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人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
生徒会長の告白(素顔)

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67/99

#7



一歩足を踏み出すたびに、ガラスが割れる音がする。多分、気持ち的には粉々に割れていた。

「……夕夏」

俺はガラスのハートではないんだけど。殴られ続けたらどんなに強い奴でもダメージが蓄積する。嬉しいことも悲しいことも、夕夏が関わるだけでその威力は何倍にも膨れ上がるから。


「……智紀?」


こっちに気付いて振り返った彼は、驚いている。けど驚きたいのはこっちだった。

彼の髪や襟元は乱れ、頬には一筋の血が流れている。

「おい……大丈夫か!?」

考えるよりも先に駆け出して、ポケットからハンカチを取り出す。引っかき傷だろうけど、止血の為に彼の頬にハンカチを当てた。夕夏はうんともすんとも言わず、大人しくしている。

部屋の中には争った跡。彼の引っ張られたようなネクタイを結び直し、その手を離した。

「何してたんだ」

「……何もしてない」

「バレる嘘はやめろよ。さっき部屋から出てきた奴とすれ違った。あいつと揉めてたんだろ」

今思うと、彼もかなり服装が乱れていた。夕夏と衝突していたことは容易に想像できる。問題はその原因。

これも、絶対違っててほしいと願いながら……頭には、ひとつ思い当たることがあった。

むしろ、そのひとつしか思いつかない。


「まさかまた、人の恋愛を邪魔しようとしてたのか」


そんな訳ない。そう思ったからこそ口に出した。夕夏を信じてるから、「違う」と言ってほしくて。

なのに、彼は何も答えない。困ったように俺を見上げるだけだった。

「……っ」

怒りとか悲しみとか、混乱とか戸惑いとか、たくさんの感情が一緒くたに頭の中を蹂躙する。

勝手に安心していた。自分と付き合えば、夕夏はもうカップルを引き離すことはやめるんじゃないか、と。

もう大丈夫だって自己完結していたけど、そういえば何にも解決してなかった。今さらそれに気付いて、自分の能天気が許せなくなる。でも何で。


「……何でまだ、他の奴らを苦しめようとすんだよ! もういいだろ、他人のことは!」


自分達だって今は恋人同士なのに、どうして他の同性愛者を潰そうとするのか。素直に疑問だった。怒りの感情が回って彼を後ろのソファに押し倒す。ハンカチが足元に落ちたけど、どうでもよかった。

もう彼しか見えない。


「頼むから……人の恋愛は邪魔しないって約束してくれ」




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