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21 hunter

 ゲーム開始から200秒が経過。1日目の昼が終わり、人狼が牙をむく夜が到来する。

マップ上のどこかに転送された俺は、足に任せて散策する。

俺の役職は狩人。市民陣営で唯一夜目がきき、夜のターンで攻撃力等が上昇するため、夜のターンでも狼と張り合えることができる。故に狩人は、夜に村人を人狼から守る責務がある。特に守るべきは、占い師(自称)であるエルマさんだ。

雑木林を駆け抜け、人狼に襲われている人がいないか探す。狩人は夜目が効くとは言えど、昼と同じくらいはっきり見えるわけではない。立ち並ぶ木々により視界が悪いことも相まって、なかなか人が見つけられず、時間だけが過ぎていく。そんな時、金属同士がぶつかる甲高い音が鼓膜に届いた。

急転回して、音のする方向へ走る。1歩踏み出すごとに、聞こえる音は鮮明になっていく。音の頻度からして、戦闘が起きていることは明白。1日目の夜に戦闘が起きているということは、十中八九、市民が人狼に襲われているのだろう。

夜は人狼の狩場。村人は視界が悪くなるのに対して、人狼は攻撃力等の各種ステータスが跳ね上げる。

ただの村人に、勝ち目はない。

直ぐに向かわねば、手遅れになる。木の根に(つまず)かないよう気を付けながら、地面を蹴り上げ全速力で走る。

幾つもの木々を抜かした先に、2人のプレイヤーが戦っているのが見えた。戦いは一方的だったらしくで、片方のプレイヤーはHPバーは赤色。あと一撃で、デスしてしまいそうだ。反対に、もう一方のプレイヤーは体力の1/3も削れていない。HPに余裕のある方が人狼で間違いないだろう。

そしてHPが0寸前のプレイヤーは、エルマさんだった。今襲われているということは、エルマさんは占い師を騙る人狼ではなく、本物の占い師ということだ。

人狼が剣を高く掲げ、トドメの一撃を刺そうとする。

俺はそいつを真横からドロップキックしてぶっ飛ばす。

「どばぁっ!!」

相手は間抜けた声を上げて、地面を転がる。

「エルマさん、大丈夫ですか」

「リクさん!!助かります!!」

エルマさんは俺が乱入してきたことに安堵する様子を見せ、胸ポケットから回復ポーションを取り出し、HPを半分まで戻す。

「クッソが!あと少しだってのに。まぁいいさ。まとめて倒してやる」

起き上がった人狼は、剣を強く握りしめる。ネームプレートを見ると、”又三郎”と表記されていた。

俺はエルマさんの前に出て、相手の出方を窺う。

張り詰めた緊張は、さながらパンパンに空気を詰めた風船の如く。いつ破裂するのかと、心臓がバクバクとドラムを叩く。

しかし又三郎は襲い掛かってくることはなく、徐に剣を鞘に納める。

「…いや、助けに入ったってことは、お前の役職は狩人か。てなると、ちと分が悪いな。勝てる試合に、わざわざリスクを取る必要はねぇや。あばよ」

人狼はそう吐き捨てると、宵闇の中へ消えていく。人狼を追いかけるという選択肢もあるが、エルマさんを守ることが最優先だ。人狼に襲われたということは、エルマさんは本物の占い師。万が一にも、死なすわけにはいかない。

又三郎が立ち去り、木々の揺れる音しか聞こえなくなると、エルマさんは緊張が解けたのか、その場に腰を下ろす。

「ありがとうございます。助かりました。僕は射手で、近接戦は滅茶苦茶苦手なんです。全然歯が立たなくて、絶体絶命でした」

「夜は人狼が有利ですし、仕方ないですよ。それに結果的には、大収穫です。1日目の夜で人狼が1人割れたのはでかいっすね」

市民を人狼から守れ、占い師と狩人の間で信頼関係を築けることができ、人狼の1人が判明した。今の状況は、かなり市民に有利だ。

だがしかし、なんだか胸騒ぎがする。

『勝てる試合に、わざわざリスクを取る必要はない』。人狼の又三郎はそう言っていた。

試合の流れは、人狼にとって間違いなく不利。あの自信はどこから来ているのだろうか。

浮かび上がった疑問を答えを出す暇もなく、夜が始まってから200秒が経過。昼のターンとなり、再びマップのどこかに転送されられる。


人狼が行動しにくい昼のt ゲーム開始から200秒が経過。1日目の昼が終わり、人狼が牙をむく夜が到来する。

マップ上のどこかに転送された俺は、足に任せて散策する。

俺の役職は狩人。市民陣営で唯一夜目がきき、夜のターンで攻撃力等が上昇するため、夜のターンでも狼と張り合えることができる。故に狩人は、夜に村人を人狼から守る責務がある。特に守るべきは、占い師(自称)であるエルマさんだ。

雑木林を駆け抜け、人狼に襲われている人がいないか探す。狩人は夜目が効くとは言えど、昼と同じくらいはっきり見えるわけではない。立ち並ぶ木々により視界が悪いことも相まって、なかなか人が見つけられず、時間だけが過ぎていく。そんな時、金属同士がぶつかる甲高い音が鼓膜に届いた。

急転回して、音のする方向へ走る。1歩踏み出すごとに、聞こえる音は鮮明になっていく。音の頻度からして、戦闘が起きていることは明白。1日目の夜に戦闘が起きているということは、十中八九、市民が人狼に襲われているのだろう。

