表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/39

28 loser

 「………なんだ?バクか??」

いくら待ってもミニゲームが終わらないことに、俺は首を傾げる。人狼陣営と狐陣営を全滅させたから、市民陣営の勝利で幕を閉じる筈。

しかし何も起きることなく試合は続いている。バグかラグか、或いは───


『違和感を見つけたら、納得するまで疑いなさい。それが騙されないコツよ』


ミナのセリフが、ふと脳内によぎる。

違和感。

まさに今、違和感に直面する。

ゲームが終わらない原因が、もしバグやラグによるものではないとすれば??

人狼がまだ残っているということになる。

果たして、それはあり得るのか?

まず俺が人狼だと思っているのは、又三郎とイノセント。

又三郎は諸々の状況から、99.9%人狼だ。ではイノセントは?

イノセントを人狼だと思っている根拠。それは、1日目の夜にイノセントに襲われたという、ミナの証言だ。そのことを思い出し、俺ははっと息を呑む。

もしミナの証言が、嘘偽りのものなら?イノセントを人狼に仕立て上げ、自分が市民であることの信憑性を上げる虚言だとすれば?

色々と謎もあるが、一応話は通じる。ミナならやりかねない。

逆に、それしか考えられないくらいだ。なぜなら、今のフィールドで生き残っているのはミナだけだから。

しかし、もし本当にミナが人狼なら、まずい。非常にまずい。

俺は又三郎と戦った際、ミナに加勢に来てもらうよう、閃光弾を上空に放り投げて位置を知らせた。だがミナが人狼であるならば、羊が「餌はここにいるよ!」と自ら叫んで狼に伝えるようなものだ。

すぐに逃げ───


いつの間にか忍び寄っていたミナが、斧を満身の力を込めて振るう。咄嗟にナイフで防御しようとするが、武器の重さが違いすぎる。ナイフは粉々に砕かれ、斧が俺の体を叩き切る。

HPがゴソッと減るも、叩き切られた衝撃を利用して、後ろへ逃げる。


「ミナ!!やってくれたな!!!」

俺が叫ぶと、ミナは少し驚いた顔を見せる。

「あれ?もしかして、私が人狼だって気付いた?」

「ついさっきその可能性に気づいたところだ。てか、マジで人狼なのか!?昨日の夜とか、なんで俺を見逃したんだよ」

「疑問は私が勝った後に教えてあげるわよ」

「勝てる前提かよ。ムカつくな」

「それはいいわね。苛立てば、プレイに悪影響が出るもの」

ミナはそう言いなから、靴の踵を3回タップする。するとミナの靴が、虹色に輝きだした。

「……ナニソノクソダサ靴」

「失礼な。最先端のファッションよ」

ミナは軽口を叩くが、ミナがその靴を履いている理由は明白。”影踏(かげふみ)”への対策だ。

”影踏”は影を踏んだ物を停止させるスキル。光る靴で自らの影を消せば、”影踏”を無力化できる。

どうやら影魔法は、徹底的に対策さ(メタら)れているらしい。

影魔法はハマれば強力だが、環境入り出来るほど強くはない。初見殺しに特化しているだけで、対策次第ではどうとでもなるピーキーな性能だ。

だから影魔法の最大の強みは、俺以外にカンストさせているプレイヤーが居ないから、その性能を誰も知らないこと。裏を返せば、対策されれば一気に弱体化する。

影魔法の強さや弱さを、ミナは俺以上によく理解している。それはつまり、影魔法についての誰より深い対策が取れるということ。

最悪の相手だ。俺からすれば、世界ランク1位の相手より、ミナの方が勝ち目がないと言っても過言ではない。


「ちなみにこの靴はオシャレなだけじゃなくて、ちゃんと実用性もあるの。この靴は七色の光を放つ間は、跳躍力が3倍になるの」

ミナはそう言い終わるや否や、地面を蹴り上げ前に跳び、一瞬で俺との距離を詰める。それと同時に、斧を高く掲げて、スキルを発動する。

「スキル発動”落白鯨”」

海底都市のクエストにより金太郎から与えられたアイテム。海魔法専用武器“モカ・ディックの斧“。その効果は、本来は長い詠唱とチャージを必要とする“落白鯨“を、1度だけ詠唱とチャージをスキップしての発動を可能とすること。

”落白鯨”は、ゲーム内に存在する1000を超えるスキルの中で、火力と攻撃範囲の両方が最も優秀なスキルだ。しかし高火力広範囲の代償として、発動までのタメが致命的に長い。タメが長すぎるせいで、攻撃範囲から余裕で逃げられてしまうため、MPを大量に消費するだけのクソスキルだと散々馬鹿にされている。逆に言えば、タメさえなければ環境破壊するほどのぶっ壊れスキルだ。

ミナの頭上に、海水で出来た巨大なシロナガスクジラが現れる。シロナガスクジラは大きく身をよじりながら、地面に落下する。

全長25m以上。世界最大の動物種。それを再現した巨体による体当たり。

逃げ場などない。

近くにあった木々も丸ごとへし折りながら、シロナガスクジラは俺を押しつぶた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