『ムチムチな男』
外壁を越えたモンスター達が街中へと侵入して来る。
ドーサの住民達や、行商でこの地に居た者達は愛用の装備品や、各所に設置された武具商会からの支給品を手に取り交戦する。
やはり最初に襲来したのは昆虫型だ。
住人達は剣や槍を振り回し応戦するが、的が小さ過ぎる為になかなか当たらない。
盾を使って叩き落とす者も居るがなかなか数は減らない。
中でも厄介なのは『ニータスロックビー(bee)』と『シーニガービー(bee)』の対の蜂型モンスターだ。
どちらか一方の毒を受けると全身が痺れで身動きが取れなくなるか、著しく鈍くなる。
その状態でもう一方の毒を受けると体内で毒が混ざり合い劇薬に変化し呼吸不全、脈拍低下などの症状に陥り……最悪は死に至る。
交戦開始からわずか数分の内に既に数人が片方の毒を受けて倒れ込んでいる。
「皆、下がって!!」と言いながら数人の女性達が昆虫型モンスターとの交戦に割って入る。
ブシューーーーーーーーッッ!!
辺り一面が冷たい霧に覆われる。
女達が腰に装備した『氷霧散布筒』で昆虫型モンスターを一気に冷却する。
〜〜 『氷霧散布筒』 〜〜
氷属性のジェムをエネルギー源とした広範囲を瞬間冷却可能な筒型携帯装置。
霧を浴びせた昆虫型モンスターを行動不能にする事ができる。
街中で火炎放射器を使うと火災を引き起こす可能性が有る為、『灼滅砲』とは逆の発想で開発された冷却兵器。
体温低下により行動不能になった昆虫型モンスターはポトリポトリと地面に落下する。
すかさず住民達はそれを踏み潰し、毒で倒れた者は治療施設へと運ばれた。
パンッ……パパンッ…………パパパン、パンパンパン!!
街のほぼ中心部に位置する広場に氷霧散布筒に頼らず大量に昆虫を蹴散らす義足の男が1人。
「チィッ、キリが無ぇな。」
華麗な鞭捌きで小型の対象を確実に撃ち落としてゆく。
「俺はもっと強めのとヤリてぇんだが……まぁ肩慣らしと鞭鳴らしには丁度良いか。」
義足の男に更に昆虫型モンスターが集まって来る。
(このままでは数に押される…………)
ヒュパンッッ!!
劣勢かに見えた義足の男はもう一本鞭を取り出して空気を切り裂いた。
「双鞭流! 双子の蛇!!」
「循環する防御壁!!」
双鞭を巧みに操り身の周りに攻防一体の球体状の壁を作り出す。
パパパパパパパパパパンッッッッッッ………………
キラキラキラキラ……………………
シールドに触れたモンスターはたちまちジェムとなって周囲に散らばる。
「お待たせしました!」
そこへ氷霧散布筒を装備した女性達が到着する。
「後はお任せ下さい。」
「虫は頼んだぜ、俺はもっとデカそうなの行ってくるゼ。」
と言い残し義足の男は更なる激戦区を求め、去って行った。




