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80:旧友


「カイ!久しぶり!!」


そう久しぶりに見るサラの姿が元気そうでまずは安心した。


「まさかこんなところで会えるなんて思っても見なかったから嬉しいわ」


「元気だったか?」


「ええ。カイも、相変わらず?」


「ああ」


「でも驚いちゃった。急に連絡が来たと思ったらまさかの相手がカイだなんて」


「たまたまサラがいるのを耳に挟んで。今日も仕事だったか?」


「ううん、ほとんど昨日で終わっていて今日はもともとこの街をまわって珍しいものでも探そうかなと思っていたくらい。けど、あの図書室が友達のカイの誘いならそんなのどうでもいいわっ」


そう言うサラは相変わらず甘めの顔には似合わぬハキハキとした話し口だった。


挨拶はそこそこに近くの店に入り昼食を共にすることにした。


「カイは他国へはよく行くの?」


「まぁその時の仕事にもよるけど」


「……ハンザには?」


「極力断ってる」


そう言うと、サラはそっかと渋い顔で笑った。


「あの子、元気してるかしらね?行けたらいいんだけど流石に西の王都となると、やっとうちの会社も手を出し始めたところだからなかなかまだ行けなくて」


そう言ってサラは一口水を飲んでカイのほうを向き直した。


「ねぇ、カイ。今更なんだけど聞いてもいい?」


「なんだ?」


「結局、何も、伝えなかったの?」


その言葉につい無言になってしまう。

けれども先日、無言は肯定だと言われたばかりだ。何か言わねばと思い口を開く。


「伝わっては、いる。けどもう目の前に現れるなって約束させられた」


「何それ、リオン、ひどい」


サラが呼ぶ彼女の名前の響きが随分と懐かしく、胸の奥が掴まれるようだった。


「いや、王女として生きていくために必要だからって。だから仕方ないだろ」


「え?でもさ、それって……王女じゃなかったらリオン、カイのこと……」


「さあ、どうだろな」


そう軽く笑って流そうとした時だ。

急にサラが乗り出して話して来た。



「ねぇ、すっごくお節介なのは分かってるけど、その軽く笑って誤魔化すの、やめなさいよ。学校通ってた時も何度かあったけど、そういう笑い方して良いことあったこと、ある?」


「サラは、相変わらずだな」

思わず困った顔をして言ってしまう。


「何よ、もう。……私、学校での唯一の後悔を挙げるとしたら、リオンにカイのことどう思ってるんだ?って問い詰めなかったこと。カイが余計なこと言うなって言うから聞かないようにしてたけど、もうちょっとあの子に考えさせるきっかけ与えればよかったなって……あの子、あの立場で、きっと自分が誰かを好きだってことを自覚することすらできなかったんじゃないかなって」


サラのその言葉には少しだけカイは納得していた。

あの日、自分がとった行動は今更だった。

けれどそれに対して間違いなくリオンは離れたくないと言っていたのだ。


だけど。


カイは思う。


「でも、結果は変わらないだろ?」



「あー、もう。そうだけど。結果が同じであってもさ、どう結果に持っていったのかも大事でしょ?」


「サラは学生時代より難しいこと言うのが得意になったな。流石貿易会社で働くだけあるな」


そう感心して言うとサラは、ふふっと笑った。


その後はアーロンのことやサラの仕事のことなど久しぶりの再会に話に花が咲いた。


「じゃあまたね、カイ。今度はアーロンも3人で」


「ああ」


「リオンにも、手紙の一つくらい書いても、バチは当たらないと思うよ?私もそのうち書こうかなって思ってるし」


「またその話か……考えとく」


そう笑ってサラと別れを告げた。



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