026:社畜、早く帰る
世界が改変できたら普通はどうします?
チートで無双? ハーレム生活? 大金無双!
ここにいるのは危険を察知した社畜
今日もまた佐藤匠海による、自身の心の絶対的平穏を勝ち取るための戦いが始まる
そして翌日。
高橋の奴は会社に出てくるなり倒れた。
救急車で運ばれた彼は過労と診断された。
何でも、起きたら身体が鉛のように重くて、なんとか会社にたどり着いた……と思って気がついたら病院だったとのこと。
そしてそのまま入院となった。
……すまん。それの原因多分俺。
退院したら旨いもん食わせてやるから許せ。
ちなみに俺は結局チートを自分には使わなかった。
……何か怖かったしな。
1つ学習したことは、やりすぎはダメということだ。
一緒に体力を盛ればよかったかもしれない。
とりあえずこの職場に残る実働の正規社員は2人となり、無駄に残業が増えたことだけは間違いない。
……自業自得ではある。今後はぶっつけ本番の人体実験はやめよう。
◇
そして監査から1週間が経過した。
小山は相変わらず、全く変わらず。
クソみたいなタスク振り分けで俺達を残業地獄に放り込む。
あの研修という事情聴取が嘘のようである。
……手の込んだドッキリだったのかもしれないな。
と思っていたら、峯本さんから電話がかかってきた。
「そちらの高橋さんが過労で倒れたと聞きましたが、本当ですか?」
「本当ですよ。遂にこの職場も実働の社員が2人になりました。高橋は明日復帰だそうですけどね。」
「佐藤さんもお身体には気をつけてくださいね。」
「ありがとうございます。気をつけます。」
どうやら高橋が倒れたことをどこからか聞いたらしい。例の調査の一環かもしれないな。
受話器を置き、少しもの思いにふけっていると、外からいつもの奴がノーテンキに声を掛けてきた。
「山南:そうだといいね。」
いやいやお前色々見て知ってるよな?
「山南:そういうのは分からない方が面白いでしょ。」
ふーん。まぁいいか。ところでそろそろ開発してるんだろうな?
「山南:何のこと?」
とぼけるな。
「山南:こないだの話は今検討中。予算降りたらね。」
……結局それかよ。
「山南:まぁ色々あるんだよね。もう少し待っててよ。頑張ってはいるから。」
まぁ期待せずに待っててやるか。
ちなみにあといくつでレベルアップするかはお前分かってるんだろ?
「山南:一応ね。今は禁則事項だから教えられないよ。」
……さてはその辺りが実装の壁だな?
「山南:深読みはダメだよ。気楽にいこうよ佐藤匠海。」
何が気楽にだ。あのアプリのせいで尊い犠牲が出てるんだからな。こっちはいい迷惑だ。
「山南:それは自業自得……仕方ない。1個だけアドバイス。平穏に過ごしたいなら今日は最後の一人にならないこと。」
何だそれは。
最後まで残らないも何もタスク終わらないと帰れないんですが。
「山南:ステータスいじって早く帰りなよ。Concentrationは70くらいが適正だからね。」
そういうことは先に教えておいてくれ。
俺は山南もどきの勧めに従って仕事を加速し、驚異の19時上がりを成し遂げたのだった。
ちなみに何をしていたかは分からないが、いつもなら定時で帰るはずの小山が残っていた。
……関わり合いになりたくない俺は、そっと事務所を後にした。
話が大きく動きそうですが、次回更新は9/24となります。
お楽しみに。
連休中に他の作品を1話投稿する予定です。
読んでいただけると幸いです。




