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人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
転校生の快美

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80/99

#5



一本気で、常に全力投球。人を疑うことを知らない。

正義感が強いから誰かと衝突することもあるけど、その後のことはまるで考えてない。むしろ衝突したら次の日は戦友、みたいな考え方を秘めてる奴だ。熱血バカとしか言いようがない。

ポケットの中に手を入れ、瞬きを繰り返して彼を盗み見た。


地べたに頬をすりつけ、涙目で小銭を探している彼は本当に哀れだ。もはや不憫すぎて泣けてくる。間違いなく、馬鹿の部類なんだ。そんな彼が好きで好きでたまらない……自分はきっと、一番馬鹿。

あんな素直な奴がこの世にいていいんだろうか。


……だから怖い。いつか智紀が人の汚いところを知って、傷ついてしまうのが。自分なんかよりも断然、彼のことが心配だ。

守ってやりたいと思った。人付き合いは自信ないけど、悪事を暴くのは得意だ。だから互いに得意な方面で守り合おう。自分と彼は、表裏一体。


「智紀」


ゆっくり歩いて前へ屈む。すると彼は地べたに張り付いたまま、悲愴感漂う目で見上げてきた。


「夕夏……俺の百円が自販機の下に入っちゃったんだ。あれしか持ってないのに……」

「買ってやるから人に見られる前に早く起きろよ」


ポケットから財布を取り出し、小銭を数枚入れる。智紀は迷わずコーラを選び、涙目で礼を言ってきた。

「ありがとう、夕夏! この御恩は必ず、明日返す!」

「別にいいって。それよりお前、髪に埃ついてる」

おまけに顔の左半分も、ちょっと砂がついていた。軽く払ったけど汚いこと山の如しなので手洗い場に連れていく。

水でぬらしたハンカチで、彼の頬を拭いた。


「わっ! あはは、夕夏待って。冷たい……!」

「我慢しろ。そのままじゃ汚いだろ」


可笑しそうに笑ってる彼に呆れながら注意した。何とか見た目には分からないぐらい、埃や砂は落とせたと思う。

「ありがとう!」

智紀はにこにこしながらコーラを飲んでる。ガキみたい。本当に、高三とは思えなかった。……自分も含めて。

「そういえば、生徒会室行ってたんだよな。大丈夫だった?」

「あぁ……」

短く返事して、廊下の壁に寄り掛かる。本当は弥栄に無理やり送り出されたんだけど、恩着せがましく迎えに来てやったんだと伝えた。


「そうかぁ……ありがと! お前のおかげで無事にジュースも飲めたし、感謝してるよ!」




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