細井のおじさん
細井のおじさんが殺されたのは、宮木奏が引っ越してきて二日後のことだった。
日付は4月9日。
山の中で死んでいたのを奥さんが発見したらしい。
誰も来ないような茂みで倒れていたそうだ。
細井のおじさんは胸と顔に散弾を食らっていたのだという。
おじさんは猟銃を持っていたから、それを奪って撃ち殺したのだろう。
ちなみに銃の行方はわからないらしい。
どこかに捨てられていなければ、おじさんを殺した人間が持っていることになる。
当然ながら村のみんなは大慌てだった。
村の人間が殺されるなんて前代未聞である。
僕だって驚いている。
細井のおじさんには、小さい頃から何度も世話になってきた。
今でも会うたびに飴をくれる優しいおじさんだった。
おじさんと言っても別に血縁関係はない。
だけど村の人間はみんな家族みたいなものだ。
だからおじさんが殺されたことに納得がいかないし、絶対に許せないと思っている。
村の人間の中で、細井のおじさんを殺すようなひどい者はいない。
つまりこれは宮木の仕業で間違いない。
よそ者のあいつが引っ越し早々のおじさんを撃ち殺したのだ。
村のみんなも同じことを言っていた。
宮木はなぜ細井のおじさんを殺したのだろうか。
引っ越して二日で命を奪うなんてありえない。
家の立地的にも接点なんてほとんどなかったはずだ。
恨みがないとすれば、快楽殺人か。
別におかしい話ではない。
わざわざこんな田舎の島に来るような人間だ。
真っ当な理由で引っ越してきたとは思えないし、むしろ動機としては自然なんじゃないか。
何にしても宮木を警戒すべきだ。
少なくとも僕は近付きたくなかった。




