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人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
生徒会長の告白(素顔)

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#15



智紀の心配そうな声が、静かな車内に通る。絶対周りに聞こえただろう。実際心配してくれてるのだろうが、こんな場所でデリカシーのない発言をする恋人を夕夏は睨んだ。


急行の為、次の駅に到着するまで時間がかかる。狭苦しい環境だと、それがまた倍の長さに感じた。

少し揺れただけで肩がぶつかる。たまに人の鞄が当たったり、雨の日は人が持ってる傘でぬれることもある。

満員電車は本当にうんざりだ。夕夏は瞼を伏せ、ため息を飲み込んだ。


手摺や吊り革にも掴まれないから、無駄にエネルギーを使う。

早く着いてくれ。

ため息が出そうになるのを堪えて、また瞼を開ける。するとさっきよりも近くに智紀が来ていた。そして周りから見えないよう、低い位置で手を差し伸べている。

「…………」

多分、揺れた時に危ないから握ってろって意味だろう。体重の軽い女性じゃないんだから余計な気遣いだと思った。


……すっかり俺が女役か。


とはいえ今さら不満を言う気はない。彼には散々弱音を吐いてきたし、ここで文句を言っても「また照れてる」と思われるだけだ。そんなムカつくことはない。


智紀はわずかに微笑んでる。本当によく分かんない奴だ。

でも、それも今さらだ。初めて会った時からずっと彼の考えてることは分からない。だから強がる必要もない。


視線は天井を向いたまま、彼と手を繋ぐ。それが離れたのは、次の駅に到着したときだった。


「あ~。やっ……と空いたな」


主要駅を過ぎてから車内は一変、がらがらになった。智紀と夕夏は適当に、近くの空いてるシートに腰掛ける。智紀は軽く咳払いして足を伸ばした。

「いやはや……女の人のきつい香水と、おじさんのきつい過激臭がタッグを組んで俺を襲ってきたよ」

「へぇ。俺はあまり感じなかった」

「マジで? 鼻詰まってんじゃないの?」

「そういうことにしとけ。つうかお前、さっきはよくも大声で俺の身長を貶しやがったな」

「別に貶してねえよ! 事実じゃん」

智紀は驚き、真面目な顔で抗議する。確かに正論の為、返す言葉もない。夕夏は歯軋りしてそっぽを向いた。


「あぁ、わかった。背が低いの気にしてたんだな? 良いじゃんか。俺は支えやすいし、頭撫でやすいし、一石二鳥だよ」

「お前だけな!! 俺は何も得してない!」

「まぁまぁ。怒ると背縮むぞ?」


加えて適当な智紀の返事に、夕夏は到着駅までため息が止まらなかった。




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