★犬も走れば、フラグにぶち当たりましてよ!
本日2話更新しています。
「わかってますよ。お嬢様」
ハンスの優しい声がしますわ。
私、やっぱり……この声が好きですわ。
くしゃりと、ハンスの大きな手が私の頭に触れるのを感じましたの。
「俺…私は、大人ですから。……わかってますよ」
「……なによそれ」
それって私が、こどもだって事ですわよね?
せっかく謝ったというのにどうしてかしら……またムカムカと腹立たしく感じてきましてよ。
「ハンス……貴方、私をこども扱いしてらして? 」
「え? あっ、いや……そういうわけじゃ……わけではないでますです」
「しどろもどろになってるじゃないですの! 目も盛大に泳いでいましてよ! 」
なんですの! 少しいい雰囲気になったかしら? っと思えばこれですわ! いつもいつもいつもいつも……いつになれば、ハンスは私をちゃんと見てくれるのかしら!?
頭にきましたわ! もう、ハンスなんてほっといてさっさと教室に戻りますわ!
早足で廊下を歩きますのよ!
ハンスなんて、この学園迷宮で迷子になってしまえばいいのですわ!
急ぐ私に向かって…………ドドドドと何かが近づいてくる音が…
「危ない! お嬢様!! 」
「え? 」
ードゴッ!!
「きゃあ!? 」
「んぎゃ!! 」
曲がり角で、オレンジ色の何かが飛び出してきましたわ!
ハンスが私を抱き寄せてくれたので、間一髪ぶつからずにすんだけれど! 危ないじゃない! えぇっ!?
何かしら……
犬!?いのしし!?
突風のようにいきなりでしてよ!?
「ー良かった、お嬢様が無事で。ちゃんと周りを見て下さい。……俺が側にいたから良かったものの……」
「……ごめんなさい」
ドキドキと胸が音を立てていますわ。
あら? これってもしかして、ハンスとのフラグ? ラブロマ?
やっと私の願いが、運営様に届いたのね!! 感謝感激ですわ!!
「そこの君も大丈夫かい? 」
ソコのキミ?
あら、あのオレンジの塊は人でしたのね?
てっきり獣か何かかと思いましてよ?
「ーっ痛つう! ……ってて!」
パラパラと頭についた壁の粉を振り落とし、ソレがこちらに向き直りましたわ。
衝突した壁に、ヒビが入っていますわ。
恐ろしいですわ、ぶつかられたのが私だったら……。
嫌ですわ! 私、断罪イベ前にご臨終だなんて笑えなくってよ!
「……大丈夫かしら」
「あー。大丈夫。俺、石頭だし。心配してくれてありがとな! ってむっちゃ美人!」
いえ、私が心配したのは壁の方なのですけど……。
「無事そうで、何よりだ。廊下は走る場所ではないぞ?気を付けろよ」
「あー悪わりぃ。つい、焦って魔力がぼーそーしちまって」
はははと無邪気に笑うオレンジ頭。……何故かしら、妙に嫌な予感が胸の辺りでいたしますわ。
「俺、方向音痴でさ。式終わったあと、便所して戻ったら……教室の場所わかんなくなっちまって」
「探しまわってたら、焦ってつい魔力が暴走しちまったみたいだ」
「あんたも、危ない目ぇ合わせて悪かったな! 」
そう言って、オレンジが人懐っこい笑顔を浮かべ、こちらに手を差し出しますわ。
「俺は、レオニダス・フラム! 騎士を目指してる。属性は、風だ! 宜しくな! 」
キラッキラと笑顔を溢しながら、白い歯をニッと輝かせ、レオニダスが笑いかけてきますわ。
あーなるほど。そうくると思ってましてよ。ハンスラブロマで、すっかり騙されかけましたわ。運営が、悪役令嬢に優しい訳ないじゃない!!
レオニダス・フラム………攻略対象じゃありませんの!!
3人目現る!!
ですわ!!
むきぃーーー!!
閲覧ありがとうございます。
攻略対象3人目です。
可愛いお顔のお馬鹿わんこです。




