027:社畜、電話する
世界が改変できたら普通はどうします?
チートで無双? ハーレム生活? 大金無双!
ここにいるのはまた巻き込まれる社畜
今日もまた佐藤匠海による、自身の心の絶対的平穏を勝ち取るための戦いが始まる
翌日出社すると何か騒がしい。
来るのだけは早い小山の声がする。
「私は最後に鍵をかけて退社した。それは間違いないんだ。」
ん?どういうことだ?
「来たら開いてましたよ。鍵」と横井。
「おはようございます。どうしたんだ?」
「あ、おはようございます。佐藤さん。」
横井が俺に気づいて振り向く。
「今日出社したら鍵が開いてて……最後小山課長代理が施錠したというので、確認していたんです。」
なるほどそういうことか。
うちはまだ物理の鍵だからな。セキュリティ意識ゼロだ。……防犯カメラあるからゼロではないか。
「誰かが入ったのかもしれないな。紛失したものは?」
「馬鹿かね?キミは。こんなところに金目の物なんかないんだから、来るわけ無いだろう!」
うわ何言ってるんだこいつ。顧客のデータとか開発中のソフトとか色々持ち出されたらマズいものあるだろうが。セキュリティ・インシデントという言葉を知らんのか。
俺は半ば呆れて言った。
「データの入ったUSBを1つ持ち出されただけで重大な案件ですよ。定期学習でやってるでしょう。」
「そんな事は知っている!それは紛失した場合の話だろう。紛失していない以上これは重大な案件ではない。」
……こいつダメだ。自分のせいになる可能性があるから話をそらしてうやむやにしようとしている。
「本社に連絡します。話はそれからです。」
俺は何か喚いてる奴は放っといて受話器を上げた。
◇
「お疲れさまです。佐藤さん。」
1時間後、本社の人がやってきた。何故か峯本さんが。
……社長室付き秘書ってこんなことまでやるのかよ……。
「お疲れさまです。峯本さん。御足労ありがとうございます。」
「状況を分かる範囲で教えていただけますか?」
「私が確認したところでは…」
俺が話しだしたら小山が割って入って来た。
「私は昨日鍵をかけた。今朝来たら開いていたというんだ。私が確実に施錠して警備室に預けた。だから私は関係ない。」
「……分かりました。第一発見者の方と一報いただいた方から別室で話を聞きます。部屋の中の物に手を触れないでくださいね。」
今、一瞬間があったな……。
「分かりました。会議室でいいですか。」
「はい。それで大丈夫ですよ。」
何か喚いてる小山を置き去りにして、俺達は会議室に移動した。
「横井さん……でしたよね。第一発見者ということでよろしいですか?」
席に着くなり峯本さんが切り出した。
「はい。私が出社したら鍵が開いてました。佐藤さんが泊まったかなとか思ったんですけど、誰もいなくて。そうこうしてるうちに小山課長代理が来たので鍵のこと聞いたら怒り出したんです。」
「なるほど。そういうことですか。……佐藤さんの出社はその後ですか?」
「そうです。私が出社したときには小山課長代理と横井が既に出社しておりました。」
「状況は分かりました。紛失したものの調査はまだですよね。」
「そうです。事務所の物には触っておりません。派遣の方も全員本日は帰宅して貰いました。全て電話での指示通りです。」
俺の言葉に峯本さんがにっこりと微笑む。
「ありがとうございます。助かります。……これが単なる鍵の掛け忘れであればいいんですが。」
峯本さんの心配はもっともだ。でもな、それってフラグって言うんだぞ。
……絶対めんどくさいじゃないか。
本日より更新再開です。
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