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 宇宙スキーム         シンポジウムの異星人たち  作者: K レイ


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第3章 宇宙最強の嫉妬

 「あなた方は経験しているのにその記憶が無いのは、私が過去に戻り、夜中に衝突が起きる数分前にミサイルを回避したから2度目は滅ばせずに済んだんです。つまり、ミサイルで地球が滅びたという歴史をミサイルが飛んできた所から書き換えたのです。飛んでは来なかったとそうしました。」


「あなた方が受けた爆撃の恐怖と痛みもスキーム技の(削除)と(縫合)で記憶を縫い合わせたのでありません。」


 「実際は、私一人での宇宙スキームでは止まりません。後で話しますけど、強大な力をお借りしました。地球で作ったミサイルの様にゆっくり来ない。光だからかわせる筈も無い。実際は数秒でこの世界は終了したのです。」


 「終了した後、何故か私は再び目を覚ました。勿論その時は天国に行ったと思っていたよ。爆発から死ぬ瞬間に私達一部の人間だけをカレックはプルナ星へ瞬間移動させた。」


 「気を失った私が再び目を覚ました時には朝の光が入ってきて、私の住んでいるマンションがいつもと変わらぬ清々しい朝を迎えていた。外に出て歩いた時も静かな街並みと楽し気な近所の子供達や、会社に遅れそうなサラリーマンの慌てた姿といつもと何も変わらない街並みだった。」


 「それはカレックがプルナ星で作った高性能なプロジェクションマッピングだったと後でプルナの国王が種明かしをしてくれた。プルナの地上はいつも夕方の様な明るさに設定されていますけど、その時は人工太陽を動かして10時間で日没する様な設定に変えていたそうだ。」


 「日本にある環境をカレックがプルナ星で再現したのだ。つまり目を覚ましたその世界は地球では無く全てが噓だった。あの恐ろしい爆発と焼け焦げた痛くて苦しい様は忘れる筈も無く、それでもその時はこの街並みを見ているとこれが現実だ、あれは夢、恐ろしい悪夢を見たのだ。と喜こんだ。初めはそう思ったのだ。」

 

 「だけど会社に行く時からやっぱりおかしかった。言葉にはしづらい違和感というか、昨日までの暮らしとは何かが違ったのを感じた。カレックは私の記憶は残したままだった。」


 「周りの会社員の記憶を確かめたら全ての記憶はスキーム技の(削除)と(縫合)で消されていてここで働く記憶だけが彼らにはあった。記憶の断片を消して縫合する技。なので信じそうになる。会社へ着くと私は昨日まで医療の手伝いと新医療団体シリウスを立ち上げてその社長だったけども、なぜかアニメ制作会社シリウスに変わっていて、夏公開予定アニメ (偉大なカレック様) の製作を手掛ける会社の社長になっていたのだ。」


 「私には彰子という結婚相手がいたのに、カレックの結婚相手が彰子、私の結婚相手は志保に変えられていた。この時はっきり分かった。カレックにしてやられたと。」


 「しかもインストールしてくれた宇宙スキームの能力が今いるこの世界では全然使えないし、この日本に国王など存在しないけど、ここではカレックが国王だった。そのカレック国王は夏公開されるアニメーションの主役に抜擢された事に対して会社に労いの為の表敬訪問をしにやって来た。」


 「カレックが突然国王になった事や嫁さんが変わり、会社が変わった事。どんな言い訳をするのか、カレックに聞こうと思った。まさかこれが本当に何かの歪みで起きたパラドックスなのかとも少し思ったりもした。元に戻れるかどうかを尋ねた。カレックの説明はこうだ。」


 「地球滅亡を否定しなかった。誰かわからないけども、私より能力持った宇宙人がミサイルを撃ち込んだ。この私がミサイルを止めようと私のスキームで立ち向かったが能力が強すぎて止められなかった。仕方なしにあなた方地球人を寸前で違う次元にある地球へテレポーテーションしてあなた方の一命は救われた。つまり私のおかげだと。」


