『等級』
「ハァ…ハァ…ハァ…………何だ、お前の魔法は!?」
魔女側が怒りを露わにしている。
「何?……って、アナタと同じ属性の魔法よ?」
とペネルタ。
「同じだと?バカな、私が詠唱スピードで遅れをとるなど…………」
「知らないわよ。単にアンタが修行不足なだけなんじゃない??」
とペネルタは指を差して挑発する。
サンドウィッチマンとペネルタが会話の最中、アッシュはリリアの妖力で体力の回復をしてもらう。
サンドウィッチマンはふとある事に気付く。
「見たところ、お前の杖はハルメス級。」
「だったら、何?」
(クッ、気付かれた。)
ペネルタは一瞬気まずい表情をした。
そして、ペネルタの見立てでは相手の杖は自分より上位のミルダ級。
アッシュには分からない、そのひと言で戦況が変わる程の魔法使い同士の杖の等級の会話。
魔法使い同士の戦いにおいて杖の等級が見破られる事は、手の内の大半が露呈する事と同義。
「防御魔法で1発。氷と炎も合わせて3発。お前は撃ててせいぜいあと2、3発。」
サンドウィッチマンがペネルタへ推理を披露する。
アッシュは体力を回復してもらいながら、2人の会話からペネルタの魔法発動に制限があることを知る。
(あと2、3発!?て事はそれまでに倒さないと。)
「有り難うリリア、かなり回復した。」
ダメージの回復したアッシュは武道家側と睨み合う。
ペネルタは魔女側と対峙する。
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均衡を破ったのはサンドウィッチマンだった。
「烈なる炎よ、我が呼び声に応じてゆるりと立ち上がり…」
またしても炎魔法。
(いくら私より詠唱が速かろうが、残弾を撃たせてしまえば私の勝ちだ!)
「紅蓮の大地は我が命に従い逃れる者の道を閉ざせ。
嘆きの赤よ、抗う意思をひとつ残らず溶かせ。」
(私が魔法を連続詠唱して、奴に撃たせれば良い!)
一方、ペネルタはサンドウィッチマンの詠唱から炎系魔法を察知し、対抗魔法を考える。
「勝負だぁッ!!」
同時にアッシュは武道家側を相手に斬り込んだ。
大剣を受け流す態勢を取るサンドウィッチマン。
だがその瞬間、アッシュはドラゴンキラーを背中のホルダーに仕舞う。
(!!?)
アッシュの予想外な行動に一瞬反応が遅れるサンドウィッチマン。
ボグゥ!!
アッシュの繰り出すパンチをボディにまともに喰らう。
アッシュは両手持ちの『剣ひと振り』よりも『拳ふたつ』の徒手空拳を選んだ。
親父との特訓で肉弾戦の経験がここで生きる。
サンドウィッチマンの武道家程では無いにしろ片腕と両腕なら何とか闘えるかもしれないとの判断だった。
「嘆きの赤よ、抗う意思をひとつ残らず溶かせ。」
魔女側はボディに一撃を喰らいながらも、呪文を一節ずつ着実に唱えてゆく。
パン、パン、ガッ、ドガッ、パパパンッ…………!!
アッシュとサンドウィッチマンの素手同士の激しい攻防。
炎魔法発動までは残り一節。
ペネルタは激しく動き回るサンドウィッチマンに杖を向けて狙いを定める。
ドッ、ガガッ、パパン……ドガッ、バキィ…………!
蹴りも交えながら攻めるもなかなか一撃が入らないアッシュ。
「群れ立つ焔よ、地を覆い我が覇を照らす王の炎となれ。」
攻撃を捌きながらも最後の一節を唱え切ったサンドウィッチマンは地面を強めに蹴ってアッシュとの距離を取り、ペネルタに向かって炎魔法を発動した。
ドゴォゥッ!!
「ミアルダ!!」
ペネルタは炎魔法に対して水属性を発動。
杖の先から3本の水柱が飛来する火球に向かって走る。
サンドウィッチマンが一瞬ペネルタに集中した隙に間合いを詰めて攻撃しようとした瞬間、
バキィ!!
鈍い音と共にアッシュの脇腹に鈍痛。
「がはぁっ!」
サンドウィッチマンが杖を横薙ぎに振り抜いた。
地面に倒れ込むアッシュ。
フォンフォンフォン……バシィッ!!
「ハイィッ!!」
杖を回転させ、棒術の構えを取るサンドウィッチマン。
「お前的にソレで殴んの…有りなのかよ………」
アッシュは脇腹を押さえて立ち上がりながらある違和感に気付き、そこから違う作戦を思い付く。
ドォォンンン…………
ペネルタの方では火球と水柱が衝突し、水蒸気爆発により白煙と砂が舞い上がり辺り一面の視界が悪くなる。
ホワッ ホワッ
水蒸気と砂埃で全員の視界が遮断される中、ふたつの淡い光が浮かび上がる。
アッシュは瞬時に理解した。
2人の同時詠唱だ。
呪文を具現化する為、杖の先端が発光している。
ザザザザ…………ッ
アッシュは作戦を伝える為、光を頼りにペネルタへと駆け寄り態勢を立て直す。
視界が晴れた瞬時が勝負。
アッシュとペネルタ、そしてサンドウィッチマンの全員がその時に備える。