夜は人狼の狩場。村人は視界が悪くなるのに対して、人狼は攻撃力等の各種ステータスが跳ね上げる。

ただの村人に、勝ち目はない。

直ぐに向かわねば、手遅れになる。木の根に(つまず)かないよう気を付けながら、地面を蹴り上げ全速力で走る。

幾つもの木々を抜かした先に、2人のプレイヤーが戦っているのが見えた。戦いは一方的だったらしくで、片方のプレイヤーはHPバーは赤色。あと一撃で、デスしてしまいそうだ。反対に、もう一方のプレイヤーは体力の1/3も削れていない。HPに余裕のある方が人狼で間違いないだろう。

そしてHPが0寸前のプレイヤーは、エルマさんだった。今襲われているということは、エルマさんは占い師を騙る人狼ではなく、本物の占い師ということだ。

人狼が剣を高く掲げ、トドメの一撃を刺そうとする。

俺はそいつを真横からドロップキックしてぶっ飛ばす。

「どばぁっ!!」

相手は間抜けた声を上げて、地面を転がる。

「エルマさん、大丈夫ですか」

「リクさん!!助かります!!」

エルマさんは俺が乱入してきたことに安堵する様子を見せ、胸ポケットから回復ポーションを取り出し、HPを半分まで戻す。

「クッソが!あと少しだってのに。まぁいいさ。まとめて倒してやる」

起き上がった人狼は、剣を強く握りしめる。ネームプレートを見ると、”又三郎”と表記されていた。

俺はエルマさんの前に出て、相手の出方を窺う。

張り詰めた緊張は、さながらパンパンに空気を詰めた風船の如く。いつ破裂するのかと、心臓がバクバクとドラムを叩く。

しかし又三郎は襲い掛かってくることはなく、徐に剣を鞘に納める。

「…いや、助けに入ったってことは、お前の役職は狩人か。てなると、ちと分が悪いな。勝てる試合に、わざわざリスクを取る必要はねぇや。あばよ」

人狼はそう吐き捨てると、宵闇の中へ消えていく。人狼を追いかけるという選択肢もあるが、エルマさんを守ることが最優先だ。人狼に襲われたということは、エルマさんは本物の占い師。万が一にも、死なすわけにはいかない。

又三郎が立ち去り、木々の揺れる音しか聞こえなくなると、エルマさんは緊張が解けたのか、その場に腰を下ろす。

「ありがとうございます。助かりました。僕は射手で、近接戦は滅茶苦茶苦手なんです。全然歯が立たなくて、絶体絶命でした」

「夜は人狼が有利ですし、仕方ないですよ。それに結果的には、大収穫です。1日目の夜で人狼が1人割れたのはでかいっすね」

市民を人狼から守れ、占い師と狩人の間で信頼関係を築けることができ、人狼の1人が判明した。今の状況は、かなり市民に有利だ。

だがしかし、なんだか胸騒ぎがする。

『勝てる試合に、わざわざリスクを取る必要はない』。人狼の又三郎はそう言っていた。

試合の流れは、人狼にとって間違いなく不利。あの自信はどこから来ているのだろうか。

浮かび上がった疑問を答えを出す暇もなく、夜が始まってから200秒が経過。昼のターンとなり、再びマップのどこかに転送されられる。


人狼が行動しにくい昼のターンとなったので、情報収集のために、早速歩き回る。

今すべきことは、又三郎が人狼であることを、村人陣営で共有すること。

移動を始めてほどなく、不気味な装飾の黒い槍を持った1人のプレイヤーに遭遇した。

ネームタグを見ると、”アルジャーノン”とある。アルジャーノンは、エルマさんの占いで市民だと分かっている。出会えるとは運がいい。

俺はアルジャーノンさんに駆け寄り、手持ちの情報を全部伝えた。


「なるほど。もうそこまで分かっているのか…」

俺の情報を聞いたアルジャーノンさんは、何故だか嬉しい顔は見せず、寧ろ困った様子で言う。市民陣営にとってかなり有益な情報のはずだが、どうしてだろうと思ったその時。背後からポキッと木の枝を踏む音が聞こえた。

慌てて振り返ると、背後にはつい先ほど戦った人狼”又三郎”がいた。

「おっ!()()か。丁度いい。ここでキルする!」

又三郎も俺たちに今気付き、独り言にしては大きな声で言う。先ほどは逃げたのに、急に好戦的だ。

「状況が見えないのか?キルされるのはお前だよ」

俺も両手にナイフを握り、臨戦態勢を取る。

敵は1人だが、こちらは2人。

どう考えても、俺たちに分がある。だというのに、相手は随分と余裕だ。よっぽど腕前に自信があるのか?いや、それなら1日目の夜で退かなかったはず。

あの時に見せた勝利を確信しているような言動と、何か関係があるのか?

脳裏に不安がよぎる、俺はミナほど聡明では無いし、考えても分からないことは分からない。

確実に言えることは、今こいつを倒せば、市民陣営は勝利に大きく近づくということ。

こんな絶好の機会、逃す選択肢はない。

「俺が前に出て戦うんで、援護おねがいします」

アルジャーノンにそう言うと、ナイフを握りしめ、又三郎に突撃しようと大地を蹴る。


その瞬間。背後から、どすりと黒い槍で貫かれた。


「………………はぁっ!???」

人というのは本当に想定外の事態に直面したとき、驚く反応すらも遅れるらしい。驚嘆の声が口から洩れたのは、槍で背中を貫かれてから数秒が経過からだった。

俺の後ろには、味方しかいなかったはず。俺に気取られずに背後に忍び寄って攻撃するなんて芸当、透明人間でもないと出来やしない。


混乱のまま振り向くと、俺を突き刺していたのは、市民であるはずのアルジャーノンだった。

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