第二十九章
本日は石壁の引き上げで、本来なら遅い昼食になる予定であったが、俺の単独引き上げで大幅に繰り上げられた。
俺はマインとダンと三人で梨花亭に入る。すると、
「随分と早いお帰りだな。ひゅうご。もう終わったのか?」
「いや、今後片付けをしてる。ハーデンはそれに掛かってる。」
「そうなんだね。それで、早めの昼食にするか?」
「いや、昼食はハーデンが戻ってからにする。それまで飲み物だけ貰えないか。」
「あぁ。すぐ用意するよ。」
ハーデンは先程の石壁引き上げクエストの完了まで手伝いをして、ギルド指定依頼を終わらせることになってる。
終わるまではまだ時間が掛かる。
マインは昨日の討伐戦に主要メンバーとして参加した事で既に条件を満たしていた。
これで二人共Eランクに上がることが確定した。
この後はガイスに都合を確認する為に武具店に向かいたいと思っている。その為にダンにも来てもらった。
「ダン。食後にはガイスの所に行こうと思ってる。お前にも来てもらえるか?」
「あぁ、そうだったな。男爵の願いでお前の都合も付けて欲しいってやつだろ?」
「あぁ、早い方が良いと思ってな。それに、今回の騒動の黒幕に近付けるかもと思っての事なんだ。」
「あぁそういう話だったな。でも本当にガイスを通してその黒幕に近付けるのか?」
「あぁ、まだ確証は無いにせよ、そこに黒幕への糸筋が有るのは確かなんだ。その為に、俺がガイスの弟子を装って、領都に出向きたいんだ。」
「あぁっ?何だって?ガイスの弟子に?どうしてそうなる?」
「まあ、俺が本気で鍛冶を覚えたいというのがあるのは置いておいて、セイラと話してて黒幕は領都に近しいと。それとあの手榴弾のような魔道具を作った者を探すんだ。片っ端から魔道具師を当たる他無いだろ?」
「鍛冶を本気で、というのは置いておいて、まぁ、あの手榴弾を作れる程の魔導具師を探るのであればそうなるか。」
「そうだ。」
そこに石壁引き上げの残務を終えたハーデンが戻って来た。
「ひゃー疲れたぜぇ、この年で大人の力量を求められたからなぁ。」
「悪い、ハーデン。これをこなせばランクアップになるって言われてな。」
「解ってるって、師匠。ただ本当に疲れたって言いたかっただけだよぉ。」
「そうか。それなら良いが。」
「しかし凄かったなぁ。南門ではあんなに苦労して何人もの人数で引き上げたのに、西門では俺達が手伝ったとはいえ、師匠一人で上げ切っちまったんだからよぉ。」
「今後の為には良く無かったかも知れないが、どうしてもあのダルク信者に一泡吹かせたかったのが出てしまった。」
「確かにあんな言い方されればな、そうなるのが自然だと思うぞ。」
「まあ、大人げなかったかもな。」
「あぁ、まあ、俺の中でも、魔術を極めればここまで出来るってのを見せ付けて、更なる向上心を植えたと思って、全体として良かったと思ってるよ。」
「あれで向上心が湧く奴がいるならな。」
「・・・」
俺は敢えて何も言わない。
アギレンに昼食を用意して貰い、テーブルに食事が運ばれる。そこで食前の祈りを始める。
ダンは一瞬戸惑うが、俺達の祈りの言葉を聞きながら目を閉じ、祈りに合わせてくれる。
そして祈りの最後の言葉が発せられる。
「頂きます。」
その言葉に続けてダンも「頂きます」を発し、それぞれ食事を進める
食事を摂りながら4人で食後の予定を話していく。
「俺とダンでガイスの所に行ってくるが、ハーデンは修行だろ?」
「あぁ師匠、早くあの剣を振りたいからな。あと、そろそろ稼がないといけないし。」
「あぁ、悪かったな。本来なら既に・・・」
