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社畜のパッチ生活 ―管理者権限で平和を守ります(※ただし自分の)  作者: 真坂野琉実


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007:社畜、怪異に遭遇する

世界が改変できたら普通はどうします?

チートで無双? ハーレム生活? 大金無双!

ここにいるのはパシリに行った社畜

今日もまた佐藤匠海による、自身の心の絶対的平穏を勝ち取るための戦いが始まる


思わず手にしたスマホを凝視する。

時刻はすでに20時を過ぎ、タスクは山積みだ。

あ、これ今日帰れないな。また泊まり込みのパターンだわ。

まずは山南のバグ潰さなくては……。俺のタスクは1ミリも進んでないし。最近徹夜がしんどいんだよな。

などと他人事のように考えていた。

何故か復活してしまったスマホのことはできる限り思考の外に追いやる。

そうこうしているうちにポーンという電子音と共にエレベーターが停止し、扉が開いた。

その音で我に返り、会社へと帰還した。

◇

横井と高橋に頼まれたものを渡して、自分も夕食を摂る。面倒なので夕飯はおむすびと決めていた。片手で食えるしな。

食べながら山南のバグ報告書類を片付けようと、残されていた書類の山を確認する。

……しかし無くなっている。

おかしい。あと2〜3時間はかかるような量があったはずだ。

急に不安になって後輩に聞いてみる。

「なぁ俺のとこにあった書類触った?」

近くの席の高橋がサンドイッチをパクつきながら答えた。

「さっきエアコンの風で書類落ちたからそこにまとめときましたよ。」

高橋はそう言って俺の隣の机を指さす。

確かにそこには書類があった。

「悪いな。」

そう言って自分自身が何かに怯えていたことに気づき、少しおかしくなった。

はがきから始まった一連の騒動で少しおかしくなっていたかもしれない。

……考えすぎだ。と残ったおむすびを一気に平らげ、お茶で流し込む。

◇

書類は順番も上下も何もかもがバラバラだった。高橋らしい仕事ぶりだ。

一応数えてみる…よし、全部ある。一安心だ。

全部あるなら問題ない。順番が変わったとしても、ちゃんと直したものに対してペンでチェックしてた俺に隙はない……。

番号順に並べ直しながら自分の記憶と照合する。

……おや?全部にチェック入ってるんだが…。

おかしい。俺の記憶では山南関連のバグ報告はあと5個はあったはず……。

その時、チャットにメッセージが表示された。

「山南:大変そうだから片付けといたよ。」

何だと?この山南っぽい何かは自分の仕事を自主的に片したらしい。

「山南:僕……の仕事じゃないけど、工数かかって大変じゃん。キミの仕事もあるしさ」

そういえば俺の今日の仕事は手つかずだった。

色々ありすぎて忘れかけてたわ。

ダメ元で山南の個人チャットに書いてみる。

「佐藤:なぁ、俺の仕事も片してくれよ。お前の仕事ほとんどやってやったんだからさ。」

……しばしの沈黙。そして返信が来た。

「山南:佐藤匠海は人にソースコードいじられるのが一番嫌いじゃん。また明日な。」

こいつ…いい性格してやがる…。

そもそも俺が自分の仕事いじられるの嫌いなんて、どこから仕入れてきやがった……。

後輩達がキーボードを叩きながら夕飯を食べているのを横目で見つつ……。

最近じゃため息もハラスメントとかいわれるらしいからな、気をつけないと……などと思いながら聞こえないように軽くため息をつく。

ふぅ……。

何故なら俺の徹夜仕事が確定したからだ。

……合掌。

業種は違いますが筆者も他の仕事に追われて夕方から今日の仕事が始まることが昔はよくありました。

てっぺん越えないで帰れたら早いねなんて狂ったことを言ってたあの頃。若かったな〜。


※見返したらとんでもないミスが色々あったので全面的に直しました。新しいお話は平日19時に更新予定です。

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