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不死者の町人生活  作者: 旬のからくり
23/209

メイド雇いました④

 強い酒を水のようにゴクゴクとのみつつ、この宿の料理を殆ど平らげたローラン。


「もう質問も無いようですし、明日は忙しくなりそうですからそろそろ戻って準備いたしますね。国王様に何か言付けはありますか?」

 と言いながら涼しい顔で立ち上がる。


「いや、無いよ、というよりできるだけ俺達の話はしないでくれると有難い。」

「何故そこまで避けようとするのか理解できていませんが……、畏まりました。」

「ところでこんな夜更けに馬車が来るのか? どこかで待たせているとかかな?」

「馬車はおりませんが、緊急用の馬はトールさんの店に何頭か置いております、ご心配なく。」

 ああ、トールさんの店も実質管理してるのはローランだって言ってたな。


 宿屋の入り口までローランを見送り、テーブルに戻る。

「ワシももう寝ようと思う。ローランが嘘をついておるかはわからんが、今ではむしろ嘘であって欲しいとすら思えるわい、もうあやつに居場所がばれるとはの……。」

 キイはそう言い残して部屋に戻って行った。


「まったく同感だ、出来ればもう会う事無く一生を終えたかったぜあいつとは。俺は部屋に戻るが、おまえさんはもう少しゆっくりしていきな。」

 シヴは去り際に、食堂のカウンターで俺の分と自分の酒のおかわりを頼んで、そそくさと自分の部屋の方へ消えていく。

 残されたのは大量の皿、グラス、俺。食後の皿の何と美しいことか、葉っぱ一枚残していない。


 ……ていうか支払いは俺かよ! シヴめ、気が利くじゃないかと思っていたらまんまと嵌められた……。

 酒を運んできて皿を片付けている宿屋の娘に、恐る恐るいくらか尋ねる。

「大負けに負けて、全部で七万マグでいいそうです、その代わり機会があったらまたあのメイドさん連れて来て下さい、ね。」

「まともな仕事が決まったら考えるよ……。」

 普段からあんなに食べるんだろうかローランは……、今後が心配だ。


 随分と財布が軽くなってしまったが、仕方ない。運ばれて来た酒をちびちびと飲みながら、今後の事を漠然と考える。試しに俺も頼んでみたが、確かに強くて悪酔いしそうだこの酒は。


 シヴは無事オウルになった、元々凄腕のクロウなんだし、オウルになっても問題なく仕事はこなしていくだろうな。その辺の魔物の討伐依頼なんか来てもあっさり片付けるだろうし、盗賊団でも来ようものなら単独で壊滅させるだろう。

 過去に請けた平和な依頼だと、力仕事の手伝いなんかもやったことあったな、流行り病で人手が足りないので、出来るだけでいいから造船資材を運んでくれって船大工からの依頼だった。行ってみると屈強な海の男達が十人がかりで一日かかるような、大量の材料が手付かずで積み重ねてあって……。俺とキイは三時間ほどで諦めたが、結局残りはシヴが独りで全て指定の場所に運んでしまった。


 キイは何をするんだろうか。今は違うとはいえ、そもそも女王の身分なんだし無理して働く必要もないと思うんだけど。

 エルフという時点で目立つし、裏で取引している奴隷商もいると聞くので、キイに対して良からぬことを考える人間もいないわけじゃないかもしれない。まあ、キイもシヴ程の化け物ではないとはいえ、その辺の悪党が何人束になっても敵わないくらいには強いから、その辺はあまり心配ないか。魔族の国でも命にかかわるような怪我は負わなかったしな。


 人間の国に住むエルフに多いのは、自分の調合した薬を売っている薬屋だな。後は鉱物や果物、滅多に見ない動物などの森で採れる希少な品物の販売、納品で生計を立てている者達だ。エルフ語を教えているエルフもいるな。まあキイなら何やっても、あの見た目でいくらでも客が付きそうな気もする。


 問題は俺か。


 随分と酔いが回ってしまった。酒も無くなったし、酔い覚ましも兼ねて町を散歩しながら考えてみるかな。

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