「まぁだ気にしてるのか、師匠。そこはもう理解してるよ。それにこれで良かったとも思ってるよ。」
「そ、そうなのか。」
「まぁな。少し焦り過ぎてた分はあるし、ヴィルテス様の腕も見れたしな。」
「あぁ、そんなこともあったか。」
「そうだろ、流石に年下にあそこまでの差を見せつけられればねぇ。」
「お前もそんな風に思うのか?」
「思う所はあるぞ。お貴族様にとっては若い内から稽古をさせて貰ってて良いなぁって。」
「そう言えるな。」
「うん。俺はこの年で生活することしか考えられなかったからな。」
「そうか。」
「あ、でも、師匠には感謝してるんだぜ。」
「そうなのか。」
「あぁ、勿論だぜ。人間、ちゃんと努力すれば、凄い事が出来る様になれるって、それを見せてくれてるからな。」
「そ、そんな風に見てるのか。」
「だって、そうだろ。師匠は俺や大人や、もっと凄い人から見ても凄い事をやってのけるだろ? それって、俺達には可能性が有るって。そういうことだろ?」
「ふっ。確かにそうだな。お前は本当に凄いな。その年で。」
俺は、ハーデンがその年で羨望感を持ててることに感心した。
その後結局、予定通り?予想通り?に俺とダンとでガイスの所に、マインとハーデンは残って訓練することになった。
俺とダンとでガイスの武具屋に着いた。
「ダンに旦那ぁ、昨日はお手柄だったなぁ。おかげで昨晩は久々に楽しい酒が呑めたぜ。」
「それは良かった。そこで今日はおやじに頼みがあってきたんだ。」
「あぁん?なんだ、急に改まって?」
「あぁ、ガイス、俺からの願いなんだ。」
「旦那のか?それで?」
「詳細は言えないんだが、今回の事件の真相を探る為、俺をか、仮にでもガイスの弟子にってことにして貰いたいんだ。」
「仮の弟子だぁ?俺に政に手ぇ出せぇとぉ?」
「いや、政に手、とまでは言って無い。ただ、弟子という立場で領都に同行させて欲しいんだ。」
「それを政に手を貸せっていうことだろうが!?」
「おやじっ! 言葉と態度に気をつけろ! ひゅうごは中、上級貴族扱いと決まったんだ。無礼に当たるぞ。」
「もしそんなこと言ってきたら、どの面下げて人にモノ頼もうってなもんだ!」
「確かにそうだな。仮りのでは無く本気で弟子になりたいと言ったら?」
「なんだと? 旦那ぁ、あんた、そんなでまかせを言う奴だっていうのか?」
「勿論でまかせでは無い。本気で鍛治師になりたいと思っている。」
「あぁん? 旦那、冒険者を辞めて鍛治師になりたかったのか?」
「いや、冒険者を辞めたいとは思っていない。ついでに言うなら魔道具師にもなりたいとも思っている。」
「なんだぁ、そりゃあ、出来る訳無いだろ。」
「俺はそうは思わない。なあ、ガイス。試しに俺に槌を振るわせてくれないか?」
「だ、旦那は何処かで槌振ってたのか?」
「いや、全くの素人だ。しかし前居た世界で多少の知識がある。その素人がその知識だけで槌を振るう所を見た上で判断して貰うってのはどうだ?」
「おやじ。それだったらおやじにデメリットは無いんだし、いいだろ?お互いひゅうごには世話になった身だし、その位はいいだろ?」
「確かにな。ひゅうごには借りがある。しかし冒険者を辞めず、更に魔道具師にもだと、それが気に食わん。」
「ガイスよ。それも槌を振るった上で判断して貰えないだろうか?俺が通いで弟子になれるような器があるのかを。」
「よーしっ、そこまで言うからには見るには見てやるっ! こっちだ!」
そう言って俺達は奥の鍛冶場に案内された。
中に入るとそこは想像通り、いやそれ以上に暑い空間であった。
入ってまだ1分も経たないだろうが汗が出てくる。
