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7番目の勇者  作者: モダろいしヒト
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『アッシュの180分』

     〜 一方、アッシュは 〜


『ドォン……』と洋館の扉は重い音を立ててアッシュを飲み込み完全に閉まる。


アッシュは左右の腕をボンデージ姿の女性二人に一本ずつ抑え込まれながら後ろ向きのままやや強引気味に建物の奥へと連れて行かれる。


アッシュは腕の拘束を解放しようと抵抗を試みる。

しかし、アッシュの腕は拘束から抜ける気配が無い。


(ぐ、何ぃ?ビクともしないだと!?)

(俺もそんなに力は弱い方では無いハズ。)

(コイツら、マジか??)


…………だが、アッシュは抵抗を試みる度に腕にボンデージ女性の胸の柔らかな感触が伝わるのを感じ、逆に何だか自分が恥しくなって大人しくする事にした。


「わ、分かった……大人しくするから離してくれ。」

アッシュは無駄だと思いながらも提案してみる。


するとアッシュの腕はすんなりと解放され、体の向きを進行方向へと向き直された。


「じゃあ、大人しく付いてくるのよ?坊や。」

「逃ようとしたりしたら……分かるわよね?」

とアッシュは両耳近くで囁かれ、背筋がゾクッとした。


アッシュは言われた通り黙ってボンデージ女二人に付いて歩く。


カツカツカツカツ………………………………

コツコツコツコツ……………………

薄暗く長い廊下を二人のハイヒールの音だけがアッシュの左右から響く。


暫く歩くと幅の広い通路に着いた。

右側の壁には『HELL』

左側の壁には『HEAVEN』

と表示され、等間隔に部屋がズラリと並んでいる。


『HELL』の壁には真っ黒なカーテンが掛かっている。

『HEAVEN』の壁は金色の装飾であしらわれた淡い赤色のドアがめ込まれている。


アッシュは左右の両極端の異様な雰囲気の壁に注意を払いながら更に奥へと連れて行かれる。


アッシュの気のせいか、時々『HELL』側の壁から生き物のうめくような声と何かを叩く乾いた音が薄っすらと聞こえて来るような気がする。


しかも道中で他のボンデージ女に押されている何人かの車椅子に乗せられ、布を掛けられた人間(?)とすれ違う。

車椅子に乗せられた人達(?)は皆、頭を垂れてグッタリしている。


その光景を見た瞬間、アッシュに嫌な予感が走る。

(ま、まさか俺もあんな風に…………………)


そんなアッシュの想像をよそに、

右側のボンデージ女が「あら、今日はこの部屋空いているのね。」と独り言のように言った。


その声に誘われるようにアッシュの視線が自然とその『HELL』側の部屋へ向く。

(ギョッ!!)


その部屋にはカーテンが掛けられておらず、部屋の内部が丸見えだ。

…………いや、部屋というかまるで牢屋。

壁には鉄格子がめ込まれ、室内の壁からは鎖で繋がれた手枷てかせ足枷あしかせが垂れ下がっており、十字架のようなはりつけ台も設置されている。

他にも、部屋の隅の木製のテーブルの上には見た事の無い形状の道具が整列されている。


その道具の中にアッシュはひとつ見覚えのある物を見つける。

(鞭だ。)


鞭を見つけた瞬間、アッシュは悟る。

(牢屋の中に囚人が使える『武器』が有る訳がない。)

(て事は、ここは牢屋では無く………………、)

(処刑部屋!!)

(ヤバイ、やはり逃げるしかない!!)


アッシュがそう思ったのが速かったか、両手首を同時に掴まれ逃げるチャンスを失う。


「ここよ。」

とアッシュの左側から声がする。


そこはひときわ大きな白い扉の前だった。

扉の上部には『EDEN』と記されている。


アッシュが『EDEN』を確認したタイミングで後ろから布を巻き付けられ視界を奪われる。

「何をするッ!!?」


焦るアッシュ。

しかし二人がかりとは言え女性とは思えない程の力で身動きを封じられる。


『ギィィィ…………』重い扉の開く音。


「さぁ、ここまで来たからにはもう後戻りは出来ないわよ坊や。」

と右側から。


「もう普通の生活には戻れないから覚悟してね。」

と左側から。



アッシュには二人の女性に抱え上げられてそのまま何かの台に大の字に寝かされて両の手足に拘束具を取り付けられた感覚が有った。


「ヤメロ、何をする気だっ!!リリアッ!リリアァァァッ!!!!」

アッシュはリリアの名を叫び聴覚でリリアの存在を探ったが何の反応も無い。


瞬間、アッシュは首の後ろ辺りを指のような物で押される感覚がしたと思ったのを最後に意識が途切れた。

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