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Jet Black Witches  作者: AZO
4−3.萠動編 − 暗躍のうねり
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まさかの仲間入り? 〜 暗躍のうねり xlj

  『レイラのオネーサン。緊急事態だから触れちゃうけどゴメンね? じゃ、いくよ?』

  『うん、マコちゃ、いっちゃって!』


 いよいよマコトの初施術が始まる。


 マコトは頷くと同時に、レイラに唇を重ねる。レイラは気を失っているから無表情で、受け入れる素振りもないから、反応が掴みにくいようだ。マコトはレイラの口内で寝ている舌に強引に舌を絡めようとする。しかし、マコトの舌は小さいこともあり一瞬触れることはあっても、引っ込んだ状態のため、なかなか上手く絡められない。


  『ママー、舌が上手く届かないよぉ』

  『あらぁ。マコちゃの小ささが仇になったか。仕方ない、少しだけチェンジね』

  『うん。バトンタッチね』


 今度はソフィアがレイラに口付けし、舌を入れ、レイラの舌を起こそうとする。しかし、反応はほとんどなく、起こしてもすぐに戻ってしまう状況だった。


  『あら、これは思ったよりも深刻かもね。イルちゃも手伝ってくれる? なんとか身体を起こしたいの』

  『わかった。せいの、で起こせたらレイラさんの背中をイルが支えるね?』

  『ありがとう。じゃぁ、せ・い・の!』

  『うぁぁ、レイラさんの服、はだけそう……よし、これでいいかな? イルが後ろに入ったからたぶん大丈夫』


 レイラの身体を起こす際、勢いに任せてシャツが広がり、そこに秘めていた胸が露わになる状況に、慌ててイル手直しを加える。女3人のほかに見るものはいないが、本人の意識のないところではだけさせるのは申し訳ないと、なんとか防いだ状況だった。


  『助かるわ、そのまま支えててね?』

  『イル了解!』


 続けて、ソフィアがキスを再開しながら、舌を絡めようとする。先ほどより舌は前面に来ているが、それはほんの僅かだ。変化の薄さにソフィアは顔をしかめる。


  『ちょっと、コトは急を要するし、特別な措置を加えるしかなさそうね』


  『とと、特別措置とは?』


 突っ込むマコトに笑むだけでソフィアは言葉を返すことはしなかった。咄嗟によい説明が浮かばなかったのだろう。ソフィアはレイラの頬を軽く叩いてキスを再開しつつ、片手をレイラの胸に忍ばせる。


  『ソソ、ソフィー? そこはオッ……』

  『わかってるわ。イルちゃ。今は一大事。何か刺激を与えないと、このままレイラさんの意識は戻らなくなってしまうわ。マコちゃもイルちゃも、レイラさんの身体の方は見なくていいわ。まだいろいろと早いしね』


 そう言われても気になって仕方ないマコトとイルは、ソフィアの手を伸ばす先の挙動から目を離せないでいた。コッソリ、ソフィアにバレないように覗き見る二人。


 心臓の周りや胸の膨らみへと、あの手この手でレイラの身体に刺激を与え続けるソフィアだが、レイラの反応は見られなかった。


  『仕方ないわね。あ、二人とも前は見ちゃダメよ』

  『『う、うん』』


 ソフィアはそう言いながら、へその周辺や丹田あたり、そしてその下部へと手を忍ばせていく。するとレイラの口から「ふっ」と息が漏れる。


  『お! 反応が少し。でもまだ刺激が足りないかしら? ちょっと奥の手ね?』


 今度は、ソフィアは肛門、お尻の穴に刺激を与え始めた。するとレイラは「こっ」と小さな声とともに、薄っすらと瞳を揺らす様子が見て取れる。口のあたりも、モゴモゴと動かす気配を感じ取る。


  『今よ! マコちゃ?』

  『あ、あ、うん。わかった』


 ソフィアの手を忍ばせた先の動きが気になって仕方なかったマコトだったが、ソフィアの合図に一転、レイラの唇に口付ける。今度は舌が届くことを確認したマコトは自身の服を脱いでレイラの胸からお腹へと身体全体をぴったりと寄せ、密着状態となる。ソフィアに視線を向け、小さく頷きながら合図をすると、そのまま魔力注入を開始した。ふとマコトの手がレイラの胸に触れ、「ご、ごめんなさい」と言いながら手を縮め、両腕をくっつけた状態でレイラの胸の間に挟むような位置に置いて、その上に自身の身体を重ねて魔力注入に専念する。


