011:社畜、鏡を磨く
世界が改変できたら普通はどうします?
チートで無双? ハーレム生活? 大金無双!
ここにいるのは初めて世界の改変に挑む社畜
今日もまた佐藤匠海による、自身の心の絶対的平穏を勝ち取るための戦いが始まる
現実は理解した。
ふざけたステータスもまぁ受け入れよう。
「だから真面目に見ないほうがいいって言ったろ?」
画面の向こう側でニヤニヤしている顔が見えるようだ。
「右上にコードを打ち込む画面になるボタンがあるぞ。」
右上を見ると露骨にCommandと書かれたボタンがある。
分かりやすくて結構なことだ。
UIの使いやすさだけは評価できるな。これができないやつが最近多くて…。
俺はコマンドボタンを押した。ほどなく入力待ちのカーソルが表示されたウィンドウが現れる。
「そこにコードを入力する。コマンドは日本語でも何でもいい。ただ、ピンポイントに確実に作用させたいならキミの得意なコードを入れるべきだと思うよ。」
ふむふむ。なるほどね。
コードは色々試さないと分からないから、とりあえずトイレの鏡の曇りでも取ってみるか。古すぎてもうきれいにならないんだよな。ここの鏡。
きれいになるだけだから誰も気づかんだろう。
オブジェクトを選んで……コード画面開いて…コマンド入力…曇り取り。
「コマンド入れたら右下の実行ボタンを押してくれ。」
なるほど。実行ボタン……いけっ。
……一応水を流してから外に出た。
その流れで洗面台の鏡を見ると、確かに曇りは取れていた。古くて周りが変色してるのは変わらないのか……。
「曇りしか取ってないからね。どうせなら新品に変えなよ。」
それは他のやつが気づくじゃないか。
このビルの七不思議増やしてどうする……。
とりあえずは管理者アプリがどういうものかは分かった。
あとは色々試してみないと分からないな。
「まぁ試してみてよ。不具合とかの報告は聞くからさ。」
お前本当にシステム屋なんだな……。
「おっと、一つ言い忘れてた。佐藤匠海の管理者レベルはとりあえず1だからね。世界規模の改変とかは無理だから。」
この世の全てが変えられるんじゃないのかよ……。
まぁいい。仕事に戻らないと今日も終電逃してしまう。
◇
席に戻った後は特に問題なく業務が進んでいった。
……18時までは。
すべては、上司の席で鳴り響いた一本の電話から始まった。
改変するのがまずは鏡の曇り取りという慎重さが佐藤匠海の真骨頂です。
例によって土日の更新はお休みです。
月曜日をお楽しみに。




