今日のスタート最悪じゃん
「うわ……最悪……」
次の朝、カーテンを開けた瞬間に思わず声が出た。
「今日も1日がんばろうと思ってたのに、なんで雨なのよ……」
昨日の夜、占いのせいで全然眠れなくて、ただでさえ気分が重いのに。
お気に入りの靴を濡らさないように気をつけながら、憂鬱な気分でなんとか学校へと向かった。
ガラガラ、と教室の扉を開ける。
「あ、柚葉ちゃんおはよう!」
「北川さん、おはよう……って、えっ!?」
教室に入った瞬間、目に入ってきた光景に思わず足が止まった。
席に座っている桐生くんが、頭から爪先まで見事なまでにびしょ濡れになっていたのだ。
そこに、丈瑠くんが呆れ顔で近寄っていく。
「……あれ? 琉弥、お前なんでそんなびしょびしょなん?」
「あ?」
桐生くんはタオルの代わりにポケットティッシュで髪を拭きながら、面倒くさそうに口を開いた。
「朝から雨やったし、お前普段から折りたたみ傘持ってるやん。なんで濡れてんの?」
「……うっさいわ。忘れることぐらいあるやろ」
「えぇ……お前が傘忘れるとか珍しすぎやろ。どうしたん今日?」
「なんでもええやろ。話しかけてくんなダボ」
いつもの調子で素っ気なく返している桐生くん。
でも、その濡れた姿を見ていると、昨日の夜見た『運命の人』という言葉が脳裏をよぎり、急に胸がドキンと跳ねてしまう。
(な、なんで意識しちゃってんの私……!)
わたしは慌てて目をそらし、自分の席へと駆け込んだ。
そこへ、ホームルームの鐘と共に担任の先生が入ってきた。
「はい、全員席につけー。……桐生、お前なんでそんな濡れてんだ? 風邪ひくぞ」
「大丈夫です……」
「まあいいや。えー、連絡事項だが……そろそろ期末テストが近づいている」
「えーーーっ!?」
教室中から絶望の悲鳴が上がった。
「期末って、まだ先だと思ってたのに……!」
「というわけで、今週末はしっかり勉強しておくように。以上!」
容赦なく告げられた現実に、クラス全体の空気が一気にどんよりと沈み込む。
(桐生くんも、テストには勝てないのかな……?)
チラッと横目で見ると、桐生くんは濡れた前髪の隙間から、死ぬほど嫌そうな顔で黒板を見つめていた。




