une jeune fille amoureuse
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恋は、するのではない。
落ちるべくして堕ちるのだ。
意図して好きになれるなら
あなた以外を選ぶのに
目は、あなたをさがし。
耳は、あなたの声を求め。
口は、音にならない 名前をなぞる。
零れるため息。軋む心。焦がれる想い。
あなたの 瞳が 私を射抜く
あなたの 優しさが 棘になる
甘く優しいその棘が いつもわたしを狂わせる
恋はかくにも愛おしく
青く白い薔薇の蕾に香る
触れて口づけ 紅く染めよう
棘を刺し
瞳を閉じ
想いもすべて閉じ込めて
棘で あなたを 殺さぬよう
深い眠りに堕ちて 逝く
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「クレメンテの詩だね。」
詩集を広げ、ぼーっと頬ける私にルビアナが声をかけますわ。ふわりと笑うルビアナ。可愛い。天使ですわ。大人しくて慎ましやかで、女の子らしいルビアナ。穏やかな空気が、ルビアナがいるだけで流れる。私と正反対ね。
ーそっか。そうですのね。ハンスはルビアナのような子が好きだったのですわね。
「あーそりゃ私じゃだめですわ。」
納得ですわ。悲しいけど、悔しいけど、当然よね。
「ヴィー。大丈夫?なんだか元気ないけど。」
心配そうに私を見つめる焦げ茶色の瞳。優しくてそれでいて芯を持つ、ルビアナの眼差し。私が元気ないのは、貴女の所為よ。なんて、嫌な感情が生まれて苦しい。嫌な子。嫌な子。私ってなんて醜く嫌な子なの?友達をそんな目で見てしまうだなんて。
「大丈夫ですわ。何でもありませんわ。」
詩集を閉じ、笑いますわ。大丈夫?ちゃんと笑えてまして?
「そう?辛い事あるなら、ちゃんと話てね。」
心の底から心配そうに私の顔を見つめるルビアナ。ごめんなさい。私、貴女には話せそうにない。
「ルビアナは、大丈夫ですの?」
「え?」
「ここ最近、ずっと食欲がなかったでしょう?それに寝不足なのか、目の下にクマもありましたし。」
「ああ!あれ?うん。もう大丈夫だよ。やっと終わったし。もう平気だから。ごめんね。ヴィーにも心配かけたみたいで。」
ふにゃりと笑うルビアナ。そう。もう大丈夫ですのね。恋に患う事もなくなった。つまり・・・・そういう事ですの。
「ルビアナ・・・・付き合う事にしたのですわね。」
ぼそりと吐き出す私の言葉。それにルビアナが大きく反応しましたわ。
「え!?ヴィー!」
顔を真っ赤にさせ、慌てて私の腕を掴み教室を飛び出す。そうして、使われていない空き部屋に私とともに入るルビアナ。
「ねぇ。ヴィーっ。なんでヴィーがその事を?」
目を大きく見開き、オロオロと狼狽えるルビアナは可愛くて、それを見るのが苦しくて、直視する事ができませんわ。
「もしかして・・・・聞いたの?ハンスさんから・・・・」
ルビアナの可愛らしい口から、ハンスの名前がでる。
「いいえ。でも、見かけたのアルテで貴方達を・・・・」
私の言葉に、ルビアナは「ああ。そっか。見ちゃったんだね。でも、あの事は知らない振りしてあげてね。ハンスさんも内緒でヴィーに・・・・」っと何か告げますわ。
確定ですわね。アルテで見かけたのは、ハンスとルビアナ。
二人は好きあっていて、付き合っている。私には内緒にしていたかった。
内緒になんてしなくていいのに。そんなに私の事が信用できなかった?
悪役令嬢だから、好きな#ハンス__男__#を奪った、ルビアナに危害を加えるとでも?
信用すらされてないのね。
ハンスにとって、私って・・・・そんな女だったのね。
「ルビアナ。」
「ん?なぁに、ヴィー。」
みくびらないで欲しいものね。
「貴方達の事、心から祝福するわ。」
たとえ時間がかかっても
大丈夫。私は、ヴィクトリア・アクヤックですもの。
「えっと・・・・まだ、付き合うかどうかは・・・・」
「どうして?何か不満でもあるの?」
ハンスは、とっても素敵よ。そりゃあ#攻略対象__イケメン__#達に比べたら、顔は少々見劣りするかもしれませんけど。優しくて、包容力もあって、いつも傍で支えてくれて・・・・きっと貴女を大切にしてくれますわ。ただの【お嬢様】でしかない私ですら、こんなに大切にしてくれていたんだもの。
「まだ、よく知らないし。それに、いきなり『嫁に欲しい』って言われたのもびっくりで」
「あら、そこまで告白されているの?」
ーハンスったら。私との約束すら忘れてしまったのね。
・・・・馬鹿みたい。
縛り付けていた私が、馬鹿ね。もっと早く解放してあげるべきだったのに。
「ハンスはいい夫になるわ。中身も私が保証する。だから、ルビアナ・・・・ハンスの気持ちを受け止めてあげて?」
ー私には、それができないから。
にっこり微笑み、踵を返す。
大丈夫よね。私、笑えてましたわよね?
「え?ヴィー?え?ええ!?受け止めるって!?」
「それじゃ。ご機嫌用。私ちょっと用事がありますの。」
後ろを振り返りませんわ。足も止めない。走って走って。何処かに。
誰も居ない何処かに。
・・・・ひとりになりたい。
そう思い駈けた先で、私は捕まってしまった。
逢いたくなかったその腕の中に。




