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23 offenders

 夜のターンが始まり、マップ上にランダムリスポーンされる。周りに誰もいないことを確認して、俺はつい先ほど我が身に降りかかった不可解について、頭を巡らせる。

2日目の昼、俺は又三郎とアルジャーノンに襲われた。又三郎はほぼ確実に人狼なので、俺への攻撃に、至極当然の行動。未詳の中心は、アルジャーノンだ。

エルマさんの占いでは、アルジャーノンは市民(シロ)。だと言うのに、アルジャーノンは人狼である又三郎と協力して、俺を殺そうとした。これを説明する理屈が、俺には逆立ちしても分からない。

手っ取り早い結論として、エルマさんが占い師を騙る人狼、または狐であるということが挙げられる。しかし、それは違うだろう。

エルマさんは1日目の夜、又三郎(人狼)に襲われて瀕死だった。故に、エルマさんが人狼はあり得ない。

では狐かというと、生存が勝利条件である狐が、人狼から狙われやすい占い師を名乗ると言うのは、セオリーから外れている。それに直感だが、エルマさんは真の占い師のように思える。

もう1つの仮説に、アルジャーノンが又三郎に騙されて、俺を人狼だと勘違いしているというのがある。ただ、この説もしっくりこない。どうしてアルジャーノンがそこまで又三郎が信用しているかが、分からないからだ。

人狼デッドウォー(このミニゲーム)は騙し合いのゲーム。2日目の昼時点で、他プレイヤーをそこまで信頼することがあるだろうか?


複雑に絡まった矛盾に、頭を抱えていると、考えることに夢中で背後から近づくプレイヤーに、全く気付かなかった。

「あっ、リクじゃん。どった?悩んでるみたいだけど」

いきなり声を掛けられ、慌ててナイフを抜き取り、振り返る。そこには、ミナが立っていた。

「なんだ。ミナか」

見知った顔に、ついつい肩の力が抜ける。

「なんだってなによ!あんた役職は?私は市民」

「俺は狩人だ」

「そうなの!運いいわね。で、何を悩んでたの?」

俺は事のあらましを伝えた。ミナはメトロノームのように一定の間隔で相槌を打ちながら、俺の話に耳を傾ける。俺が話し終えると、相も変わらずもったいぶった調子で言う。

「なるほどねぇー。そういうこと。まぁー、リクはミニゲームの経験が少ないから、気づかないのも無理ないか」

俺にはいくら考えても分からなかったというのに、どうやらミナはあっさりと真実に辿り着いたらしい。

「どういうことか分かったのか!?早く教えてくれ」

「簡単なことよ。その又三郎とアルジャーノンってプレイヤーは、チーミングしてるの。アルジャーノンはリクを人狼だと勘違いしたんじゃなくて、市民側だと知ったうえで攻撃した。本当の仲間である又三郎に協力するため。つまり、利敵行為よ」

チーミングとは、敵同士である複数のプレイヤーが結託し、ゲームを有利に進めることだ。ゲームバランスの崩壊に繋がるため、絶対にしてはいけない。

なるほど確かに、又三郎とアルジャーノンがチーミングをしていると言うならば、あの場で2人協力して俺をキルしようとしたこのにも、1日目の夜に又三郎が異様に勝利を確信していたことにも、又三郎とアルジャーノンの連携が初対面同士とは思えないほどハイレベルだったのも、全てに納得がいく。

ミニゲームを殆どプレイしたことがない俺は、プレイヤーは自陣営の勝利のためにプレイするという固定観念があったから思い至らなかった。しかし匿名で活動できるネットに於いて、誰もが真っ当なプレイングをするわけではない。

言われてみれば、全くもって単純な話だ。

しかし2人がチーミングをしているというのは、全くもって厄介な話でもある。

市民であるアルジャーノンが人狼サイドに寝返っているため、本来は『市民陣営5人、人狼陣営2人、狐陣営1人』であるところが、『市民陣営4人、人狼陣営3人、狐陣営1人』となっている。頭数からして、人狼が圧倒的に有利だ。

「いいえ、それだけじゃないわ。1日目の昼に、3つ狼煙が上がっていたでしょう?」

俺の頭を読んだかのように、ミナが言う。

「あぁ、そう言えば。それがどうかした?」

「違和感を見つけたら、納得するまで疑いなさい。それが騙されないコツよ。あくまで推測だけど、チーミングしている連中は、あの狼煙を使って自分の役職を知らせていたんじゃない?人狼なら黒い狼煙。市民なら、白い狼煙って感じで」

「確かに、そうすれば協力している奴の役職が分かって、都合がいいな。……って、待てよ!狼煙の数は、3()()だったよな!!」

ミナは無言で頷く。

「恐らく、チーミングしているのは3人。又三郎とアルジャーノンはそのうちの2人で、もう1人仲間がいる」

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