敵なのか味方なのかしっちゃかめっちゃか
ああ、何故あの一瞬魔が差したのだろう。
他人のためという言い訳のために苦痛から目をそらし、抵抗を諦めた怠惰な自分。
こんな私でも大切にされている自覚はあった。だからこそ耐えるという選択をしたし、それを貫くことができた。
……いや、結局弱い私には最後までは貫き通せなかったのだった。
大切にされている自覚。それ故の決意が、大切な人達からの愛に泥を塗る結末を招いた。
現状に抗うべきだったのか。あるいは、私なんて最初から存在しなければよかったのか。こんな…………不幸を撒き散らすだけに終わった命なんて。
正解は何年経っても見えない。ただ一つ言えるのは。
私……蜂須賀渚の決断は、大きな間違いであった。
■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
「うぐっ…………!今のは……?」
痛む背中を擦りながら立ち上がる。高さは大したことなかったが、それでもなかなか堪える。痣とかできてないといいが。
いや、それよりも。
一体今のイメージはなんだ?背を地面に向け落ちていった瞬間に感じた負の感情。ゴースト生活の中で感じていた、シャルさんの身体に入ってからは忙しくて感じている暇もなかった謎の罪悪感に近いなにか。
フラッシュバック……って奴?結局具体的な記憶はなにも思い出せていないけれど。
「…………な、何だ貴様らは!」
「ぽぺ?」
頭を抱えていたところに、困惑した響きの叫びが聞こえてきた。そうだった、確か人影を見かけて体勢を崩して…………
「まさか下に来ていた憲兵どもが騒いでいた奴らか!」
「…………ん?」
「神聖な領域を侵す賊、憲兵どもに手出しはさせん、ここで成敗してくれる!」
「はへぇ!?」
声の主をじっくり見てみると、目の前にいたのは白服の武装集団。憲兵ともまた違う身なりで、聞く限り私を敵と見なしている?
そこで、自分達の姿を顧みた。彼等からしてみれば、私は女性を拘束し連れている不審者。
………………誘拐犯だと思われているのか?
「「「てぁりゃああああ!!」」」
「誤解っすからねぇぇぇぇえ!?」
剣を振り下ろしてくる群衆を防御壁で阻みつつ、一味の女は置き去りにして裏へ回る。
誤解だとすれば、攻撃に転じれば余計に拗れる。だが連中をなんとかしないと下の階に降りれ…………
「まさか、シャルロット嬢?」
「え……?その声は…………」
集団の背に回ったところで、後ろから私……シャルさんの名前を呼ぶ声が。
それはつい先日聞いたばかりの声。
「グランエル神父!」
「……!やはりそうでしたか!あなた方、即刻攻撃を止めなさい!この方こそ話に挙がっていた、シャルロット・ド・フランベルジュ嬢!」
「なんだって!?お、おい、剣を下ろせ!」
神父の一声により一瞬で制される場。ひとまずの安全が確保されていく。
「一体何がどうなっているのでしょうか?下での騒ぎを見て彼らと内部を見ていたのですが、シャルロット嬢の身に何が……」
「…………そうですわね。でしたら皆様もついてきていただけますか?降りながら説明させていただきますから。それから一つ頼み事が」
「なんでしょう。友人として大抵の頼みは聞く所存ですが」
「憲兵の突入を下の兵の方々に説得して欲しいのです…………上層でプラシドさんが孤軍奮闘しています、一刻も早く援軍を送りませんと」




