『魔法少女』
氷の棘はドラゴンキラーの影に身を隠すアッシュに回り込み、取り囲む。
「何と!!?軌道修正できるのかよ!もう、何ともならん!ここまでか………。」
「アッシュ!!」
リリアにも打つ手が無い。
氷の棘が一斉にアッシュに襲いかかる。
バキン、バキン、ペキン、バギン!!…………
氷の棘は、『死』を覚悟したアッシュの体には届くことなく全て砕け散った。
(???)
(???)
(???)
アッシュも、リリアも、魔法を放ったサンドウィッチマン本人でさえ………全員の頭上に『?』マークが浮かぶ。
アッシュの全身が淡い光に包まれている。
「貴様……防御魔法が使えたのか!?」
サンドウィッチマンの魔女側が喋った。
「防御魔法???」
アッシュには心当たりが無くリリアの方を見る。
だが、リリアも首を振っている。
よく見ると、アッシュに張られた防御魔法から発光する糸状のものが伸びている。
アッシュとサンドウィッチマンはその糸の先を目で追って出どころを探った。
アッシュが砂漠へと出て来た2号門からドーサの街中へと繋がっている。
カーン……コーン……カーン……コーン…………
ドーサの石畳を打つ足音。
門扉裏からローブに身を包んで魔導杖を持った赤髪の少女が現れた。
アッシュの防御魔法から伸びる糸はその魔法杖と繋がっていた。
アッシュもサンドウィッチマンも、赤髪の少女がアッシュの側に寄るのをただ目で追う。
「君、大丈夫だったかしら?怪我は??」
アッシュに問いかける。
「あ、はい。大丈夫です。」
アッシュは赤髪の少女の圧に押され、素直に答えた。
サンドウィッチマンは魔力の気配を感じ取り、標的を赤髪の少女に変更して即座に詠唱に入る。
「あまねく熱を奪い去る沈黙の冷気。
流転の時すら凍てつかせる氷棘。
ピリオドを刻む絶対の氷刃となりて、
汝の熱を奪い、永久に沈め。」
先程アッシュを追い詰めたのと同じ氷魔法。
サンドウィッチマンの背後に氷の棘が出現し、その先端が赤髪の少女に向く。
サンドウィッチマンの杖が赤髪の少女に向けられ、氷の棘が全弾発射された。
「アルピナ!!」
バキン……バキン……ドン……パリン……パキィィン…………
少女からもサンドウィッチマンと同じ氷魔法が発動し、全弾ぶつかり合って相殺した。
「私の名はペネルタ・アストレーヌ。貴方は?」
「俺はアッシュ……アッシュ・ヴァミリヲ。」
「よろしくアッシュ。詳しくは後、まずはアイツを倒す。私は魔女の相手をするわ。」
「分かった。」
自ずと役割が決まったアッシュが了解する。
パリンッ!!
ペネルタはアッシュの防御魔法を解く。
アッシュとペネルタが自己紹介をしている間、サンドウィッチマンは考えていた。
(詠唱は私が早かったハズ。)
(なぜ同じ魔法で相殺された?)
「うぉあああああッ!!」
一瞬、戦闘から思考が離れたサンドウィッチマンの目前に剣を振り上げたアッシュが迫る。
「ぐぅッ!!」
アッシュの一撃を武道家側の手で受け止める。
(マズイ!魔法で引き離さなくては!!)
「烈なる炎よ、我が呼び声に応じてゆるりと立ち上がり、
紅蓮の大地は我が命に従い逃れる者の道を閉ざせ。
嘆きの赤よ、抗う意思をひとつ残らず溶かせ。
群れ立つ焔よ、地を覆い我が覇を照らす王の炎となれ。」
半身で大剣を受けながら炎魔法を詠唱している。
詠唱を終えたサンドウィッチマンがニヤリとする。
「喰らえ!!」
すかさず、ペネルタの詠唱。
「レグナム!!」
アッシュに炎魔法を叩き付けようとした瞬間、反対側から同じ炎魔法が飛んで来た。
サンドウィッチマンは咄嗟に標的を変更し、飛来する火球に自分の火球をぶつけた。
ドゥォォオオォオォンン!!
空中で火球同士がぶつかり、凄い熱量を放出して消滅した。
サンドウィッチマンが火球に気を取られた瞬間、アッシュが胴体に蹴りを入れる。
「グフゥ!」
咄嗟に掴んでいた刃を離す。
アッシュは即席の連携プレーだが、手応えを感じた。
「イケるぞペネルタ!!」
叫ぶアッシュにペネルタはサムズアップで応えた。




