16 罪の証明
***
光が消え、カビとホコリの臭いが鼻を付く。
それと同時に私から胸の奥に溜まっていた息が一気に抜けた。
カラン! 手からは力が抜け、持っていた紅い追憶石が地面に落ちる。
「おい、大丈夫か?」
カイルの声が暗い部屋の闇に飲み込まれる。
視界がぼやけていく。心臓が嫌な音を立てていた。
差し出した手が震え、地面がグラグラと揺れる。
「フィリア様っ」
倒れそうになる私を支えたのはロスティだった。
薄暗い部屋の中で私達の距離がほとんど零に成る。
「はな、れて。あぶない」
無意識に口を紡ぐ。私は今きっと感情も魔力も制御できていない。このままだとロスティの心を壊してしまう。
「いい、え。離れません。大丈夫、です」
ロスティの腕が私を抱き止める。
ならば、とその感触だけに意識を割いて、私は息を吸った。
暗闇の中でどれだけの時間が経ったか分からない頃、ロスティの腕が私から離れる。
「フィリア様、落ち着かれ、ましたか?」
「……ええ」
魔石灯の明かりの中で私はロスティの顔を見た。
その顔は強張っていて、眼が陰っていた。
「……今のが、わたしの、記憶ですか?」
「そう、なるわ」
「……罪を、犯していました」
否定のしようが無い。私とロスティは今確かに見た。
ロスティ様はここで罪を犯していた。
「どうして、わたしは、こんな事を」
ロスティの声が耳を震わせる。その答えを誰も教えてくれなかった。
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