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うぐいす姫 ~鬼と呼ばれた姫~  作者: 春野セイ


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変化


 一方、井川たちが襲ってくるだろうと構えていた赤猪子たちは、結界が解かれた事に気づいた。


「陽一殿が危ないっ」


 急いで鳥居の方へ向かうと大蛇と無数のトカゲで埋め尽くされているのを見た。


「正勝殿っ」


 俊介が駆けつけると、正勝は目を吊り上げた。


「大勢おりながら、何をしておったのだっ」

「どこ見ているのっ」


 茅子が正勝に向かって蹴りを入れると、地面が深く抉《えぐ》れてその衝撃で砂塵が辺りを舞った。


「あ、あれは俺の力だ。あの女……許さん」


 佐之尊が、月の騎士が落とした刀を拾い、茅子に飛びかかる。しかし、今はただの人、敵《かな》うはずなくあっけなく交わされ、蹴られた佐之尊を菜々が空間移動でキャッチした。が、佐之尊の体が大きすぎて遠くまで飛ばされてしまう。俊介が気づいて、二人をかばった。

 三人は一気に山の斜面にたたきつけられた。菜々が慌てて体を起こし、佐之尊に抱きついた。


「尊《みこと》っ、死んじゃやだっ」

「こ、これくらい何ともないぞ……っ。大丈夫だから、泣くなっ」

「うんっ」


 奈々は、佐之尊の首に腕をまきつけた。


「殿下、油断は禁物ですぞっ」


 赤猪子が言って、自分の力を解放した。たちまち年若い乙女に代わり、薙刀で大蛇に向かって行った。蛇の目を突こうとしたが、鋭い歯を剥き出してすごい速さで向かってくる。赤猪子も蛇の胴体を交わしながら陽一を助けようとするが、硬い鱗には歯が立たなかった。

 

「陽一殿、耐えられるかっ」


 陽一は歯を食いしばり必死で両腕を上げて自分を守ろうとしていたが、長さ10メートルはあるだろうか、蛇の体はぐるぐると一気に巻きついた。陽一がうめき声をあげた。

 い、息ができない。陽一の頭がぐらぐらし始めた時、正勝の相手をしていた茅子が、赤猪子の背後を取った。


「あ……」

「あなたをもらうわね」


 茅子は、赤猪子を背後から羽交い絞めにした。赤猪子が悲鳴を上げる。


「ばあちゃん……っ」


 どさっと赤猪子が気を失って倒れると、茅子の手が赤猪子の薙刀《なぎなた》に変形していった。


「こやつ……人間じゃない?」


 正勝が呟いた。


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