少女漫画展開じゃないの!?
初めまして宵晴と申します。
普段は感動できるような小説を目指して書いているのですが今回は友達のリクエストに合わせてラブコメに挑戦しています。
いつも応援してくださっている皆様はよければ温かい目で見守ってくださると嬉しいです。
「やばいやばい、遅刻しちゃう……!」
今日は、東京から訳あって大阪の高校に転入してきた、記念すべき初日。
なのになんで、わたしは朝からこんなに全力疾走しているんだろう。
なんでこんな時に限って寝坊しちゃうかなぁ!
見た目を必死に整えていたら、朝ごはんを食べる時間すらなくなってしまった。
右手には、かじりかけの食パン。
……いや、どっからどう見ても少女漫画のベタな展開じゃんか。
(この先の曲がり角で男の子とばったりぶつかって、それが運命の出会いでした――とか、本当に起きないかなぁ……)
なんて、そんな呑気な妄想を膨らませながら角を曲がった、その瞬間。
「痛っ……!?」
ドガン、と強い衝撃が走って、わたしは盛大に尻もちをついた。
(嘘……っ、本当にぶつかっちゃった!?)
期待で胸を躍らせながら、恐る恐る顔を上げる。
まさかのドラマチックな転入生ライフ、恋の予感でスタート――!?
「あ、あのっ、すいま――」
まずはそう謝って、話しかけるきっかけを作ろうとした、時だった。
「……痛いなぁ、ボケ。どこに目ぇつけて歩いとんねん」
(……えっ?)
響き渡る、容赦のないコテコテの関西弁。
終わった。運命の王子様どころか、めちゃくちゃ怒られてる。彫りが深くて、整った顔立ち。
正直、モデルみたいにクールでカッコいい。……んだけど。
その鋭い目つきと、低い声で放たれた容赦ない関西弁のせいで、迫力がすごすぎてめちゃくちゃ顔が怖く見えた。
呆気に取られて立ち上がれずにいると、男の子ははぁーっと大げさに溜め息をついた。
「はよ立てよ。どんくさいやつやな」
口では悪態をつきながらも、彼は無造作に、でもしっかりとこちらに手を差し出してくれた。
「……っ、あ、ありがとうございます」
差し出された手を借りて立ち上がると、彼はパンパンと自分の服の汚れを払いながら言った。
「次から気ぃつけて歩けよ。……ん?」
ふと、彼の視線がわたしの着ている服に留まる。
「お前、その制服……」
見ると、彼が着ているのもわたしと同じ高校の制服だった。
「あ、あの! もしかして同じ学校ですか? わたし今日転入してきて――」
道を聞こうと話しかけようとしたのだが、何かを思い出したかのように踵を返す。
「まだなんかあんの? なんもないんやったらもう行くわ。急がな遅刻すんねん。じゃあな」
そう捨てゼリフを残すと、彼は背中を向けてあっという間に走り去ってしまった。
残されたわたしは、かじりかけの食パンを手にぽつんと取り残される。
「うそでしょ……」
わたしのこれからの高校生活、一体どうなっちゃうの――!?




