006:社畜、買い出しに行く
世界が改変できたら普通はどうします?
チートで無双? ハーレム生活? 大金無双!
ここにいるのはB級ホラーに足を突っ込みつつある社畜
今日もまた佐藤匠海による、自身の心の絶対的平穏を勝ち取るための戦いが始まる
水没したスマホを引き上げて念のために電源ボタンを長押ししてみる。
……無反応。
完全に死んでいる。これは俺の勝利だ。
金がかかるがそれは仕方ない。
思わずほっと一息つき我に返る。
......いかん。こんなことをしている場合じゃない。山南のバグを潰さなくては今日の俺の仕事が始まらない。泊まりは慣れっこだが正直嫌だ。
急いで席に戻って水没スマホを机に置いた。
さすがにびしょ濡れのスマホをカバンに入れるのはな……。
モニターを見るとまた山南からメッセージが入っている。
「山南:そんなことしても無駄だと思うけどな。」
無視だ無視。こんなのにかまってる余裕はない。目障りなのでアプリ自体を落とした。
◇
アプリを落としてからは平穏な状況が続いた。
そもそも会社の中で仲良くチャットなんかやってるような状況じゃないし、このアプリ自体も上司へ連絡するのがメインだ。
会社の中に流れていたのはキーを叩く音と電話や通信アプリでクライアントと会話する声、そして悲鳴にも似たうめき声。……あれは致命的なバグが出たな。
そのバグの対応がこっちに回ってきませんように……っていうか山南のバグ多すぎ。初歩的なミスばかりだから手間はかからないが終わらん……。
さすがにそろそろ腹が減った。夕飯の買い出しに行かないとな、誰か行ってくれると助かるんだが……。
仕方がないので買い出しの有志を募ろうとチャットアプリを立ち上げ、オープンチャットに入力する。
「佐藤:夕飯の買い出し必要なやついるか?」
しばらくするとメッセージがポツポツと届きだす。
「横井:欲しいっす。」
「高橋:俺も。」
「佐藤:誰が行く?」
その時、個別チャットで例のメッセージが表示された。
「山南:僕が行こうか?」
当然無視である。
「佐藤:やっぱ俺行くわ、外行って気分転換してくる」
後輩の希望を聞いてパシリに出た。言い出しっぺが損するのはいつものことか。
◇
コンビニで買い出しをして、会社のあるビルのエレベーターに乗った時それは起こった。
鈍い振動。
いつもの癖で壊れたスマホをポケットに突っ込んでいたことに気づき、俺は恐怖する。
まさか……そんなハズはない。水没したスマホが生き返るわけがない……よな。
ポケットに手を突っ込んで恐る恐るスマホを取り出す。
俺のスマホは復活していた。何事もなかったように……。
土日の投稿は基本お休みいたします。
予約投稿間違ったら投稿されるかもしれないです。




