『オッサンずら◯』
アッシュはサンドウィッチマン戦を終え、街の中心の噴水広場へと戻る。
そこでは既に多くの住人達が集まっていた。
回復薬を飲みながら寛ぐ者、
傷の手当てを受ける者、
借りていた武器を元のボックスへ返却する者、
仲間と倒したモンスターの数を自慢し合う者…………
どうやらアッシュのサンドウィッチマン戦が最後だったようだ。
「見てたぜ兄チャン、稀に見るビッグバトルだったなぁ。お疲れ、お疲れ、ガハハハハハ…………」
そう言って、見知らぬオッサンが回復薬入りの樽ジョッキを差し出し、去ってゆく。
「あ…有り難う御座います。」
アッシュはジョッキを受け取り、一気に飲み干した。
(苦ッ!!)
いつもの飲み慣れた『苦くて苦しい』アグラーの味だ。
「よう、アッシュ!無事だったか。」
陽気に話しかけて来る……こちらも見知らぬオッサン。
………向こうは俺の名を知っているようだが。
「そういや、こうやって直接話すのは初めてだったか?」
「…………は、ハァ。はい、多分。」
よく見ると義足だ。
(あ、この義足の男!確かドウズさんと一緒に居た。)
「俺はキロス・ウェイポント、ドウズの行商仲間だ。ヨロシクな。」
と、アッシュの手を無理矢理掴んで握手する。
〜〜 『キロス・ウェイポント』 〜〜
34歳 男 行商人
瞳の色:ブラウン
体型:ガッチリ 172cm
容姿:黒髪のショートセンターパート 無精髭
服装:茶色を基調とした皮のジャケットとブーツ、カウボーイパンツ、左脚の膝から下が義足
得意武器:鞭
主な取り扱い商品:宝石(ジェム含む)肉 穀物 革製品
「お前、親父さん行方不明なんだってな。」
「はい、俺の目の前で拐われました。」
アッシュは一瞬暗い表情をした。
「あのザウスがねぇ……そう簡単に拐われるとは思えんが…………??」
顎に手を当ててザウスを思い出すキロス。
「突然、空間が歪んでそのまま闇に引きずり込まれました。…………一瞬でした。」
とアッシュもザウスとの最後のシーンを思い起こす。
「まぁ、でも、拐ったって事は生きてる可能性が有るだろ。拐えるって事は殺せるって事だ。そうしなかったのには何か生け捕る必要が有ったと考えるな俺は。」
「俺もそう思ってモンスター退治をしながら探す旅に出たんですが……まだ何の手掛かりも無いですね。ところでキロスさん『はのでつぇ』って何の事だか分かりますか?」
「『はのでつぇ』?何だそりゃ??」
「親父が闇に引きずり込まれる寸前に俺に言い残した言葉です。…………正直、意味のある言葉なのかどうかさえ分かりません。」
「さぁな…………聞いた事が無ぇな。」
「お、アッシュとキロスね。二人とも無事だたね。」
また名前を呼ばれるアッシュ。
見れば………知らないオッサン。
「アッシュはあの店、最高だたろ?あの店めちゃくちゃ高かたよ。」
(……ん?よく見れば見覚えのある独特な服装と丸い黒眼鏡。確かドウズさんと一緒に居た。)
「あ、はぁ……その件では、お世話になりました。」
ドウズさんから仲間内で折半してあのマッサージ店の料金を出したと聞かされていた。
「ワタシ、ワン・タオ言うね。ところでお前、高そな武器持ってるな。後でその武器チョト見せて欲しよ。」
アッシュの背負うドラゴンキラーを指差して言う。
(この人、初対面でいきなり金の話ばっかするな……)
苦笑いのアッシュ。
〜〜 『ワン・タオ』 〜〜
39歳 男 行商人
瞳の色:常に黒眼鏡着用の為、不明。
体型:小太り 162cm
容姿:黒髪の辮髪 フー・マンチュー髭
服装:緑色を基調とした中華服と中華帽(但し、この世界には『中華』は存在しないのでイメージの参考程度) 腰回りにソロバンと多種多様な計器を装備
得意武器:棒 (フランジドメイス)
主な取り扱い商品:薬 干物 火薬 陶器
「お前…ザウス行方不明、聞いたよ。」
「はい、今もキロスさんとその話をしていまして。ワンさんは『はのでつぇ』という言葉、聞いた事有りませんか?親父が拐われる直前、最後に言った言葉なんですが意味が分からなくて…………。」
「『はのでつぇ』??さぁ、聞いたコト無いね。最後に言い残したてコトは、遺産の在り処とか、隠し財宝とかかね?」
