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人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
生徒会長の告白(素顔)

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65/99

#5



その日の夜、夢を見た。


『智紀。別れよう』


そう言って自分の隣を通り過ぎる恋人。何の前触れもなく告げられたその言葉は、理解するのに時間がかかった。

もちろん理解ができても納得はできない。一体どういう事か問い詰めようとしたけど、彼の悲しそうな横顔が目に映り、何も言えずに立ち竦んでしまう。

そんな夢を見た。


「夢で良かった……」


朝、容赦なく鳴り響くアラームで目を覚ます。いつもは大嫌いなアラームの音楽も、今日だけは感謝した。智紀は汗でぬれた額を拭う。

嫌な夢だった。……いや、夢と割りきるには夕夏の表情がリアル過ぎた。まだ心臓がバクバクいってる気がする。勢いよく飛び起きたからだけじゃない。


「別れよう」か。付き合ってまだ二週間なのに……。

いや、あくまで夢だ。昨日綿貫君に言われたことで不安になってるだけだろ!

気持ちを切り替えて学校へ向かう。校門をくぐると、夢の中に現れた恋人の姿が目の前にあった。


「夕夏、おはよー!」

「おう」


いつも通り落ち着いた様子の彼、夕夏。

俺もだいぶ調教されたな。今はこの真顔が一番安心する。

「そういえば今日、お前が夢に出てきたよ!」

できる限りのスマイルで話すと、夕夏は興味深そうに視線を向けた。


「へぇ。夢の俺は何してたんだ?」

「えっと、夢見たのは少しなんだけど、俺にわか……」

そこまで言いかけて口を噤む。

「別れよう」って言われたんだ。これは隠しといた方がいい……。

「わか……何?」

夕夏は意味が分からず顔を顰めた。


「わか……め。わかめをくれたんだ。だから、放課後わかめを食べに行こう」

何とかなった。俺って意外と機転がきくなぁ。

「わかめ? お前って夢でもバカだな」

「何だと! わかめを馬鹿にすんな!」

「わかめは馬鹿にしてねーよ」

夕夏はため息をついて顔を上げるとデコピンしてきた。普通に痛くて文句を言う。でもそれすら、彼は楽しそうに笑っていた。

距離も縮まって、どんどん普通の高校生っぽくなってる。……夕夏から目が離せない。


まだ他の生徒にはそこまで笑顔を見せないけど、自分に対してはかなり表情豊かになったと思う。弥栄も最近は特に驚いてたっけ。

堂々と、ってわけにはいかないけど、このまま二人で楽しく過ごしたい。それにはやっぱり、人に迷惑をかけないことが一番だと思った。




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