 「これまで悪い事をして人や動物を傷付け、騙しや嘘で私腹を肥やした悪い奴らは悪魔やゴキブリ等と仲良く暮らせる地球に送ってやった。いじめっ子から助ける様な人助け等の人や動物に良い事した人は天国の様な地球へ送った。どや、わしは閻魔様みたいやろ? そんであんたは今ここやで。気に入ったか? ふぉっふぉっふぉっ。細かい部分は多少し違うけど前より良い世界になっているよ。あなたはわしのおかげで裕福だ。直属の部下だし身分が高く成れて良かったね。喜べ。」


 

 「だって。後で国王に聞いたが、善悪審査で人間をそれぞれの異次元地球に送ったのは事実だそうだ。パラレルワールドへ。パラレルワールドは地球でも軽めに起きる事があります。時空がほんの少しずれただけなのでほぼ帰れますが、異星人の作ったパラレルワールドは深くて帰るのが不可能です。私がその後過去に戻り地球消滅を食い止めた時は、プルナ国王判断で悪人以外の普通の人だけを国王はこれまでの地球に戻した。カレックが悪人は全てマーキングしていたおかげで閉じ込める事が出来た。地球に凶悪犯はいなくなったとプルナの国王は申していた。そんな事ができるのはプルナ星でも国王とカレックだけだったみたい。」


 「カレックは良い事をしていた。地球を滅ぼす以外は。次元を変えられたら同じ地球にはまず帰れない。次元は複数有り、同じ場所になかなか戻れない。だから国王は次元移動のスキーム技は私に絶対使うなと釘を刺した。3次元の人間には使うのは無理だ。複雑過ぎて絶対帰って来られる訳がないし、私も違う次元に行ってはもう探せない。行く前にマーキングすれば戻したくない人はそのままに出来て、戻したい人は戻せる。許可なく使わないように。そう何度も国王が次元移動の怖さを話していた。」


 「なので私は怖くなり絶対使わないと誓った。次元を変えず現実のプルナ星に瞬間移動させたのは私と私の会社の仲間だけを連れてきた罠だ。全ては私にここが違う次元にある地球だと信じ込ませるために絶望させるのが目的で嘘だと気付かれるのを遅らせる処置だと言っていた。」


 「なぜカレックが私を次元移動させなかったのか? 彰子が目当てなら私を次元移動させたら終わっていたがそれをしなかった。私の記憶も残したままだ。つまりカレックは結婚を約束したのはこのわしだというのをわからせたかったからだ。」


 「見せつけて、お前はこのわしには絶対に勝てない。そういうケンの絶望が見たくてカレックと彰子の歪日幸せに暮らす姿をわしの傍で毎日見て悔しさと共にここ天国で地獄を一生味あわせてやりたかった。と国王は自分の見解を私に伝えた。」


 「ケンに彰子を諦めさせるのが狙いだが凄まじい。結婚約束したのはこの俺だと。そこまでして、ケンに負けたくなかった。カレックの執念で全てが起きた事。それを見せつけて絶望させてお前の物は俺の物だ。そうわからせるための行為だと国王は伝えてきた。」


 

 「私の持っていたスキーム力はカレックによって無力な状態にされてしまったのもカレックには都合が良かったからだ。反撃されては困るし。とここまでは後で国王から聞いた話です。この時の私はまだ現実がどうなっているかわからなくて必死だった。カレックに言った。」


 

 「宇宙スキーム使いたいんだけど。」

 

 そう言うとカレックは答えた。


 「もうこの地球はわしもおるし、ミサイルも撃ち込まれない。スキームは必要無くなったのじゃよ。喜べ。お前はもうわしの与えた力が無くても命懸けの特殊任務に就く事も無くなったからスキームなど必要無い。幸せになれたのじゃ。ここでのんびり幸せに暮らせばよい。ふぉっふぉっふぉっ。」

 

 だって。でも最初はどうなっているかわからなかった世界もこれでようやくわかった。カレックが望むものばかりがこの世界にはあったからだ。私へのやきもちがここまで大きくなったとはこの時点では考えていなかったが、私と彰子の幸せを願う様な男では無かったのもとうに気づいていた。