「ちょ、『遺産』は勘弁して下さい。まだ死んだと決まった訳じゃ…………。」
「当たり前ね。ザウスは死んでも死なないよ。冗談ね、冗談。」
「ハハハ…………キツい(小声)。」
とアッシュは愛想笑い。
(いや、『死んだ』ら『死ぬ』だろ。死んでんだから。)
とアッシュとキロスは図らずも心中で同じツッコミだった。
「お、何だお前ら、もう合流してやがったのか。オゥ!アッシュも一緒か。」
今日はやたらと名前を呼ばれるアッシュ。
そして、振り向くと…やはり知らないデカいオッサン。
だが、この流れだと多分ドウズの商人仲間だろう。
「アッシュ、お前強ぇな。3号門でサンドワーム倒したの見たぜ。お前のおかげで助かってよぉ、礼を言おうかと思ったらもう居なくなっててよ。」
「え?………えっと、ドウズさんのお知り合いの方で?」
と、多分そうだとは思いながら一応確認の為に聞いてみる。
「オゥ!あれ?初対面だったか??ドウズからお前の話をよく聞かされていたからそんな感じがしなかったぜ。俺はボス・ストラーダだ。ヨロシク!!」
とアッシュの肩をガッチリ掴む。
〜〜 『ボス・ストラーダ』 〜〜
35歳 男 行商人
瞳の色:赤茶
体型:ムキムキ 186cm
容姿:黒髪の短髪無造作ヘア チンストラップ髭
服装:黒のタンクトップに迷彩ズボン 皮製オープンフィンガードライバーズグローブ
得意武器:手甲鈎、肘刃、膝棘
主な取り扱い商品:刃物 肉 水 果物 野菜
「ボス!!?」
アッシュは名前を聞いた瞬間、思わず名前を反唱してしまった。
「オゥ!何だ?」
返事をするボス。
「あ、いえ、何でもありません。」
アッシュは慌てて手を振る。
(『ボス』は名前だったのか………『酒場バッカサ』で偵察した時からずっとドウズさんの一味の頭だと思ったぜ……。)
「ドウズに聞いたんだがよアッシュ、お前の親父さん行方不明なんだってな?」
「は、はい。実は…………」
とキロスとワンにしたのと同じ内容の話をする。
そのやり取りを見て、最初に同じ話題をしたキロスが顔を後ろに向けて肩を震わせて笑いを堪えている。
「おやぁ?皆さんお揃いで。アッシュちゃんもご一緒とは……俺だけ仲間外れですかい?」
アッシュが声の主を探すと、壁にもたれて気取ったポーズをとるテンガロンハットの知らないオッサン。
(出たよ、多分ドウズさんの行商仲間)
四人目ともなれば、アッシュも慣れたものだ。
「バン!バンッ!!」
と両手の指で銃を撃つ仕草をしながらアッシュに近付いて来る。
「アッシュちゃん…ドウズから聞いたぜ、あのザウスが行方不明何だってな、えぇ?おい。」
「はい、目の前で何者かに拐われて。」
さすがのアッシュももうそれ以上説明しなくなっていた。
「プクク…………」
同じ話題の繰り返しと、アッシュの説明の簡略化加減にキロスは笑いを噛み殺す。
「俺の名前はバックァレイ………ナヴィ・バックァレイだ。バァン!!」
アッシュに向けてまた銃を撃つ仕草をする。
〜〜 『ナヴィ・バックァレイ』 〜〜
32歳 男 行商人
瞳の色:青
体型:細マッチョ 174cm
容姿:金髪のスパイキーフェザーショート 髭無し
服装:ボルドー色のロングコート 黒のダブルのスーツ デニムズボン テンガロンハット 左目に眼帯
得意武器:銃火器(自作)
主な取り扱い商品:油 穀物 調味料 書物 玩具
「結局全員集まってるじゃねぇかよ。」
ナヴィが全員を銃で撃つ仕草をしながら言う。
「あれ?全員??ドウズさんは?」
「あぁ、ドウズなら先に『バッカサ』行てるね。」
「来魔戦の後はいつもそこだからな。」
とさっきまで半笑いだったキロスが言った。
「じゃあ、取り敢えずメシにするか!!」
ボスが全員をバッカサへ先導する。
「行きましょうぜ、ボス!」
ナヴィがボスについて行く。
(そーゆー言い方するから『名前』なんだか『頭』なんだか、ややこしいんだよなぁ)
とアッシュは困惑の表情。
キロス、ワン、ボス、ナヴィが並んで歩く後ろをアッシュはついて歩きながら思う。
(個性の強いオッサンがずらりと…………)




