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不死者の町人生活  作者: 旬のからくり
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入居します⑩

「今までの無礼を詫びたい、貴公らがまさかあの英雄達だとは思いもしなかった。ココノエの姿を見て察せなかったのが恥ずかしい。」

 ハバキ様が何か謝って来た。話の腰を折らないで欲しかっただけで、敬えとかそういう感情は一切ないから畏まらないで欲しいんだけど。


「という訳で、火龍の牙の件については俺が適任という事になりました。」

 トビーは小指を立てて紅茶をすする。

「うんうん、それがいい。彼女はとても話が分かる龍だから、殺されるような事はないと思うよ? 殺せないけど。」


「じゃあ、話も済んだことだしお帰り下さい。」

「えぇっ!? 何でそうなるの?」

「他に何か大事な話でもあるのか?」

「大事な話とかそういう事じゃないでしょ~? ほら、余が来てるんだよ? 王だよ? 帰れっておかしくない?」

「おかしくない、こっちは王なんかに用事はない。今から引っ越しがあるの、忙しいの、わかる?」

「王自らが今日の狩りの予定まで変更して来てあげてるんだよ? 凄い事なんだよ?」

 そこまでトビーが言ったところでハバキ様が突然立ち上がった。わなわなと肩を震わせている。


「ど、どうしたのハーちゃん……?」

「狩りの中止、告知するの忘れてた……。」

 どこに集まる予定だったのか知らないけど、それじゃあ参加する予定だった他の貴族達は準備して集合してるって事かな。


「そ、それはまずいでしょハーちゃん、余達めっちゃ怒られちゃうじゃーん!」

「し、仕方ないだろ突然やめるとか言い出したビーちゃんが悪いんだから! 書簡は用意してたのに伝鳥(つたえどり)飛ばすの忘れてた!」

 伝鳥は非常に頭が良く飛行速度も速い為、通信手段に広く使用されている鳥の事だが、飛ばしていないんじゃ意味がない。


「とにかく私は一度領主館に戻る、ビーちゃんはどうする?」

 「連れて帰って下さい。」

「余はここに居るよ、世界で一番安全な場所だから安心していい。」

 「いいえ殺してしまうかもしれないので連れて帰って下さい。」

「わかった、説明が終わったら迎えに戻る。」


 すかさず頼んでみたが俺の言葉は無視され、バタバタとハバキ様は出ていった。 

「よーし君達、何をして遊ぶかな? 残念ながら狩りは中止になっちゃったし、この通り時間もたっぷりあるよ。」

 俺とキイとシヴは無言で立ち上がると、打ち合わせも無く阿吽の呼吸でトビーを窓に挟んだ。

「え、ナニコレ? この遊びならさっき充分やったよ君達? しかもあまり面白くなかったんだよこれ、他の事した方がみんな幸せになれるんじゃないかな?」


「ローラン、これが出てこないようにその窓押さえといてくれるか?」

「畏まりました。」

「畏まっちゃ駄目でしょうよ、王だよ? 余は王だよ?」

「申し訳ございません国王様、私のご主人はアレン様ですので。」

「いやおかしいでしょうよ、そりゃ今はアレン君に雇われてるかもしれないけどハーちゃんの家のメイドでしょうよ、更にそのハーちゃんの上司みたいなもんでしょうよ、余。」

「だって私、命令に背いて師匠みたいに粗相した姿晒したくないんですも……のっ!」

「グォエッ!」

 ローランはいつもの目が笑ってない笑顔で精神的にトビーに圧をかけ、同時に窓ガラスに掌底を入れて物理的にも圧をかけた。 


 取り敢えずトビーはローランに任せておいて、王と領主の登場で「恐れ多い」と別室に待機していたタークスさんと合流する為に、使用人用と説明を受けた部屋へ向かう。タークスさんは清掃業者のひげのおじ様と談笑していた。そういえばお茶も出してなかったなと思っていたら、すでに二人共紅茶を飲んでいる。

「先程ローラン様にいただきました、紅茶は漠然と良し悪しくらいしかわかりませんが、これは非常に良い物ですね。」

 

 ローラン、流石だ。 

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