高校生活波乱のスタート!?
「危ない、なんとか間に合った……!」
転校初日から遅刻なんて、ヤンキーのすることだもんね。
にしても、なんなのよあの人! ちょっとくらい話を聞いてくれたってよかったじゃない。
……あんな奴とは、絶対同じクラスになりたくないなぁ。
「一ノ瀬さん、こっちに来てくれる?」
「あ、はい!」
先生に呼ばれて、その背中についていく。
いよいよ新しいクラスか……前の学校みたいにならなきゃいいな。
(――って、やばい! 肝心なこと忘れてた!)
クラスに早く馴染めるように「何か面白い自己紹介」を考えておこうと思ってたのに、朝のドタバタですっかり頭から抜けていた。
(どうしよう……これも全部、あの男のせいだ……!)
「今日から新しくこのクラスの一員になる生徒を紹介します」
がらりとガラガラドアが開き、教室の視線が一斉に注がれる。
……こうなったら、大阪と言えばの『アレ』でいくしかない!
「東京から来られました、一ノ瀬柚葉さんです」
「じゃ、邪魔するでー!!」
――清々しいほどの沈黙が、わたしを出迎えてくれた。
(………………え?)
「えーっと……み、みんな仲良くするようにね?」
先生ですら完全に対応に困っている。
やばい。思いっきりスベったじゃん、わたし……! 恥ずかしすぎて消えたい……!
「じゃあ席は、桐生くんに横に座ってくれるかな」
「は、はい……分かりました」
先生に指された方向を見る。
――そして次の瞬間、わたしは思わず盛大に顔をしかめてしまった。
(なんで……なんであいつがわたしの隣なのよ!?)
そこにいたのは、今朝角でぶつかったあの男だった。
(……落ち着けわたし。顔に出てたかな。仕方ない、朝のことは一回忘れて大人な対応をしよう)
「桐生くん、だよね? よろしくね」
引きつった笑顔で話しかける。これで少しは関係も良くなるはず――。
「……どこの関西人がほんまにあんなん言うねん。新喜劇でしか聞いたことないわ」
「は?」
「それにイントネーションおかしいし。やる気あんのか?」
「……っ!?」
なんなのよこいつ!!
なんか怒ってる!? 怒りたいのはこっちなんですけど!?
「まぁまぁ、琉弥もそう冷たくすんなって!」
眉をひそめる彼の横から、気さくな感じの男子生徒が身を乗り出してきた。
「それより、東京から来たんやってな? すごいな、めっちゃ都会やん!」
「は、はい! そうなんです……」
よくわからないけど、この人は感じがよさそう。
……でも、「めっちゃ」ってどういう意味なんだろう?
「あ、ごめん! 急に話しかけられても困惑するよな。俺、上田丈瑠って言うねん。よろしくな!」
「あ、一ノ瀬です。よろしくお願いします!」
(……いい人なんだろうけど、なんかちょっとポンコツそうだな)
すると今度は、前の方から可愛い女子生徒が振り向いた。
「ちょっと、ウチも話に入れてや! せっかくの転校生なんやから喋りたいやん。北川沙耶って言うの、よろしくね!」
「あ、北川さん! よろしくお願いします」
(……やっぱり、大阪の人って距離の詰め方がすごいなぁ)
一癖も二癖もあるクラスメイトたちに囲まれて、わたしは遠い目をする。
(……わたし、これからこの学校で上手くやっていけるのかな……)




