナは言った。
「この国のウンコは我々の星ではカセイジと呼んでいます。地球でそういえば問題無いです。」
「カセイジ? 言葉がセイジカみたいだな。カセイジを何回も繰り返し言うとセイジカになる。それはそれでこの国では悪口になり問題だわ。とても困るよなあ。」
おっと、ウンコ話で時間が経ってしまった。ケン達はナナ達デルデー人の敵を探す事にした。