そこでふとガイスが1本の槌を俺に渡してくる。
「これを振るってみろ。材料はこれだ。この鉄板1枚で丁度長めのナイフが作れる。作ってみろ。」
そう言って今度は鉄の板を俺に渡した。
「こ、これは炭素鋼か、玉鋼だな。」
「な、なんとそれが分かるのか!?」
「あ、あぁ、なんとなくだがな。」
「お、おぉ、そうなのか。」
良かった。炭素の言葉はここでは無さそうだが、玉鋼は一緒だったようだ。
俺はその玉鋼をじっくり眺めた後、炉を見る。
「この炉を自由に使って良いのか?」
「あぁ、勿論だ。でなければ振るえないだろ?」
「あぁ、そうだが。」
「ほら、早くやってみろ。」
俺はこの日の為に、みつかいさんに散々鍛造方法を聞いてあった。
それは果てしない位時間を掛けて、だ。
当然触り程度しかない知識から、質問してYes、Noだけで一連の作業を見付ける。
しかも初歩的、基本的なナイフ創りをメインとしていきながらも、それらの工程が最終目標である日本刀型の魔剣の作成を視野に入れ、それとの違いを聞いていった。
それは、今回のナイフ作成をより確実に、より高度にしながら、いずれ創りたいもののヒントを得ていたのだ。
俺は炉の近くにある木炭をいくつか持ち上げ、炉に放り込み、鞴で炉の中に風を送る。
暫く風を送り続け木炭が充分に加熱したのを確かめ、もう一度新しい木炭を手に取り、それらを綺麗に並べた。
それは今から板金を入れる部分が最高温度になるようにだ。
今入れた木炭に十分火が入るよう、鞴で風を送る。
ある程度炉の温度が上がった所で、板金を奴床で炉の中心に入れる。
そのまま炉の温度が俺の望む温度、色になるまで風を送り続ける。
炉の温度、火の色が最高に達したのを確認し、今度は板金の状態に集中する。
みるみるうちに板金は赤くなる。そして黄色に近くなる。
そこで、ここだっと、(全てはみつかいさんに確認だが)なった所で加熱された板金を奴床で取り出し、金床に載せ、奴床を槌に持ち替える。
俺は取り出した加熱された板金をじっくりと見る。
ここからが本番だ。
今までのは事前にみつかいさんに確認した工程と、その場で温度を同じくみつかいさんに確認して出来た。
ここからはこの熱せられた板金のどこを叩くのかと、どの位の力で叩くのかを、瞬時にyes,noで確認しながらの作業だ。
俺はこの素人が一番の難所をクリアするのに、ある方法で経験を積ませる。という方法を考えた。
要は、一番単純なナイフの鍛造に加え、折角の玉鋼だから、日本刀の作成技術を少しだけ加えるというものだ。
本来は玉鋼自体をハンマーで割って、高炭素鋼、中炭素鋼、低炭素鋼と見分けるといものらしいが、俺にはそんな見分けは出来なさそうで、熱した玉鋼を兎に角なるべく薄く広げ、そこをみつかいさんに炭素多めか、少なめかだけを確認し、切り鏨で切り分けていく。
二つの塊にして並べた鉄板を、それぞれ取り出しては重なるように叩いて折り重ね鍛造を行っていく。
どちらも行い過ぎて柔らかくなりすぎない様に調整して。
ここまでの作業で、ある程度大雑把に叩いても問題ない所から感覚を掴めていき、二つの大きく硬さに違いがある塊を作り、それを「甲伏せ」という硬い鋼が柔らかい鋼を包み込むようにし、更にそれを叩いて成型。
長めのナイフ、というより短い脇差に近く成型されていく。
と、ここまでで、すっかり陽が落ちてたようだ。
少し高い所にある窓から見える空が、鍛冶炉の火と同じくらい赤く染まっていた。
「今日はここまででいいか? 整形まではと思っていたらこんな時間になってしまった。」
「あぁ、勿論だ。」
