045:社畜、時差出勤をする
世界が改変できたら普通はどうします?
チートで無双? ハーレム生活? 大金無双!
ここにいるのは突っ込まれた社畜
今日もまた佐藤匠海による、自身の心の絶対的平穏を勝ち取るための戦いが始まる
「おはようっ!佐藤くんっ!」
俺の朝は筋肉による号令で始まった……。
「おはようございます。藤原さん」
昨夜は遅かったし、ショッキングな映像を見たので寝つきが悪くて起きられなかった。
2時間くらいは寝れたから良いんだが。
「佐藤くん。昨日は泊まりかね?」
「はい。解析が急に進んだので、昨日のうちに終わらせておきました」
「終わったのは何時かな?」
「えーと……4時くらいかな」
「佐藤くんは既に本日分の労働時間を終えているっ!いわゆる時差出勤だっ!」
藤原補佐は衝撃的な事を言う。……何だそれ。
「0時から働いているのだからなっ!休憩時間を考慮すれば全く問題ないっ!」
「はぁ」
あまりにも衝撃的過ぎて、寝起きの頭には全く入ってこなかった。
「特命事項も終えたようだしなっ!今日はお疲れさまでしたっ!」
……とても良い笑顔に見送られた。これからどうしよう……。
仕方がないので帰宅した。
こんな時間では店もやってなければ、どこかでやるような趣味もない。
風呂入って寝るか……。
◇
……起きることができたのはだいぶ時間が経ってからだった。
スマホで時間を確認する……14時か。
短すぎる睡眠は余計疲れるから反動が大きいんだよな……。
まさかこんなことがあるとは思わなかった。
……コツコツ
ノック?……チャイムじゃなくて?
……コツコツ
ノックじゃない。窓か。
窓を開けるとカラスが飛び込んできた。
……あ、しまった。絶対あいつじゃん。
『やぁ。佐藤匠海』
テーブルの上に乗ったカラスは片方の羽根を器用に上げて挨拶する。
「やぁじゃなくてだな。何の用だよ」
『いいじゃん。用事なくてもさ』
「申請とやらがいるんじゃないのか?お前そういうの嫌いそうじゃないか」
『今日は聞きたいことがあってね』
「どうしたんだよ。改まって」
『佐藤匠海は全知全能の力を手にしたのに何で金増やしたりしないのかなって。普通するでしょ?』
お前はは何を言ってるんだ……そんなの決まってるじゃないか。
「何をもって普通と言ってるのかは知らないけどな。そんなことをしたら税務署とかすぐ寄って来るだろう?」
『え?そこ?』
カラスもどきが目を丸くしている。
鳩が豆鉄砲喰らった顔とはこういうことだろうか。こいつはカラスだけど。
「一番大事なことじゃないか。俺は平和に暮らしたいんだ」
『平和……ねぇ』
「俺の平和な生活を守ることが一番の優先事項だ。それ以上でもそれ以下でもない」
『……どう見てもそうは見えないけどなぁ。昨日のだってLANのケーブル抜いて動作見れば終わりだったじゃん』
……あ……そう言われたらそうだ。
だが、依頼は解析だった。だから俺は最善を尽くしたと言える。
「解析しろと言われたからセーフだ」
『ちょっと真面目すぎないか?佐藤匠海は』
カラスもどきがジト目で俺を見る。カラスってジト目ができるんだな。
「お前がそこまで言うならやってやるよ」
俺は管理者アプリを起動する。
マクロ機能で俺の財布の中身を定期的に増やすように組んでやった。
「どうだ。これで文句ないだろう。俺だってやれるんだからな」
そう言って、テスト的にマクロを起動し財布の中を覗いてみる。
そして、仕様通りの結果が出ているのを確認した。
『ニヤけてるけど、一体いくら増やしたの?』
カラスもどきがジト目のまま俺に聞く。
「11時半に俺の財布へ1000円生えるようにしたぞ。これで俺は昼飯に困らなくなった」
俺がそう言うと、カラスもどきは翼を大きく広げてため息をついた。
『佐藤匠海は期待通りだなァ……』
そして開いていた窓の隙間をするりと抜け、空に飛び立った。
アホーとしか聞こえない鳴き声を残して……。
……俺なんか変なことやったか?
長かったインシデント編を終えたので、絶対みんなが疑問に思っていることを突っ込みました。
佐藤匠海はこういうやつです。




