『3号門封鎖できま…………』
「お前、アッシュか!?やっと起きやがったか……。」
長身の男は叩き付けられた壁からよろめきながら立ち上がる。
(だ、誰だ……??何故俺の名を??)
アッシュはサンドワームと対峙しながら横目で長身の男を確認する。
だがそこにはアッシュの知らない男。
(…………いや、本当に誰だ???)
(駄目だ、今は目の前の敵に集中!)
アッシュの眼前ではサンドワームがサンダーローリング中。
アッシュにとある予感……………………
(門をくぐってローリングしながら前進中??)
(門から外の部分は知らんが…………)
(頭部から門までは真っ直ぐな形状なのでは??)
「リリア!上空からコイツの形状が真っ直ぐかどうか確認してくれ。」
「あいな……任せて。」
サンドワームを上空から確認するリリア。
「アッシュ、門まで一直線よ!!」
その答えを聞いてアッシュはニヤリと剣を振りかざす。
「リリア、カマイタチだ。」
「まぁ、この状況なら当然そう来るわよね。」
リリアはアッシュのドラゴンキラーに風の妖力を送り込む。
「いくぜぇ…………カマイタァァァチッッ!!」
剣を振り降すと同時に剣先から真空の刃が放たれる。
スワァーーーーーーーンッッ……………………
サンドワームの体のど真ん中に綺麗な直線を残しながら真空の刃は門の外へと抜けてゆく。
サンドワームのローリングと前進が停止する。
一瞬の静寂が戦場を包む。
ズチャ……、
パカ………………………………
ドォォォォオオオオンン………ン………ン………ン…
バラバラバラバラ…………キラキラキラキラ…………
サンドワームの図体は脳天から真っ二つに別れ大量のジェムと化し、アッシュの眼前から3号門の外の砂漠まで一直線に散らばった。
その様子を住民達は固唾を飲んで見守り、デザートサハギンは凍り付いた眼差しで見ていた。
束の間、あまりの出来事に人間もモンスターも身動き取れずに固まっていたが、
『命の危機』を察したモンスター達が一目散に門へと向かって撤退を始めた。
「ワァァァァ…………!!」
と住民達からの歓声が上がる。
と同時に『ドォォン!』という音と共に『カーン、カーン!!』と鐘の音が響き渡る。
住民達はざわめき、口々に
「2号門がヤラレた。」
「今度は2号門か!!」
『2号門』『2号門』…………と、あちらこちらから聞こえる。
その情報を耳にしたアッシュは近くに居た住民に2号門の場所を聞き、代わりに今の内に3号門を再度封鎖するように指示してから2号門へと向かった。
アッシュから指示を受けた住民は「3号門を封鎖しろ!3号門、封鎖だ!!」と叫びながら周囲の住民達へ伝達して回る。
長身の男がアッシュに礼を言おうかと姿を探したが、見つけたのは裏路地を2号門方面へ走り去る後ろ姿だけだった。
「…………ったく、アイツは礼も言わせねぇのかよ。」
と苦笑いを浮かべる。
が、瞬時に思考を切り替える。
「防御態勢を立て直す!戦える者は残ったモンスターの処理だ!!撤退するモンスターには構うな!!3号門の閉鎖を優先!」
長身の男は残りのモンスターを相手にしながら指示を出し、住民達をまとめ上げる。
程なくして3号門は再び閉門され、破損した閂は新しい物に交換され再施錠された。
ドーサの歴史上、破られた門が来魔戦中に再び閉じられたのは初めての出来事だった。