「それで、後日完成させて、それを見て弟子にして良いか判断って事でいいか?」
「その必要はない。充分だ。」
「そ、それは、俺を弟子にと?」
「あぁ。」
「通いでも?」
「あぁ。」
「不定日でも?」
「あぁ。」
それは、何と言って良いか。
自分で提案しておいて何だが、余りにも勝手すぎる扱いだ。
「自分から提案しておいて何だが、理由を聞いても?」
「あぁ。先ずはお前さんが作ろうとしてるのは”刀”で間違いないだろ?」
「あぁ。そうだ。」
俺は最初普通の両刃のナイフを創ろうと思って槌を振るった。
だが最初の段階で渡された板金が、硬い部分と柔らかい部分との差が大きい事に気付いた。
そして、その差を埋めるべく折り返し鍛造を、かなりの数を行わないといけないと感じたと同時に、その差を利用して、日本刀の作成の様に、柔らかい部分を芯に、硬い部分を外側にと考えたのだ。
そうして制作の初期段階で両刃ナイフから、短めの脇差を目指したのだ。
「その”刀”が何だって言うんだ?」
「その”刀”ってのは、遥か最西端にある小島の国で、昔から伝わる伝統的な手法で創られると聞いた事がある。」
「何と。」
「その”刀”ってのは、何でも、素材の段階で硬くなる鉄とや笑くなる鉄とを別け、柔らかい鉄を芯に、硬い鉄をその周りに纏わせる様に創るんだそうだ。」
「そ、それで?」
「そしてその”刀”はある細工をして焼き入れを行うと、刃を腹に反り返るってんだ。」
「ほうほう。」
「更にだ。仕上げには刃に波の絵が浮かぶ。ってのが聞いた話だ。」
「波の絵。ねえ。」
「なっ?そうだろ?この後刃が反って波の絵が出てくるんだろ?」
「あ、あぁ、大きくは外れてないか、な。」
「そうだろっ?そうだろっ? 儂はな、落ち着いたらその西方に向かい、その”刀”の技術を覚える事を目標にしてたんだっ!それをお前さんは知っている。最高だっ!」
「そ、そうか。それなら俺としても良かった。だが、俺もただこの程度の知識しか持ち合わせてないぞ。」
「それは分かってる! お前さんの槌はためらいが多い。 儂ならこの半分以下の時間で成型させられる。 お前さんは何故か叩くのを躊躇し過ぎる所がある。」
それは当たり前だ。毎回叩く度に、みつかいさんに何処を叩くのか、どの位の力でか、を確認しているのだ。
時間が掛かって仕方がない。むしろその為に弟子入りしたいと言っているのだ。
「旦那は槌を振るうのにはためらいがあるが、何故か炉から鉄板を取り出すタイミングだけは正確だった・・・」
「ん?」
「なぁ、ダンよ。魔法を使えると、火の、いや、鉄の温度が見えるのか?」
「あ、な、なんだ? おやじ。 て、鉄の温度? そんなの見える訳無いだろ!?」
「そ、そうか。なら。」
ガイスが俺を真っ直ぐに向いて聞く。
「お前さん、何で鉄の声が聞こえるんだ?」
俺は思わず声が裏返った。
「て、鉄の声?」
「儂らは槌を振るうに最適な状態の鉄の見極めを行うのが、至上の命題なのだ。それは解るか?」
「い、いや、申し訳ない。そういった事は知らない。」
「そうなのか。お前さんはそれを知らないのにそれをやってのけた。と。」
「も、申し訳ない。俺にはそれが、皆目見当もつかないんだ。」
「そ、そうか。それならそれはいい、仕方がない。」
俺がチート、みつかいさんに聞きながら最適な温度を確認して行ってきたのが裏目に出たか。
「ならそこは、俺がお前さんから盗み取るしか無いってこった。」
「盗み取る?」
「そらぁ、お前さんはそれが出来るのに、どう出来るのかは知らねえってなこった。」
「あぁ。」
