008:社畜、床で目覚める
世界が改変できたら普通はどうします?
チートで無双? ハーレム生活? 大金無双!
ここにいるのは山南っぽい何かに翻弄される社畜
今日もまた佐藤匠海による、自身の心の絶対的平穏を勝ち取るための戦いが始まる
◇
スマホのアラームが鳴って、気がつくとそこは会社の床の上だった。
自分のタスクをこなした結果、結局会社に泊まり込むことになった。
徹夜じゃないだけまだマシだと言える。
よく分からないが詰まることもなくコードを組めたおかげで、終電を逃しただけで済んだ。俺天才。
横井と高橋はなんだかんだ言いながら終電で帰れたらしい。
机の下から這い出てゆっくり伸びをする。
さすがに身体の節々が痛い。
いつものアラームで起きたのはいいが、通勤時間分損した気分だ。
その時、つけっぱなしだったPCにメッセージが表示される。
「山南:おはよう。佐藤匠海。徹夜じゃなくて良かったな。」
そろそろこのメッセージの送信者にも慣れてきた。
こいつは何らかの方法を使ってこちらの思考を読み取ってハッキングしてくるハッカーに違いない。
「山南:相変わらず極端なやつだな〜。それが面白いから見てるのは間違いないけどさ。」
たちの悪いストーカーだな。こいつ。
チャットに入力しなくていいだけ楽ではあるが、頭の中を覗かれるのは正直気持ちの良いものではない。
どんなトリックなんだ?
「山南:まぁ、そう言うなって、こっちは管理者アプリさえ使ってくれれば文句ないんだからさ。」
またこれだ。そんな物を使わせて俺に甚大な被害をもたらそうったってそうはいかない。
「山南:そもそもキミが昨日寝れたのだって、僕がキミのステータスを調整したからなんだぜ。もう戻ってるけど。」
なん……だと?昨日の冴え渡った俺の美しいコードはこいつが作ったっていうのか!
「山南:それはもちろん佐藤匠海の実力。僕はそれを手助けするパッチを当てただけ。」
パッチ当てだと?人をプログラムかなんかのように言いやがって。
そこで何故か急にチャットは沈黙した。
理由は分からないが、こちらから話しかけても無反応になった。何か言ってはいけないことでも言ったのかね?俺。
まぁいいか。そろそろ出社してくるやつもいる頃だし、適当に朝飯買いに行くか。
◇
コンビニで定番のエナドリとサンドイッチを買い会社に戻る。
エレベーターの入口で高橋とはち合わせた。
「佐藤さん、おはっす。」
「あぁおはよう。」
「あの後何時だったんですか?」
やはり昨日のことが気になっていたようだ。
「2時くらいだったかな?終わったから寝たよ。」
「さすがっすね。真似できないっすよ。俺に山南さんの件回されてたら今も終わってないっす。」
「さすがに床に直寝るのはキツくなってきたわ。段ボールでも貰ってくるかな。」
「そこはせめて空気式のマットレスとかにしましょうよ。安いのあるっすよ。」
「考えとくよ。」
エレベーターが到着し、自分の席に戻る。
今日はどんな無理難題が振られることやら……。