 もし違う次元に送られていたら私が持っていた宇宙スキームでももう永久に元の世界には戻れない。今は能力を無力にされてはいるがまだ何とかする方法はあった。


 パラレルワールドで無くここが現実の世界ならば。そしたら私にもまだチャンスがある。この世界はカレックには天国でも、私には地獄でしかなかった。何度も思った。

 

 「もう諦めるしかないか。」

 

 そう繰り返し絶望がよぎる。時だけが過ぎていった。カレックがいないと元の次元の地球に戻るなんて出来る訳が無い。もう一度昨日の爆発から今までを細かく追って考えてみたんだ。良く見るとここは今の見えるこの世界は細かな所に綻びが出てしまっている。


 まず空気。地球より数段美味しい。空は今午後を周り夕方前の景色。太陽が赤く夕焼けになって来た。暗い空をよおく、じっくり観察すると暗がりの向こうにわずかだが赤く見えた。これはプルナの赤い星雲。そして匂い。実はわずかな匂いまではカレックは気づかなかったみたいだ。


 それが前に訪れたプルナ星の匂いにそっくりだった。少し潮っぽかった。私の以前住んでいた所は海が近くには無かった。なのでこの匂いはおかしい。今ここにあるこの地球とされている世界は私の住んでいる街並みにはなっている。車も通るし、バイクや通行人も変わらない。コンビニ行っても、実際物は買えるしサンドイッチを食べた。次元と位相をずらして作る高度なトリックだった。次の次の更に次のテクノロジーみたいだが。でもこの時この景色は作られた幻の景色だと疑わなかった。


 私の家の前の道路を靴下で歩いてみた。ここは花壇の土や埃が風吹いた時に自然と舞って靴下だと汚れてしまう箇所があるのだが、ここを歩いてもそんなに足裏が汚れなかった。


 私の町とは違う。私は就寝中にプルナまで靴下履いたまま移送されたので覚えている。プルナ星で歩いた時は靴下履いたままだったけど足は少ししか汚れなかった。蟻などの虫も全然いないし。これが地球ではない証拠。しかも靴下履いただけじゃ寒い季節。ここは気候が日本より少し暖かい。その時とそっくりだった。


 汚れない道はプルナ星しか無い。なのでここは地球じゃない。プルナで間違いないわ。と段階的に理解が出来た。それだけ精巧な景色だった。


 プルナでは少し先に海があった。海の脇を少し歩いた所に立つと、日本のタクシー乗り場じゃないけどプルナ人だけが知るシンボルがあり、言葉で書いていないのだが、そこで待っていればUFOが迎えに来るのだ。プルナ人はそれに乗って地底まで行く事が出来るのを覚えていた。


 この困った状況に私は、以前プルナ星訪問時にお会いしたプルナの国王と会って相談したい。とても愛情深い良い方なので相談してみようと思い、カレックに動きがばれない様にこっそり会いに行きました。


 幸いにもカレックは滅んだ地球の後始末と連れてきたケンの会社の人の管理に追われていた。ここが地球であり、プルナ星でない事を気付かれない様に監視と今後の計画に目が行き過ぎて、プルナの国王の事まで考えていなかった。


 鈍感なケンにこのトリックが見破れないだろうと安心していたのもある。カレックの働きはプルナでも地球にもとても良い行いをしていたのだが、そんな嫉妬とやきもちで地球を滅ぼして、このあり様。


 嫉妬は恐ろしいと改めて思った。カレック程の宇宙で最強の偉大なプルナ人が地球最弱の動物、人間のとある大阪小学生の女の子が持つ愛情にだけ勝てなかった。


 幼少期を経験しないプルナ人には4次元以上のテクノロジーをいとも簡単に作れてしまうのに、大事な人を他の人に奪われる対応と適応能力を持っていなかった。ケンはとても残念でならなかった。