「じゃあ、俺はそれをお前さんから盗み取るしかないってなもんだ。」
「そうなのか。」
「あぁそうだ。お前さんは俺の弟子であって、俺の師匠ってなもんだ。」
「俺が師匠?」
「あぁ、そうなるな。お前さんの西方の鍛冶技術に鉄の声の聞き方。お前さんは自由に俺の鍛冶の技術を学びに来てくれれば、俺はお前さんからそれらを勝手に盗み取る。」
「そ、そんな自由でいいのか?」
「あぁそうだ。俺にとっては願っても無い技術を見られるんだ。好きにして貰って構わない。が、そう毎日だと普段の仕事がこなせない。」
「あ、あぁ。」
「そうだ。だからお前さんの好きな時に好きなようにしてくれて構わない。どうだ?」
「俺としては最高の条件だ。それでお願いする。ダンからは何かあるか?」
「いやぁ、びっくりして声も出なかったよ。素人が一発であんなに出来るんだからよ。」
「いや、そうでも無いが。」
「そんな訳ないだろぉ。一発目であそこまで作り上げるんだからよぉ。」
「ま、まだ、だいぶん途中だけどな。」
「そんなこと知ったこったない。あそこまで創れるんならおやじもそりゃあ認めざるを得ないってもんだ。」
「そ、そうか。」
「そりゃそうだろ。」
「そうなのか。」
「そうだろ。」
ダンにも聞けて納得できた。
これで第一段階はクリアだ。
ここからはヴィルテス様の大剣の注文受けから作成、領都への魔法付与への同行、そこで魔道具師の調査だ。
「そ、それで、レソルザット家への注文受けは明後日だったか?」
「そうだ。明後日の午後一番。三の鐘と半だ。」
「そ、その半ってのは何だ?俺は鐘と鐘の丁度真ん中って思ってたが、今朝1の半をゆっくりと言われたんだ。」
「旦那でもそうなのか?俺達にも良く解らんもんでな。」
あ、俺の呼び方が戻った。
何か客として、貴族に対して、と、弟子入りを求める者としてと、切り替えてたのか。
まぁ、そんな器用なことではなく自然にだろうが。
そんなことは気にしないで。
「そ、そうなのか。俺も真ん中よりは少し早めに着いたけど、随分ゆっくりとまで言われたんだ。」
「そうだろうよ。半っていう割りに殆どが3分の1位が半って思われてる。」
「そうなのかっ?」
「あぁ、だが、その3分の1より少しでも早いと更に文句を言われるんだ。早すぎるってな。」
なんと、半とは1時間位の事を指すのか。なら今朝の俺達は30分位遅刻してきた様に思われてたのか。
しかも1時間より早いと更に怒られるなんて、どの様に図るべきか。
「それは難しいな。どう対処すれば良いんだ?」
「そこが難しいんだ。結局は相手次第なんだ。早めが好きとか、ゆっくりでも構わないとか。」
「そ、そういうことか。で、男爵はどんななんだ?」
「いやぁ、それが良く分らん。そんなに親しくも無ければ何度も会った訳でもない。」
「じゃあ、どうするんだ?」
「無難な3と3分の1位に着くようにするだけだ。」
「そうか。それなら俺もそうするよ。」
「ダンは明後日は来れないんだったよな?」
「あぁ、明後日はお前達だけで行ってくれ。ひゅうごがいれば何も問題ないと思うぞ。」
「そうなのか?」
「そりゃそうだろ?大事な家族の命の恩人だからな。3の半が早いや遅いなんて事は一切出てこないと思うぞ。」
「そんなにか?」
「そんなに、じゃないだろ?ひゅうごがここに男爵を呼び付けても慌ててやって来るってレベルだ。」
「言い過ぎじゃないか?」
「忘れたのかよ。あの時の男爵の言葉。お前の奴隷になっても良いと思ってるよ。」
「あ、あぁ、そんなことも言ってたか。」
「あぁそうだ。それも本心でだ。」
「そうか。」
「そうだ。」




