↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜のパッチ生活 ―管理者権限で平和を守ります(※ただし自分の)  作者: 真坂野琉実


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/53

025:社畜、先を越される

世界が改変できたら普通はどうします?

チートで無双? ハーレム生活? 大金無双!

ここにいるのはデイリーのタスクを片付ける社畜

今日もまた佐藤匠海による、自身の心の絶対的平穏を勝ち取るための戦いが始まる


積み上げられた報告書にざっと目を通す。

……今日のタスクはいつもより少な目と言える。

上司が気を使ったか、相変わらず工数無視で誰かにヤバいやつを振ったかだな。

横井はタスク終わったと言ってたから、犠牲者は高橋か。

そう思って振り向くと高橋が死んだ目をしてキーボードを叩いているのが見えた。

……やっぱりか。まぁ後で手伝ってやるから頑張れ。

俺は自分のタスクに集中することにした。

◇

「山南:やぁ。そちらはどうかな?」

どうかなじゃないんだよ。まだ今日のタスクが完了していないんだから邪魔するな。

「山南:つれないなぁ。そういえばデイリータスクも忘れないでね。」

デイリータスク?あぁ管理者アプリかよ。

あれは暇な時にやるもんだ。今は忙しいからな。

「山南:そう言わずに見てみるといいことあるかもしれないよ。じゃあ、僕は帰るから。」

あ、逃げやがった。調子の良い奴め。

管理者アプリのデイリータスクだと?一応見てやるか……。

俺は管理者アプリを開いた。

【デイリー】他者に集中力上昇のパッチ当て/報酬:10EXP

【通常】コンビニの看板に対するカラスの当たり判定修正/報酬:10EXP

【継続】増えすぎた鳩を雀に変える/報酬:5EXP

鳩は当分いいだろ。やりすぎたら生態系がおかしなことになる。

そのうち増えすぎた雀を鳩に変えるとか出そうだし。

どうせやるならデイリーだよな。ちょうどいい実験台もいることだし。

俺は高橋を横目で見たが、高橋は気付きもしない。

……ありゃ重症だ。いつもならこういう視線に敏感なはずだしな。

「高橋、そろそろ飯にしないか?大変そうだから俺が買ってくるぞ。」

俺が声をかけると高橋はゾンビのように顔を上げた。

「いいんすか。ちょっと俺今日は終電ヤバそうなんで、いつものサンドイッチで。」

「そういう時はちょっと気分を変えて違うもの食べるといいぞ。」

「あ、そうっすかね?じゃあ佐藤さんチョイスでお願いするっす。」

「はいよ。」

俺は事務所を出るとコンビニに向かった。

◇

コンビニの前にカラスがいるのに気づいたが無視した。

タスクがあったのは分かっているが面倒だし。

そもそもここでそれをやったせいで、デイリーやった瞬間に高橋に歌われたら俺は間違いなく会社辞めるね。

早くレベルアップまでの残り経験値を実装しろと言いたい。

……そこにパッチ当てられるものならどんな工数でも作るんだが。

そんなことを考えつつ、高橋の分と俺の夕飯を買った。

俺はいつも通りのおむすび、高橋にはカルビ弁当である。この間肉肉うるさかったからな。

後はエナドリ。これがあれば多少集中力が上がっても怪しまれないだろう。

◇

「佐藤さん、あざっす。おごりっすか?」

俺がコンビニ弁当を渡すと高橋は嬉しそうに受け取った。

「……おごりでいいぞ。今日は俺とかのシワ寄せで大変そうだからな。」

「ホントっすよ。横井のヤツは帰ってこないし。」

「あいつ直帰したぞ。タスク終わったとか言ってたし。」

「え?マジっすか。あいつズルいな〜。」と文句を言いながら、高橋はカルビ弁当のフタを開けた。

「いただきます! 肉美味そう!」

「あ、そうだ。エナドリ、なんか新しいの出てたから買ってきたぞ。」

「あざっす。」

高橋が夢中になって弁当を食べてるのを見て、席に戻った。

管理者アプリで高橋を選択する。

Object.Human.Takahashi_tomohiro

集中力だから……Concentrationか……25/100

だいぶ低いな。書き換えしてやろう。

command画面から高橋のConcentrationを100まで上げるように指示する。

【デイリー達成:10EXP獲得!】

「佐藤さん、なんかこのエナドリ違いますね。頭がスッとするっす。さすが新商品。」

「そうか、そりゃよかった。」

……スッとしたのは俺がステータスをいじったからだ。おかしなことになったら再度調整しよう……。

そんな心配をよそに弁当をたいらげ、エナドリを飲み干した高橋が、一度伸びをしたかと思うと勢いよく椅子に座り直した。

さっきまでのゾンビはどこへやら、猛烈な勢いでキーボードを叩き始めた。

よく分からないが、何か白いオーラみたいなの出てないか?高橋。

……やりすぎたかもしれん。

まぁいい。しばらくそっとしとこう。

俺は自分のディスプレイに向き直り、おむすびを食べながらタスクを片付けていく。

時折後ろから「ここがおかしい。」だの「こいつかー!」などと独り言が聞こえてきたが、聞こえなかったことにする。

◇

3時間程して自分のタスクが半分になった頃、急に猛烈なタイピング音が途絶え、同時にガタンという何かが倒れた音がした。

ギョっとして振り返る。……もしや力尽きた?

そこには両手を挙げて立ち上がった高橋がいた。

「終わったーーっ!佐藤さん! 終わったっすよ!」

「お、おぅ……。」

「俺お先に失礼するっす! カルビ弁当とエナドリ、ごちそうさまでした!」

「……え? あ、おう……お疲れ……」

「お疲れっしたー!」

高橋は颯爽と事務所を出ていった。

◇

急に静かになった事務所で俺は静かに天を仰いだ。

……集中力アップ、俺も使おうかな……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。