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7番目の勇者  作者: モダろいしヒト
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『先手必◯』

(空螺旋を弾かれはしたが、やはり避(よ)けはしなかった。)

(やはり奴は空中移動ができないと考えて間違い無さそうだぜ。)

(だが、俺には遠距離攻撃の手段が『カマイタチ』か『空螺旋』しか………………)



すると、上空のサンドウィッチマンから死角になる位置でジェスチャーをしている住民が視界に入る。


住民は剣を構える仕草、上を指す仕草、何かが押し合う仕草、自分を指して弓を引く仕草を、

まるで簡易の手話のように繰り返していた。



アッシュとサンドウィッチマンのバトルのやりとりを見てアッシュの意図を察した住民がジェスチャーで作戦を伝達している。


2〜3回見ている内に何となく見えてくる映像。

(俺がもう一度……)

(空螺旋をアイツに放ち…………)

(竜巻対決をしている間に)

(弓で撃つ。)


『了解』とばかりにアッシュはニヤリと口角を上げ、住民の目を見て軽く頷き、再度 空螺旋の構えに入る。


ジェスチャーが伝わった事を確信し、住民はどこかへ去って行った。



アッシュの構えた剣を中心に再び大気が渦を巻く。


サンドウィッチマンはやはりそれに反応し、前回同様の竜巻の呪文の詠唱に入る。



「いくぜ、くぅらせぇぇん!!」

ドラゴンキラーから二度目の空螺旋。


サンドウィッチマンも魔法の詠唱を終えアッシュの空螺旋に遅れる事1秒弱、杖から竜巻を発動。


空中で再び互いの竜巻が拮抗(きっこう)する。



サンドウィッチマンは又しても空螺旋の軌道を逸(そ)らすべく杖の先端をスライドさせる。

当然と言えば当然の反応。


だが今回はアッシュもサンドウィッチマンとは逆ベクトルをかけて拮抗状態を維持した上でパワーを上げる。


拮抗点が少しずつだがサンドウィッチマンの方へと迫(せ)り上がってゆく。



(このまま迫り勝てれば俺の勝ち)

(援護射撃が来ても俺の勝ち)

(……だが、長引けばリリアのパワーが持たない)

(早く来てくれ)


不意にサンドウィッチマンが杖の先をアッシュと同じベクトルへと向きを変えた。


急に支えを失ったアッシュは前方へとつんのめる。

「しまった!その手が有った!!」


気付いた時には遅く、空螺旋は又しても虚空へと往(い)なされてしまった。



(魔法を『往(い)なす』だと!?)

(『合気』とは……武道家の発想。)

(………ッ!!)

(奴め、半身(はんしん)武道家は伊達では無いという事か。)

アッシュは『やられた』と感じた反面、思考の片隅では相手に感服(かんぷく)していた。


その矢先、

ドス、ドス、ドス、ドス…………


アッシュとの対峙に集中していたサンドウィッチマンの背中に矢が刺さる。


(ギリギリ間に合ったか……助かったぜ。)

アッシュは内心で安堵した。


サンドウィッチマンは矢の出どころに視線を向ける。


外壁の上部に住民と掃滅弓(そうめつきゅう)の発射台。


サンドウィッチマンは邪魔者を排除する為、魔法の詠唱を始める。


しかし、背中に刺さっている矢じりは雷属性のジェムで作った特別製。


バリバリバリバリバリバリッ!!!!

サンドウィッチマンの全身に電撃がはしる!



……………………ズドブ!

サンドウィッチマンの体は痙攣(けいれん)し、空中の足場が無くなったかのように落下してそのまま砂漠の砂地に叩き付けられた。


「キタ!奴を引きずり落としたぜ。」

アッシュはすかさずサンドウィッチマンの落下地点を目指し走り出す。



(奴は落下中、まだジェム化していなかった。)

(という事は、倒し切ってはいない!)

ズザザザザ…………ッ!!


アッシュはサンドウィッチマンが落下したと思われる場所へと駆けつけ、周囲を警戒する。



ボゴォ…………

砂地の1箇所が盛り上がる。

アッシュはその砂の盛り上がりと対峙する。


ズサァァァァ……………………

盛り上がった砂が流れ落ち、中からサンドウィッチマンの姿。


「キサマ、やってくれたな。」

サンドウィッチマンは目の前のアッシュを首を傾(かし)げて睨(にら)みつけながら言った。


アッシュは初めてサンドウィッチマンが何と言っているのかが聞き取れた。

「どうかな?お前をやった矢は俺が放ったモノでは無いがな……。」

アッシュは微妙な決め台詞をキメ顔で言い放つ。


・ ・ ・ ・

一瞬変な空気が流れ、サンドウィッチマンが怪訝な表情をする。

「ま…まぁ、それはどうでも良い。だが、この群衆の中ではキサマが一番強そうではある。キサマから仕留める事にしようか。」

タムッ、タムッ、タムッ、ザザッ!!

サンドウィッチマンは右半身の武道家の面を前面にし、軽いフットワークで構える。


アッシュも大剣を構え相手の出方を見る。


「様子見などしていて良いのか?」

サンドウィッチマンが挑発する。


「誰がそんな安い挑発になんざ乗るかよ!」

アッシュも威圧し返す。


「烈(れつ)なる炎よ我が呼び声に応じてゆるりと立ち上がり、紅蓮(ぐれん)の大地は我が命に従い逃れる者の道を閉ざせ。」

サンドウィッチマンの握る杖に微(かす)かな炎が宿る。



「あぁッ!!」

(クッソ、挑発なんかじゃねぇ!!)

(アイツ、あんな肉弾戦みたいな構えしときながら魔法撃つつもりか!?)


相手に魔法が使える限り、アッシュは先に仕掛けざるを得ない状況に追い込まれる。


(様子見してる間に不利になる。)

(読み合いなんざ知るか、先手必須!!)

(攻撃して詠唱阻止だ!)

「ドゥぉりゃぁぁぁッ!!」

剣を振り上げ突進するアッシュ。


「嘆(なげ)きの赤よ抗(あらが)う意思をひとつ残らず溶かせ…………」

サンドウィッチマンは詠唱継続中。

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