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不死者の町人生活  作者: 旬のからくり
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入居します⑧

「龍は脱皮する生き物なんだ、それは知ってるよね~?」 

 直接見た訳じゃないけど、ごくごく稀に龍の脱いだ皮が見付かる事があるらしい。脱ぎ捨てられた皮でも、加工を施して武具や調度品にすれば高値で飛ぶように売れる為、運良くそれを見付けた者は一財産築く事も可能だという話だ。


「聞いたことはあるけど、それが何か関係するのか? 体内にあるんだろ?」

「脱皮をするとそれまでより高熱に耐えられるようになるのさ。だから脱皮を済ませた火龍は、火龍の牙を取り換えるんだよね。」

「取り換えるというのはどういう事じゃ、手術が出来る訳でもあるまいし。」

 キイもいまいち理解が追い付かないようだ。


「吐き出すんだよ。火龍の牙というのは要はマグマの塊なんだよね~、火山によってマグマの温度が違うのは当然知っていると思うけど、自分が耐えられるギリギリの所まで火龍は潜るんだ。」

「マグマを体内に取り込むというのか? しかしいつまでも高温を維持するような物ではなかろう。」

「当たり前じゃない。龍の体内にマグマを入れる袋があってね、その袋を新しいマグマでいっぱいにして龍は戻ってくるんだ。その袋は龍の魔力が常に内側に向けて注がれるような造りをしているから……」

「マグマと魔力の融合物になるという訳じゃな?」


「ご名答! さすがだよ清廉にて美しき……グギャっ!!」

 キイの蹴りがピンクの顔面を襲う。

「次同じ事を言おうとすれば、お主のせいでエルフと人間が戦争をするかもしれんのじゃぞ? わかったかの?」

 ピンクのゴミがコクコクと頷く。

「よろしい、では続けるのじゃ。」


「まったくひどいね~、余は王様なんだよこれでも。で、どこまで話したっけ? ええと、そうそう、脱皮をするのと連動してその袋は切り外されるんだ、そして新しい袋が作られるのさ。古くなった袋はそのまま火口内に捨てられるか龍が巣に持ち帰るかしているから、龍に直接貰うのが手っ取り早いんだよね~。」

 作られる過程は分かったけど、体内から出したんならもう魔力の供給はされていないはずだ、それが熱を発し続けるというのだろうか。


「だからね、龍はそんなにポンポン脱皮するわけじゃないんだから、百年以上も魔力を注いでるわけ、それを吐き出したからってすぐに魔力が枯渇するようなものじゃないんだよ、わかる? もちろん最初は数百度もあるマグマだし、体内で魔力を常に注がれてるおかげでその温度を維持してる訳だけど、切り離された袋は魔力の供給を受けなくなって一割にも満たない温度になるのさ。そして、融合した魔力が枯渇するまではその温度を保っているという訳、わかったかな死なない人。」

「読んだだろ。」

「ノン! 読んでない!」


 まあいい、仮に一割になるとしても七、八十度~百数十度。ただ、ピンクゴミは満たないって言ってるから、一番高い物でも百度くらいか? 確かにそれがあれば人工天然温泉みたいな矛盾したものが作れるな。


「しかし火口に飛び込んで探すのは無理だし、龍に貰うって言ってもなあ……。」

「僕の君達? ここにとっても頼りになる人間の代表が居る事を忘れてないかい?」

 ピンク色したうんちが何か言っている。

「トビー、お主もしや持っておるのか?」

「ん? そりゃ持ってるけどあげる訳にはいかないかな、大事だし。」

「じゃあなんだよ、思わせぶりな事言っておきながら。」

 コホン、と咳ばらいを一つして、ピンク色の犬のフンが渾身のキメ顔をする。


「知らなかったのかい? 余はね、火龍と友達なのだよ?」

 俺達はトビー王の下半身を窓の怪物から解き放つ事にした。

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