『目覚めた男』
カーン!カーン!カーン!!
キン!キン!キン!!キンッ!!!
ゴォーーン……ゴォーーン…………
朝日が昇り暫くした頃、
色々な鐘の音がけたたましくドーサの各所から鳴り響き街中が鐘の音で満たされる。
「ウルセェなぁ…………。」
男、目覚める。
「クソ、よりによって今日かよ…………。」
男は面倒臭そうに頭を掻きながら椅子から立ち上がった。
男はチラとベッドに目をやる。
(まだ寝てる……………………か。)
ドウズは昨晩アッシュの自室に連れて帰り車椅子からベッドへ移し、
自分はそのままベッド傍で椅子に座ってアッシュの状態を見守りながら眠ってしまっていた。
(アッシュが眠っているタイミングとはな………間の悪い事で…………、)
(どうするか……メインの武器は馬車に置いて来ちまったしな)
と、ドウズは腰の安価なナイフに手をやる。
(アッシュを置いて一度馬車まで…………)
(馬車まで行って戻る…………ギリ20分か。)
(いや、それじゃ無防備のアッシュが危険過ぎる)
(アッシュを連れて馬車まで…………車椅子も返しちまったし背負うってなると…………途中で襲われりゃアウチだな。)
(ならば、俺がここで喰い止めるしか…………)
〜〜〜 『来魔戦』 〜〜〜
来魔の時期になると世界各地ではモンスターが発生する。
モンスターの意図や目的は未だに解明されていないが、『人類』と敵対するような動きが見られる。
その為人が集まっている地域、土地、街や村等を目指してモンスターが襲来する事が多々有る。
ドーサの様に特に人口が多い場所などは毎時期モンスターの大群に襲われる傾向にある。
〜(ドーサの場合)〜
ドーサの外壁の見張り台からモンスターの襲来を観測すると街中で警告の鐘が鳴らされる。
鐘の音が鳴ると約15〜20分程度でモンスター群は街へと到着する。
(但し目安なので、±5〜10分の誤差有り)
非戦闘員(自己判断制)は地下のシェルターへと避難する。
戦闘参加勢(自己判断制)はモンスター迎撃準備。
シェルター組は安全性は高いが報酬は無し。
戦闘参加勢にはモンスター撃退後のジェム山分け有り。
武器、防具、その他アイテムの商店の品は店頭品ならば自由に使用可能。
商店にはジェムの追加報酬有り。
戦闘参加した者の中で怪我をした者はその後治療費無料。
治療施設には後にジェムの追加報酬有り。
戦闘参加した家族の中で死亡者が出た場合、家族には遺族にお悔やみジェム(規定量)有り。
他者からの推薦で特に活躍していた者の名が出た場合、会議の結果次第ではジェムの追加報酬有り。
ドーサ全体の人の動きが一気に慌ただしくなる。
「慌てないで、まだ大丈夫だから。手は放しちゃダメよ。」
子供の手を引いてシェルターへ向かう者。
「来たぜ、来たぜ、チャンスとピンチのお出ましだ。」
馴染みの防具に着替え、武器を握り家の外に出て来る者。
「来やがったか、シャーネー、全部持ってきやがれ!」
商人達はとっておきの商品の棚にシャッターを下ろし、残りは全部店の外へ押し出して店を閉める。
ガラガラ……………………ピシャン!
「来るぞーーーッ!早く中へーーーッッ!!」
街の外壁の門は街の外に出ている人達を収容した後、順次閉門。
ギィィィ…………
ドォォン…………、ドォォン……………………
バァァァン…………、ゴォォォンン…………
「各自、対空迎撃準備!かかれぇッ!!」
外壁最上部、支柱と支柱を繋ぐ通路では等間隔に設置された各種射撃武器に被されていた布が剥がされてゆく。
バッサ…………バッサ…………
ブワァッ…………ザファッ……………………
ゴォォォォォオオオオ……………………
街の道路の各所にも『サンドエレベーター』と同じ原理の動力で、地下から武具商会からの支給品(在庫処分品)がせり上がって配置される。
ドォォンッッ!!
「通常時バルブ閉弁ヨォシッ!」
「アグラーパイプへの切り替え完了!」
「アグラー弁、放て!全開放!!」
街の水道管バルブはアイテム商会が所有する回復アイテム『アグラー』の巨大アグラータンクへと切り替えられ、これにより街の至る箇所の水道から回復アイテムが出てくるようになる。
街中にアグラー特有の苦くて苦しい感じの臭いが立ち込める。
住人達の動きは見事に統率がとれており、モンスター襲来までの約20分間という時間にも関わらずみるみる迎撃態勢が整っていく。
5階のアッシュの部屋からその様子を見ていたドウズは
(俺もいつもは現場で来魔戦に参加組だからな、迎撃準備する様子を見るのは初めてだぜ。圧巻だな。)
(ただ、統率が取れ過ぎている分悲しくなるな。)
(この街は幾度となく来魔戦を…………)
と複雑な気分になる。
『砂漠の大商業都市ドーサ』は『モンスター迎撃都市ドーサ』へとその姿を変え、
いざ、開戦!!