  『最初はゆっくりよ。全体に行き渡るまでそーっと沁み渡るようにね?』


 そのアドバイスにマコトは小さく頷きを返すと、その舌先からマコトは魔力注入を開始する。その合図なのか、レイラにとっての異物混入に対する反応なのか、全身がフッと光るでもなく一瞬の色合いの変化と、次の一瞬、全身の軽微な揺れを見せる。もしかすると、身体ではなく身体を覆うオーラが示した変化かもしれない。


 それ以降は、やや血の気が引いていたレイラの肌がゆっくりと生気を取り戻すような変化を見せる。続いてゆっくりだが弱々しかった心(しん)の鼓動に回復の兆しが見られるのか、喉や額、手首などの要所に脈打つ気配が感じられ始める。稀薄だった呼吸もすっかり落ち着いたかのように、レイラの口内に呼吸の空気の流れが感じられ始める。


 だが、この時点ではまだまだ不完全だった。マコトの魔力注入により、全身の細胞が活性化することで脈動としての動きが再開し、やや回復するもののまだまだ弱々しい心臓は全身の血流の流れに沿う程度の回復加減だった。


 マコトは回復の兆候を見て、唇を離してソフィアに問いかける。


  『なんだか、回復してきているみたいに感じるけど、もう大丈夫なのかな?』

  『ううん。マコちゃ、まだよ? まだまだ不完全だわ。おそらくマコちゃも恐る恐る注入していたと思うけれど、今、地盤が固まったような状態ね。ここから全力で注入してほしいのだけれど、できる?』

  『うん。わかった。この状態はまだまだってことで、今ならマコの魔力を受け入れる段階ってことだね?』

  『そ! そういうこと。じゃあ残りもお願いね』

  『りょ! じゃあ今から全開でぶち込むよ? レイラさん覚悟してね!』


 そう言いながら、マコトは口付けを再開し、素の魔力を解放・注入を開始する。するとマコトの身体に薄っすらと光が灯る。この状態がキスで注入した魔力がレイラの身体の中を行き渡り肌を通してマコトに戻る状態のようだ。最初に起こった変化は、骨格、というか姿勢、というか、それまでも普通だと見ていたが今の変化でわかったこと、それは筋肉の解放だった。身体が弱り、その防衛反応なのか、身体のアチコチが萎縮するようにやや縮こまっていたようで、それが今、ゆっくりと弛緩していく状況のようだった。


 それと同時に心(しん)の鼓動が力強く脈をうち始めたこと。これも対比しないと気付けないものだが、これまでレイラの鍛え上げた身体機能を支えてきた心(しん)の臓なのだ。脈々と血液を身体全体に送りつけるのだから、身体全体が活発に動けば、全身の表面はそれに応じる生き生きとした表情を見せるわけだ。


 ここまでで既に身体はほぼ完全回復したとも言えるのだが、その境界線などわからないマコトもソフィアも魔力注入の継続に余念がなかった。


 次の瞬間、レイラの身体が徐々に光を放ち始める。それすらも、マコトもソフィアも、イルやイルの母親ケインの同じ状況を知っているから、まだ途上の認識だった。


 次の一瞬、光が目映いほどに増長した直後、カッと光り弾ける。すると、光の残滓がはらはらと舞い落ちる。


 周りで見ているイルやソフィアの瞳に映る神秘的な光景は見事なもので、それぞれ「「ぅゎあ……きれーい」」と心で呟く。


 と同時に意識が戻るレイラだが、その瞳はぽゃーとした恍惚状態だ。事態はよくわかっていないが、ただただ今ある気持ちよさの元となるマコトとのキスに心を委ねている様子で、一心にキスを求め、マコトを強く抱き締め返す。赤ちゃんのように密着するマコトの抱き心地は女性としても心を満たす何かがあるのかもしれない。そして今、おそらく夢を見ているのではないかと錯覚している様子に見えた。


 そんな意識が身体ともども回復した様子に、一同が一斉に歓喜の声を巻き起こす。


  『オー! やったわマコちゃ……え?』

  『オー! やったね凄い、マコちゃん……って、あれ?』


 次の瞬間、驚きの声が歓喜の感情を打ち消す。


  『あらー、あらあらー、どうやら、レイラさんも仲間入りしちゃったみたい?』

  『ふわゎゎ、ソフィー、これ良かったの?』

  『え? イルもママもどうしたの?』


 元々赤毛の混じった髪色で瞳も灰色に近い感じだったレイラ。それがなんと、今ではやや光を帯びた漆黒の髪、黒い瞳、そして、一回り小さく引き締まった身体に、顔もややこじんまりとした、美少女に変化していたのだ。


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