 プルナ国王へ全てを話した。国王はカレックを信じ、そんな事になるとは思いもしなかった。


 以前からカレックの嫉妬に注意を促していたのだが、これまでいつも右腕となって私を支え続けてくれた大恩人。信じていただけに酷いショックを受け、こんな結果になり国王は大泣きした。


 ケンからすれば絶望しか無かったので前の世界を取り戻したかった。信じて信頼して1番の友達だったカレック。日本国王も嘘。プルナ国王は私に謝り、何も出来ない私に更に強力な宇宙スキームを再インストールしてくれた。それでも次元移動は不可だが。


 カレックがどんなに強くても国王に勝てる訳が無く、国王にお願いして滅亡した地球再建とカレックの放った核ミサイル除去にも力を貸してくれた。つまり、地球は消滅数分前、私が過去へ戻った時一緒に来てくれて国王のスキームの力でカレックの強力なミサイルは一瞬で消すことが出来た。


 カレックに問い詰めたがすっ呆けたので、プルナ国王は悪さをしたカレックを罰した。一番重い罰でカレックを6次元の檻に閉じ込めた。


 これで生きながら閉じ込められカレックと言えど脱出は困難を極めた筈だ。彼は3次元の世界では無敵でも6次元ではどうする事も出来ない赤子状態になった。位相が壊れ脱出不可能だろうと国王が言った。私が国王に聞いた。

 

 「6次元とはどうなっているのですか?」

 

 そうすると国王が優しく答えてくれた。

 

 「まず、3次元の世界のここでは1言では言えません。3次元の世界でまず説明不可です。ねじれたルービックキューブがあるとしてそれが形のある檻では無く、歩くと座標軸も前後左右入れ替わり空間の定義が変わり時間は進む 戻る 曲がる 飛ぶ 理解力を壊し動けず溶けてねじれる所だよ。人間の考える6次元は神様の聖域になっていたりします。誰も行ったことが無いので。本当に神様もいるかもですね。勿論私も行った事がありません。」

 

 そう国王は答えてくれた。

 結局最強の光核ミサイルはプルナの国王によって完全に処理された。人間は地球滅亡前に救われたので、その後起きたプルナ星での生活の歴史の全てをイレースした。核が飛んできた事実も無くなった。


 しかし、志保やリュウの医療での働いた記憶はカレックに消去されてしまったので、プルナでの地球滅亡以降の歴史を消しても2人の脳にはアニメ会社の社員の記憶はそのまま残ってしまい、消滅前の記憶の復元だけして繋ぎ合わせた。ケンの立ち上げた医療の会社シリウスは無くなり、ケンはアニメ会社の社長からもう一度やり直した。


 ケンはアニメ会社を直ぐ辞め再び医療再生の道に進む事を決めた。志保とリュウは前の医療時代の記憶も取り戻し、その時ケンに助けられた事も思い出した。結局今の記憶が強くてアニメ会社にいたいとそのまま続ける事になった。ここで今日再会するまでしばしお別れする事になった。


 これは時空のトラブルで少し変わり直せない部分はあるみたいだけども、だがケンの嫁さんは彰子で間違いない。なので、働いている部分で問題はあったものの、問題なく元通りの地球として収まったのだった。

 

 「それからしばらくして、地球外生命体が地球に入った連絡をプルナの国王から受けて、実態が掴めるまでしばらくその身を隠していた。行方不明で消息を絶った事をお詫びします。私もいくつかある星から狙われていたので。でも今日私が再びここに出て来たのはそいつらの正体が判ったからです。」


 

 「追伸になりますけども、カレックは色々と私を助けてくれたし、いつも味方でいてくれた。感謝でしかなかったですが、ただ一つの失敗は彼でもコントロール出来なかったのが恋心。嫉妬とやきもちには宇宙最強の彼でも勝てなかった。


 皆さんも嫉妬とやきもちにはくれぐれも十分気をつけてくださいね。地球を滅ぼす事に成りかねないよ。(笑) あんな経験は2度と御免だ。」


 しかしカレックはこの時6次元の檻を既に脱出していた。

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