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人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
転校生の快美

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#4



生徒会室を出て、夕夏は橙色に染まった廊下を歩いた。やはり文化祭の準備で残ってる生徒が多く、廊下では何人もすれ違った。

自分の教室に着いたあと、何となく扉に隠れて中を覗く。すると智紀の姿が見えないことに気付いた。

どこへ行ったんだろう。不思議に思って後ろへ後ずさる。

その直後、肩を掴まれた。


「七瀬、何やってんのっ?」

「うわあぁっ!」


普通に声を掛けられただけなのに、ものすごい驚いてしまった。案の定、振り返った先に立っていたクラスメイト……弥栄は、困った顔で両手を上げている。

「ごめん、別に驚かすつもりはなかったんだけど」

「いやいや、ごめん。俺がオーバーだっただけ」

慌てて首を横に振り、作った声と顔で謝る。

弥栄はにこやかに頷いたけど、ちょっと含みのある笑顔で教室の中を覗いた。


「七瀬、須賀のこと捜してたんだろ?」

「ち、違うよ!」

「今ジュース買いに行ってる。一階の自販機だよ!」

「違うってば……!」


全力でかぶりを振ったのに、何故か背中を押されて教室から遠のいてしまった。振り返ると、弥栄は中に入ってクラスメイトと会話を始めた。これだと、何だか余計に入りづらい。


「……っ」


諦めて階段を降りた。そういえば、最近やたらとクラスメイトに話し掛けられる。もちろん文化祭のことがメインで、必要最低限の会話がほとんどだけど。

智紀を呼ぶときは必ず、俺のことも呼ぶ。そして俺を呼ぶときは必ず、智紀のことを呼ぶ。これじゃあ二人でワンセットみたいじゃんか。


腕を組んで、ひとりブツブツ文句を唱えていた。すれ違う生徒から不審な目で見られていたものの、それに気付く余裕はなかった。

やがて一階の踊り場に出ると、「あぁっ」という声が聞こえた。かなり聞き覚えのある声だ。


思わず壁に張り付き、覗くように顔を出す。角の先では、智紀が地べたに張り付いていた。


何してんだ……。


恋人の奇怪な姿にドン引きせざるを得ない。けど、転んだ感じでもない。彼は自販機の下に片腕を入れ、うーうー唸っている。

小銭を落としたんだと瞬時に悟った。


そそっかしい奴だ。呆れてため息しか出ない。何でこんなアホを好きになったんだろう。我ながら本当に不思議だった。


見てて飽きないけどさ……。


夕夏はその場に佇んだまま、左胸に手を添えた。




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