046:社畜、陳情する
世界が改変できたら普通はどうします?
チートで無双? ハーレム生活? 大金無双!
ここにいるのは経験値を稼ぎたい社畜
今日もまた佐藤匠海による、自身の心の絶対的平穏を勝ち取るための戦いが始まる
カラスもどきが帰ったあと、俺はやることもなくテレビを眺めていた。
俺の手にはスマホ、そして開いているのは管理者アプリだ。
……どうにかして経験値を楽に稼ぐ方法はないもんかね?
レベルを上げれば何らかのスキルがアンロックされる。
……もしかしたら次には役に立つスキルがあるかもしれない。……期待はできないけど。
そう思いながら流れているテレビの映像を眺めていた。
「楽に稼ぐ方法はないと思うけどな」
例によって山南もどきが返答を入れてくる。
そうは言ってもな、一日で頑張っても30EXPくらいしか稼げないから、なかなかレベルも上がらないんだが。
「コツコツやるのが大事だよ!」
……お前は本当にソシャゲの運営サイドなんだな。チュートリアルに書いてあるようなこと言うなよ。
「だって佐藤匠海はコツコツやるの得意じゃん。だからそれに合わせてあげてるんだよ?」
いや待て。俺がそういう気質だからって、それに合わせる必要はないだろう。
待遇の改善を要求する。せめて稼ぎやすいタスクを作ってくれ。じゃなきゃやめる。
俺ははっきりと宣言した。
……山南もどきは俺の宣言を聞いてしばらく考え込んだようだ。
「……しょうがないなぁ。特別だよ?」
よし。折れた。
【継続】増えすぎたスズメバチをミツバチに変える/報酬:1EXP
ピロンというやる気のない音が鳴り、継続タスクに何か生えた。
……確かにさっきテレビでスズメバチがうんぬんという特集やってたと思う。
だからといってそれをそのままぶっこんでくるセンスはどうかと思うよ?
……基本前にやった鳩と同じタスクだしな。手抜きにも程がある。
「手抜きじゃないよ。もう少しレベルが上がったら実装しようと思ってたやつなんだからねっ!」
……お前はツンデレのお嬢様か。
そもそも経験値が鳩より少ないのは嫌がらせか?
「嫌がらせなんかじゃないよぅ。スズメバチの巣には1000匹位いるはずだから一攫千金だよぅ」
……確かにそう言われればそんな気はする。
しかし、騙されてはいけない。絶対裏があるはずだ。
そう思ってしばらく考える……。
あ、スズメバチって種類があるんじゃなかったか?
オオスズメバチとかキイロとかクロとか。
対象はどれだ?
「どれでもOKだよ。佐藤匠海なら楽勝でしょ」
何が楽勝なのかも分からないし、どこから突っ込めばいいかも分からないんだが。
……ところで、スズメバチの巣はどこなんだ?
「それは佐藤匠海が自分で探すやつだよ。ほら検索機能あるじゃん」
……半径3mの検索機能で何を探せと?そんなに近かったら目視で分かるし、そもそも襲われるわ!
「探すのはスズメバチだし、僕は刺されないし」
……うわ、こいつ完全に投げやがった。
こうして新しいタスクへの挑戦が始まったのだった。
少し短めです
1話で終わらそうと思ったのにまさか続くとは……。




