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人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
生徒会長の告白(素顔)

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#6



午後の授業を終え、帰り支度を始める。

智紀はクラスメイトを見送りながら、後ろの席に座る夕夏の元へ駆け寄った。

「夕夏、腹減らね? わかめ……じゃなくて、回る寿司食いに行こう!」

「あぁ……悪い、今日はちょっと用事があるんだ」

「あ、そっか。じゃあしょうがないな。また今度な」

夕夏がそう言うから、残念だけど教室で別れた。

変な夢を見たせいで、今日は一日中落ち着かなかったな……。

できる限り彼と一緒にいたい、という願望が虚しく揺らめいている。でも仕方ないからひとりで昇降口へ向かうと、またしても昨日の一年生が現れた。


「どうも、須賀先輩。昨日ぶりです!」

「わっ。綿貫君……」


下駄箱から靴を取り出そうとしたタイミングで、彼は声を掛けてきた。今度は一体何の用事かと身構える。

「お帰りになるみたいですけど、七瀬先輩は? 良いんですか、放っといて」

「あぁ、夕夏は用事があるって言うから」

綿貫君の台詞に引っ掛かるものを感じる。でもあえて触れず、正直に答えた。

彼はそれを予期していたかのように頷いて、にこっと笑った。


「そうですか。じゃあ七瀬先輩にとってゲイのカップルを引き裂くことは、恋人よりも優先順位の高い大事な用事なんでしょうね」

「……え?」

胸が痛んだ。芝居がかった台詞とはいえ、今回はいつもと違う。鋭い刃がかなり奥まで突き刺さった。そこから真っ赤な液体が溢れて、冷静な思考を溺れさせる。


「七瀬先輩は生徒会室にいますよ」


嫌な予感。綿貫の言葉を聞いてすぐ、智紀は来た道を戻った。階段を駆け上がり、普段は行くことのない生徒会室へ向かう。

本当の彼を見たあの日から、一度も行ってない場所。


夕夏……っ。


信じてるのに、どうしてこんなに痛いんだろう。息が苦しいのは全力疾走したからじゃなく、強い力で首を絞められてるからだ。

綿貫くんの言葉と、自分が抱く疑念がロープになって絡まっている。


「ほんと何なんだよ、お前! いい加減にしろ!」


生徒会室に辿り着いてドアを開けようとした瞬間、中からひとりの生徒が飛び出してきた。

「ち、ちょっと……!」

何があったのか訊こうとしたが、間に合わない。彼は怒り心頭で階段を駆け下りていった。

視線は再び、開かれたドアの先へ移る。何の変哲もない部屋。ただテーブルの上が荒れて、床に何かの紙が散乱してることが気になった。




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