ツンデレはヤンデレら。
本日3話分更新しています。
会場の外壁に寄りかかるハンスを見つけ、私は、慌てて駆け寄りましたの。
「お嬢様。終わったんですか?」
顔色は、元に戻っているみたいね。
「ええ。貴方は、もう平気なの?」
「はい。親切な方に介抱いただいたので。」
にっこりと笑うハンス。
そう。なら良かった。安心しましたわ。
あの山猿と、腹黒に捕まらなければ…もっと早く貴方の元にこれたのだけれど…
「貴方の気分が戻ったようで良かったわ。」
「それで、その介抱して下さった方というのわ?私もお礼を申し上げなくては…。」
「あー。確か、フィロス・インカ嬢とおっしゃられましたよ。ピンク色のふわふわした髪が印象的な、可愛らしいご令嬢でした。」
ー……なんですって?
「…?どうかされましたか?お嬢様?」
ー…フィロス・インカ…ですって…?
「お嬢…様?」
「ハンス。」
「はい。」
「貴方…。」
「はい?」
「何をヒロインとフラグ構築してるのよー!!!」
「はいぃいぃ!?」
動揺のあまり、ハンスの襟元を掴み締め上げてしまいましたわ。
何を勝手に、ヒロインとイベント起こしてらっしゃるの!?貴方モブでしてよ!?
モブの癖に、ヒロインとフラグを立てるなんて…烏滸がましいにも程がありましてよー!!
「お嬢様…ヒロインではなく、フィロス・インカ嬢です…。」
「それと…フラグって何ですか??」
「だまらっしゃい!ハンス!!」
貴方、そこそこのイケメンの分際で…ヒロインに介抱されるとは…しかも入学式のその日よ!桜舞い散る中のスチルとともに、触れ合う男女ですって!?
まごうことなき、フラグイベントでしてよ!?
貴方…私が悪魔のような攻略対象どもに絡まれている間に、何をデレデレとのんきにイベントをこなしてらっしゃるの!?
はっ!
もしかして、此処は乙女ゲーならぬギャルゲー!?
ハンスが主人公で、私やフィロス・インカが攻略対象ですの!?
幼馴染のツンデレ(攻略済)な私と、純粋天然癒し系のフィロス。そしてこれから出会う魅力的で愛らしい攻略対象…。
なんてことなの、私…すでにゲージMAXですわ。好意がカンストしてましてよ。寧ろプロポーズしまくりで、攻略の楽しみすら残っていませんわ!
なんてこと!?攻略の楽しみすら残っていない攻略対象なんて…相手になどしてもらえませんわ…まさに釣った魚に、餌は不要でしてよ!状態!
「ハンス…。」
「はい。」
「私…貴方に易々と攻略などされたり致しませんわ。」
「はい?」
「釣った魚だって、逃げ出す事もありますのよ?」
「はぁ。」
「…他のご令嬢に手をだしたら…私…ツンデレならぬヤンデレになりきる覚悟もありましてよ??」
「…」
「…」
これだけ脅しておけば、大丈夫ですわね。
勝手にハーレムなど構築させませんわ!
ハンスハーレム、断固阻止!
ハンスとヒロインは、近付けてはだめね。
徹底的に妨害よ!ハンスは、渡さなくってよ!ヒロイン!!
私が闘志に燃えているというのに…ハンスは、何故か可哀想な視線を向けながら、私を見つめるのですわ。
「…ヤンデレ?また、お嬢様がおかしな事を…一体何の呪文なんだ…。」
閲覧ありがとうございます。
ヤンデレは、呪文じゃありません。
いや?呪文なのか?
怖いなその呪文。




